編集者のながめのつぶやき

ドイツで週刊誌の編集をしています。1週間の記事をすべて書き終えて全体を眺めると、時代の…

編集者のながめのつぶやき

ドイツで週刊誌の編集をしています。1週間の記事をすべて書き終えて全体を眺めると、時代の転換が凝縮されているなと感じることがあります。休日に自転車に乗っているときなどにおやっと思うことも。そんな気ままなよしなしごとを、長めにつぶやいています。2021年からの記事放出中

最近の記事

日本茶の欧州進出~新たな食文化の可能性

「お~いお茶」をドイツで生産するという伊藤園のプレスリリースを目にしたときは驚いた。同じ部屋にいた同僚に思わず伝え、盛り上がった。これをきっかけに緑茶が寿司、天ぷら、すき焼き、ラーメンなどに続く日本の食文化として欧州に広く普及すれば、当地の食生活が豊かになるだろうし、将来的には質の良い日本茶が入手しやすくなるだろう。 ドイツで一般に入手できる緑茶の大半はアジア食品店で販売されているものも含め質があまりにも低すぎる。ドイツの大手メーカーが販売する製品で個人的に合格点を与えられ

    • 雨の日のイースターサイクリング、自転車がもたらす喜びと地域への新たな発見

      今年のイースター休暇は残念な天気であった。快晴の日があったらまる一日かけてサイクリングに行こうと思っていたが、実行できなかった。 それでも雨の上がった午後に2度ほど散走できた。途中で通り雨に遭遇しながらも、自転車はやはり素晴らしいと改めて思った。 まずは何といっても気分が晴れる。自分でも単純だな~と思うのだが、景色を見ながらペダルを漕いでいるだけで、楽観的になるというか、気分が前に張り出してくる。 筋肉が付くのも大きなメリットである。筆者は中学の時に部活でバレーボールを

      • 脱炭素への挑戦:ドイツのエネルギー転換プロジェクトの未来と課題

        「電力の安定供給目標を長く維持することはできない」――。ドイツのエネルギー転換政策の進捗状況に関する特別報告の発表記者会見で会計監査院のカイ・シェラー院長が述べたひと言である。再生可能エネルギー電力とその輸送に必要不可欠な送配電網の拡充が政府の計画通りに進んでいないことを踏まえたもので、このままでは安定供給と需要家の負担可能な料金を維持しながら脱炭素を進めるという世代を超えたプロジェクトは失敗し、市民の理解を得ることも産業立地競争力の維持もできなくなると警鐘を鳴らしている。

        • デジタル化と労働意欲

          ここ数年で郵便物を受け取ることがほとんどなくなった。毎月届いていた電話料金の請求書がSNSに切り替えられるなど、時代の変化が背景にある。そのせいで郵便受けをのぞく回数も大幅に減った。どうせ何も届いていないのであれば見るだけ無駄だろうという怠け心が働く。 先日、久しぶりに中をうかがうと紙が入っているのが見えた。開けてみると封書が3通あり、そのうちの1通は配電事業者からのものであった。内容は… 続きはSubstackで無料公開しています。ぜひ遊びに来てくださいね!

        日本茶の欧州進出~新たな食文化の可能性

          電動車市場の現実:メルセデスの新たな展望とEUの政策の行方

          2月下旬に出されたメルセデスベンツ社プレスリリース。同社ケレニウス社長の発言から、EUが2035年に予定する内燃機関車の禁止政策の行方を書いています。 全文公開中です。

          電動車市場の現実:メルセデスの新たな展望とEUの政策の行方

          消費者信頼感が微改善、水準はなお低く

          「編集者の長めのつぶやき」を公開しているサブスク型情報サービス「ススム!ドイツ経済」、今日のニュースが配信されています。 市場調査大手GfKとニュルンベルク市場決定研究所(NIM)が27日に共同発表したドイツ消費者信頼感指数の3月向け予測値は、大幅減となった2月(確定値:−29.6ポイント)を0.6ポイント上回るマイナス29.0ポイントに改善した。 続きはこちらから↓↓ そしてnoteで公開していた「編集者の長めのつぶやき」、最新話「欧州の歴史と未来:プロイセンから現代へ

          消費者信頼感が微改善、水準はなお低く

          欧州の歴史と未来:プロイセンから現代への軌跡

          強大な軍事力を背景に1871年のドイツ統一を主導したプロイセン王国の強国化の起点が17世紀前半の30年戦争(1618~48年)にあることを恥ずかしながら最近、知った。ペンギン・ヒストリー・オブ・ヨーロッパの1冊として近世史家ティム・ブラニングが著した『Pursuit of Glory(栄光の追求)』に、プロイセンの統治者であったブランデンブルク選帝侯ゲオルク・ヴィルヘルムが、30年戦争に参戦しドイツを荒らしまわっていた義弟のスウェーデン国王グスタフ・アドルフ2世にブランデンブ

