映画「踊ってミタ」どうしようもない時は結局、動いてみるしかない

https://odottemita-movie.jp

※ネタバレが含まれています
 踊ってみた、ボーカロイド、VTuberなど今話題のキーワード満載で若干不安になる題材なのだけど、内容はというと広告代理店の夢破れて地元に戻った主人公が考えないしに最新のキーワードを並べてプレゼンしたら企画が通ってしまい、町おこしのイベントとして「踊ってみた」をやることになってしまう、という話でなかなか生々しい。

 夢と現実の自分のギャップによって鬱屈している主人公や、地方アイドルとして人気だったが親の反対で引退せざるを得な買った高校生、過疎が進んでいく町の人々となかなか雰囲気も重い。そこでイベントが大成功し、街が活気づく……というような夢物語にならないのは明らかで、ではどうなるのかというのがいちばんの見どころ。

 で、どうなるかというとどうにもならないというか、特にこれで問題が解決するような方向にはいかない。しかし、どうせどうにもならないのだ、自分なんてという鬱屈した部分は消えていく。なぜか? というと、結局自分で頭と身体を動かしていくからなのである。そういう意味の「踊ってミタ」

 ずっと冷めた視点で物語を眺めていくのに、主人公のミタがダンスに打ち込み、上達していく様子はグッと来る。散々溜めたところで登場人物たちが次々踊るラストの感情の昂りは、将来何とかならないと思ってもまず目の前をなんとかする事の意味を感じさせる。とりあえず身体を動かしてみたくなる。そんな作品だった。

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