弁護士は、正義の味方なのか?5歳の見方 #034
みなさんは、お子さんに自分の仕事をどう説明していますか?
最近、自分の子にちょっと仕事を説明する機会がありました。同じ時期に、たまたま中学生にキャリア教育の授業をする機会もありました。
そこで「子どもに仕事をどう説明するか」についてちょっと深く考えてみました。
お金を払わせる人、謝らせる人
前提として、わが家はどちらかというと夫の仕事の方が子どもへの説明が簡単なこともあり、これまで、私の仕事を子どもに説明する記載はあまりありませんでした。
そんなある日、子どもたち(5歳&1歳)が一緒にいるときに仕事の電話がありました。
電話が終わった後、上の子に「なんのでんわだったの?」と聞かれました。今までは「お仕事の電話だよ」と言えばそれで会話が終了していましたが、5歳ともなると興味の幅が広がったのか「おしごとのどんなでんわ?」とさらに質問されました。
そのときの電話は顧問先からの債権回収の相談だったので「お金を払ってくれない人に、払ってもらうためにどうしたらいいか、ってお話をしてたんだよ。大人でも、約束を守れない人がいるんだよ」と説明しました。
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また別の日、子どもたちと一緒にいるとき、今度は知り合いから電話がありました。電話の趣旨は、「仲間うちで金銭トラブルがあった。法的手段うんぬんもあるかもしれないが、まずは謝罪させることはできるか」という質問でした。
このときも上の子から「どんなでんわ?」と聞かれました。私は「悪いことをしたけど謝らない人がいて、その人に謝ってもらうためにはどうしたらいいのかなーっていうお話だよ」と説明しました。
しかし、この2回の説明を総合し、冷静に考えてみて、私は思いました。
「私は、約束を破る人や、悪いことをしたのに謝らない人の話ばっかりしている。このままだと子どもが世の中に失望してしまわないかな…」と。
自分の仕事は、正義の味方、とは思わない。それでも、子どもには、何かしら世の中に希望を持ってもらえるようなことを言いたい。
ところが、自分が子に伝えていることはむしろ真逆ではないか…と。反省しました。
ハコヅメみたいに「概ね仮面ライダーガッチャード」とか言えば良かったかな。。
そんな反省もあり、先日、上の子に「お母さんの仕事って人にお金を払わせたり、謝らせたり、嫌な仕事かもね」と聞いてみました。
すると、5歳もなかなか大人で、「うーん、けど、だいじなおしごとみたいだね」とフォローしてくれました。
かっこいい正義の味方、とまでは言えなくても、大事な仕事、くらいに思ってくれれば、今のところ母としては万々歳です。
中学生には届く「正義の味方」でもないよ、という話
で、これがさすがに中学生ともなると、格段に理解度が増します。
前記の会話の数日後、中学生にキャリア教育の授業をする機会をいただきました。
このような機会に私が話すのは、世の中に絶対的な「正義」というのはなく、弁護士は決して「正義の味方」ではないよ、ということ。
というのも人によって立場が違って、同じできごとの捉え方も人によって違うから。弁護士は、依頼者のために最善を尽くすけど、それを突き詰めると、相手にとって不利益な結果をもたらすこともある。もし、相手が完全な大嘘つきだったら嘘を暴いて悪を成敗する、で良いのかもしれないけど、大抵の場合、そんなことはないので難しいんだよ、といった感じで話します。
この話、中学生だと、感想を読む限り、結構理解してもらえます。
そもそも、この話って、弁護士の仕事を理解するために役立つ話ではないんですよね。人間関係全般の話しとしてで理解しておいた方が、生きやすくなるはずです。
これは、5歳の子に話した、世の中には約束を守らない、悪いことをしても謝らない人がいる、という話も同じ。
そんなわけで、何かの機会に思い出してもらえるといいな、と思って、上記のような話をしています。
なお、もう一つよくある質問「弁護士になるには六法全書を全部覚えるんですか?」に対しては「日本の法律は6つどころじゃなくて2000以上あるんだよ」と話して絶望させてます。
今思う、子どもに仕事の話をするうえで大切なこと
5歳の子への説明と中学生への授業を通して、私は、子どもに仕事の話をするときは、その人の仕事内容うんぬんだけでなく、世の中や人間関係について、悪い面、複雑な面も偽らずに伝えるのも大事、と考えています。
もちろん、年齢に応じて話す内容は工夫しなきゃいけません。それでも、どの仕事をするとしても世の中にはいろんな人がいて、決して学校で教わる社会のルールやモラルの枠組みで生きてる人ばかりではないことを理解したうえで生活することが大事、ということを、それぞれの年齢に応じた方法で説明することが必要だと思ってます。
というわけで、今日はやや子育てネタでした!
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