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こはならむ新曲『ひとりじゃないんだ』最強の歌声×清涼なサウンドが魅せる新世界

シンガーソングライターで歌い手、こはならむの新曲『ひとりじゃないんだ』がかなりいい。曲は元ボカロPのGuiano氏。

静かなピアノと感情的な歌声のこはならむらしいサウンドで幕を開けたかと思いきや、重なっていく爽やかなブレイクビーツは最近K-POPを中心によく耳にする90年代リバイバルっぽい風味。続くBメロ以降はEDM調にアレンジされており、明確なサビが存在せずシンセリフだけのドロップへなだれ込んでいく大胆な構成だ(曲の最後でようやく「ららら」とシンセのリフを歌がなぞる)。

直球なサウンドで歌そのものを伝える方向に固まりがちな"ソングライター系"の楽曲とは一線を画すオシャレさが心地よい。

元々こはならむはボカロP・香椎モイミによる『ずぎゅんぎゅんゆらり』や各種フィーチャリング参加の楽曲などで「歌い手」としての強みを存分に発揮してきた。どんな曲にも最強の歌声を提供し、持ち前の表現力で自分色に染め上げてしまう。歌ってみた動画をルーツとする彼女ならではの唯一無二な魅力だ。

今回の『ひとりじゃないんだ』もまさにそうで、このトラックに載せるならほかの歌声では有り得ないのではないかとすら思わせる抜群のハマり具合にこの上ない説得力を感じさせる。



思い切ったアレンジ、シンガーソングライター × 爽やかなEDMという路線、シンセの音作り、後半「一人きりな気がした」以降のボコーダーっぽい声の加工などを聴いていると宇多田ヒカル『Face My Fears』を思い出す。

超特大EDMアーティストSkrillexを迎えたコラボレーションソングだが、これの影響も少なからずあるのではなかろうかと感じてしまうのはひょっとすれば邪推かもしれない。

キーも同じだし……。なんにせよ、似た方向性のカッコよさを別のアプローチで追求した曲同士であるのは間違いないだろう。


▲マイクを立てないMV的思想の歌ってみた動画は発明的だ。確かに今の時代ボーカルは(THE FIRST TAKEでさえ)聴きやすく加工するのが前提なのだし、生であることよりも記名性が重要。ファッションと身振りの可愛さで雰囲気が最大限に伝わればそれでいい。私はこの潔い見せ方が好きだ。

顔出しをしないスタイルながら先日はJAPAN JAMに出演するなど着実に活躍の幅を広げるこはならむ。これからも独自の歌声を武器に色とりどりの世界観を演出してくれそうだ。注目アーティストのひとりとして引き続きチェックしていきたい。

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