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地方で独立して5年、私が考える地方街弁の最大のメリット・デメリット #019

都市部ではなく地方で弁護士をするのが良いかどうか、わりと頻繁にSNSでも意見が飛び交っていると思います。

今日は、私が思う、最大のメリットとデメリットを書きます。




メリット 弁護士という職業に希少性がある

私が考える、最大のメリットはこれです。

地方だと稼げる、という主張もありますが、私は正確には「まだまだ職業としての希少性があり、依頼が来やすい」だと思っています。

これは稼げるとはイコールではありません。なぜなら、弁護士の案件ごとの単価ってかなり差があり、着手金・成功報酬方式だと、案件の難易度や口数と報酬は必ずしも比例しないので、単価があまり高くない案件をたくさん受けて「妙に忙しいけどなかなか稼げていない」状態になることも往々にしてあるからです(私も…)。

よく弁護士の営業論で「弁護士がいないところに顔を出せ」と言われますが、地方だと弁護士がいない会やコミュニティはたくさんあります。そこから相談や依頼が来やすいのは確かなのですが、その先の報酬の部分を適正にコントロールできないと、収入には結びつきません。

とはいえ、仕事をとるためにそれほど労力もコストもかけなくて良い、というのは、世の中見渡してもあまり他にない恵まれた環境であることは間違いありません

女性であればなおさらで、問答無用で目立てます。最新のデータを見ても、一番女性比率が高い京都でさえ23%で、地方都市だと軒並み20%を切ります。私の登録単位会もご多分に漏れず20%を切っています。

https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/membership/members.pdf

ということで、地方だと、女性の弁護士は、嫌でも認知されやすいです。

「無理に目立とうと思わなくても目立てるし、仕事の話が来る」というのは都市部にはない利点ですし、他の業界ではなかなかない話だと思います。私のような平々凡々な弁護士にとっては大チャンスです。

ただ、私は支部所在地に事務所を置いており、上記はその立場からの意見です。多くの地方で弁護士が本庁所在地に多く集まる傾向があるので、本庁だと少し事情は違うかなと思います。

デメリット 仕事が広く浅くになりがち

私の感じる最大のデメリットはこれです。

地方だと、ジャンルを問わずいろんな相談が舞い込んできます。

例えば、私は、特定のジャンルの案件をあまり受けたくないな、と思い、ある時ホームページから削除したのですが、その後もその類型の相談は来ます。

もちろん専門特化したり「〇〇に強い弁護士」と宣伝してそちらに誘導したりことはある程度できると思うのですが、そうは言っても地域の弁護士数は限られており、利益相反もあるので、依頼者としてはそもそも地域に依頼できる弁護士がいなくなってしまう可能性があります。

また、裁判所から来る事件(相続財産清算人、破産管財人など)も、地域のマンパワー的に多少は受けざるをえません。そこで、自分が特化したい領域以外の案件も受けざるを得ないことが結構あります。

そして、受けた以上はそれなりに勉強もしなければならないので、知識も広く浅くになりがちです。

また、専門特化しようにも地域には人口が少ない分、一つのジャンルで案件を集積することが難しいので、それだけを扱って事務所を経営していくのは難しいです。

この問題を緩和するためには、地域外からも集客できるような専門性を磨き、地元では「どうしても断れない案件だけはやる」というスタンスをとることが考えられます。私もこれからは少しずつこの方向にシフトしてきたいと考えています。

私はなぜ地方を選んだか

デメリットは人それぞれで、他にも例えば「人間関係が大変」とか「規模の大きい仕事ができない」とかが一番に上がってくる人もいると思いますが、上記メリットは普遍的じゃないかな、と思います。

とはいえ、私はメリットデメリットを分析して戦略的に地方に来たわけではなく、地方を選んだのは、独立するためには地方の方がやりやすそうだった、という理由でした。

自分が地方出身で修習も地方都市だったでなんとなく独立後のイメージがつきやすく、また、独立するなら地方の方がコストがかからないのは間違いないだろう、くらいの見通しで地方に来ました。

メリット、デメリットともに細かいものを挙げればいろいろありますが、ひとつ言えるのが地方の業務環境は多様化しており「地方だからこれが絶対有利・不利」ということはあまりなくなってきている、ということです。

例えば「地方は会務が大変」といいますが、昔よりは弁護士が増えているので会務との付き合い方は結構人それぞれだな、という印象ですし、IT化の恩恵によって、他地域から集客してある程度専門特化していくことも可能になりました。

ということで今日も地方街弁らしいバラエティ豊かな1日ですが、がんばっていきます!

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