          欧州の歴史と未来:プロイセンから現代への軌跡

          企業景況感3カ月ぶりにやや改善

          「編集者の長めのつぶやき」を公開しているサブスク型情報サービス「ススム!ドイツ経済」、今日のニュースが配信されています。 そしてnoteで公開していた「編集者の長めのつぶやき」、最新話「不測外交の果てに」をSubstackに掲載しています。 German VoteがEUの決断に及ぼす影響を、歴史を交えて綴っています。 欧州の歴史から見る強国の誕生と現代の課題について、今週も新しいコラムを公開予定です。

          企業景況感3カ月ぶりにやや改善

          バイエルが配当を法定最低水準に抑制、債務圧縮に向け

          「編集者の長めのつぶやき」を公開しているサブスク型情報サービス「ススム!ドイツ経済」、今日のニュースが配信されています。 そしてnoteで公開していた「編集者の長めのつぶやき」、最新話「不測外交の果てに」をSubstackに掲載しています。 German VoteがEUの決断に及ぼす影響を、歴史を交えて綴っています。 ぜひ読んでみてくださいね。

          バイエルが配当を法定最低水準に抑制、債務圧縮に向け

          マイクロソフトが過去最大の対独投資、AI利用増を見据えデータセンター容量を拡大

          「編集者の長めのつぶやき」を公開しているサブスク型情報サービス「ススム!ドイツ経済」、今日のニュースが配信されています。 そして「編集者の長めのつぶやき」はコラム欄に(こちらは無料で公開中)。家電の「修理する権利」がEUで実現しそうだとのことから、暮らしの中で感じたドイツ家電のお話を書いています。 ではまた明日!

          マイクロソフトが過去最大の対独投資、AI利用増を見据えデータセンター容量を拡大

          まだまだ書き続けます

          長らくこちらでお世話になりました「編集者の長めのつぶやき」です。多くの方にお読みいただき、感謝しています。 ありがとうございます。 今後はSubstackでコラムとして公開することにしました。 Substackとは? 欧米では知名度の高いSubstack、名前の示す通りサブスク型でニュースレター配信サービスをしているオンラインプラットフォームです。ここで「ススム!ドイツ経済」というサブスク型情報サービスを展開しています。 「ススム!ドイツ経済」は週5回月曜から金曜まで

          まだまだ書き続けます

          ジェンダー表現

          2024年1月31日。 「ジェンダー」という言葉を知ったのは大学生だった1980年代である。女性解放運動を指す言葉が「ウーマンリブ」から「フェミニズム」に変わるとともに、学術化が本格化し始めた時代だったと思う。調べてみると、日本女性学会は79年の設立である。 ジェンダーが何を意味するのか、当初は分からなかった。インターネットが普及する前は、新しい言葉の意味を知るためにはその筋の文献をある程度、読む必要があったのである。現在は内閣府のサイトに「ジェンダー(gender)はもとも

          35,000人の思い~デモ in フランクフルト

          2024年1月24日。 極右政党AfDに反対する大規模なデモが先週から全国各地で展開されている。内務省によると、週末の2日間だけで91万人が参加した。これほどの規模のデモは近年なかった。 筆者が住むフランクフルトでも土曜日に3万5,000人が集まった。他の都市同様、主催者予想を大幅に上回る人数で、安全を確保するため開始前に警察が会場であるレーマー広場への入場を禁止した。 デモのきっかけは、何百万人もの外国人と移民系ドイツ国籍保有者を国外に強制移住させることが、11月にポツ

          35,000人の思い~デモ in フランクフルト

          農家の怒り

          2024年1月17日。 補助金廃止方針の撤回を求める抗議活動を農業従事者が1週間以上にわたって全国展開した。通勤時などに巻き込まれた読者は少なくないのではなかろうか。トラクターで道路を集団走行したり、高速道路の出入り口を封鎖したわけだから、影響は大きかった。それにしても、市民生活や経済にしわ寄せが出る活動をなぜ実施したのであろうか。 農家の2023年6月期の利益は平均11万5,400ユーロに上った。高インフレが追い風となり前年を45%上回ったという事情を差し引いても一般的な

          なぜ?補助金申請打ち切り発表

          2023年12月20日。 日本でも報じられたためすでにご存じの方も多いだろうが、ドイツ政府がBEVの購入補助金の申請受付を17日(日)いっぱいで打ち切った。従来の計画では来年末の終了が予定されていたことから、1年以上、前倒ししたことになる。受付終了予告を伝えるニュースを前日のテレビで知り、驚いた。 予定していたGX・DX基金の財源の一部に違憲判決が下され、巨額の穴が開いたことから、政府は支出を大幅に削減しなければならない。自業自得とはいえ、その事情は分かる。しかし、補助金打

          なぜ?補助金申請打ち切り発表

          ドイツで絶賛!日本の「ケイ・カー」

          2023年12月6日。 来年の欧州議会選挙をにらみ欧州自動車工業会(ACEA)が声明を発表した。EUが内燃機関車を35年から禁止する方針を打ち出しておきながら、排ガス規制を大幅に強化し、BEV開発の足を引っ張るなどこれまでの問題含みの政策の包括的な見直しを求めている。 特に重視しているのは、BEV化が進んでも消費者・企業が手ごろな価格で車を入手できるようにするための枠組み条件策定だ。庶民の足とも言える小型車は国によっては新車の45%を占める。内燃機関車に比べて割高なBEVの

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