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詳細を求む!~ドイツ電動車ソーラー電力プログラム、補助金のお話

2023年10月9日。
ソーラーパネルと蓄電池、電動車用充電器のセットを自宅に新設する世帯に最大1万200ユーロの補助金を交付する電動車ソーラー電力プログラムの受付が26日に開始された。開始と書いたが、現在は受付を行っていない。その日のうちに助成枠を大幅に上回る申請が殺到し、打ち切られたためである。

同プログラムの総額は5億ユーロ。第1回目の受付である今回はそのうち3億ユーロの枠が設定されており、約3万3,000人が“宝くじ”を射止める幸運に恵まれた。残念な思いをした人々はすでに来年の次回受付に照準を合わせているだろう。日本円に換算すれば160万円ものプレゼントであり、当事者にとっては真剣勝負に他ならない。

助成の狙いは自家発電した電力を電動車の充電に充てることで、送電網の負荷を軽減することにある。電動車が増えれば増えるほど、電力の需給調整が難しくなり停電が発生しやすくなることから、理にかなった措置と言えるかもしれない。

だが、この政策の恩恵を受けられるのは、戸建て住宅と電動車をともに所有する中流以上の世帯に限られる。そもそも電動車の購入に際しても数千ユーロの補助金を受給している。低所得層は両補助金の恩恵に与れないことから、不公平だとの批判がある。

ちなみに筆者も恩恵には与れない。ワンルームマンションを持っているものの、集合住宅は電動車ソーラー電力プログラムの対象にならないためだ。もとより自動車を持っていない。

筆者が住む集合住宅は大きく、建物の前には数十台分の有料駐車場がある。現在はすべての利用者が内燃機関車に乗っているようで、BEVは見かけない。しかし、BEVは今後、本格的に普及することから、近い将来、駐車場に充電器を設置しなければならなくなるだろう。

その費用は当然ながらマンションの所有者が負担することになる。200分の1未満の権利と義務を持つ筆者もそれなりの出費を覚悟しなければならない。暖房を現在のガス暖房から環境に優しいものへと交換する際もそうである。その費用の総額がどの程度になるのかは分からない。こうしたぼんやりした不安を多くの市民が持っており、それが政府への不信感につながっているのではなかろうか。ショルツ首相に対してはニヤニヤ笑って禅問答をするのを止め、明確で詳細な政策を示してほしいと言いたいところだ。

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