ドイツワクチン事情

2021年4月21日。
新型コロナのワクチン接種が急速に加速してきた。少なくとも1回目の接種を終えた人の割合はすでに約20%に達している。筆者の周辺でも「接種センターで注射を打ってきた」「いついつに予約を取った」という声を聞くようになった。

アストラゼネカのワクチンが余っているほか、メーカーからのワクチン供給量が急速に増えていることが大きい。接種対象は現時点で基本的に60歳以上に限られているが、順調に行けばそうした制限は5月にも全面解除され、希望するすべての人が接種を受けられるようになる見通しだ。ワクチンの供給量が少な過ぎるとする政府に対する少し前までの批判は一体、何だったのだろうか。

接種可能なワクチンにはビオンテックのものとアストラゼネカのものの2種類があるが、ほとんどの市民は前者を希望している。このため病院で予約を取ろうとしても、アストラゼネカ製であればすぐに接種を受けられるが、ビオンテック製品を要求するとかなり待たされることになる。確率は極めて低いとはいえ、命にかかわる血栓リスクはやはり怖い。尻込みする人が出るのは自然だろう。

そうしたなか、メルケル首相、ショルツ副首相、シュタインマイヤー大統領など主要な政治家はアストラゼネカのワクチン接種を受けた。接種場面を公開したり、プレスリリースで発表したりし、安全性をアピールしている。60歳以上であれば血栓リスクはないと国の機関がお墨付きを与えているなかで、該当年齢の有名な政治家がアストラゼネカのワクチンを仮に拒否したとすれば、同ワクチンのみならず政治に対する信頼も一気に地に落ちるだろう。上に立つ者の責任は重い。

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