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たわいもない一言

月並みのメールが届く。
「いつもお世話になっております。」で始まり、最後は「今後ともよろしくお願いいたします。」で終わる。

ビジネスメールだ。
サイト運営を始めて暫く経つ。その中で様々なエキスパートの手を借り、メールのやり取りを通じて取引しているクライアントが何社かいる。

普段営業職など、メールでのやり取りをされる方は周知と思うが、ビジネスメールはある程度のひな型があって、時間効率を考え、なるべく簡潔に要点を絞って書く。悪く言ってしまえば情感もなく、味気無いものでもある。

そんな中ふと、一通のメールに目が止まった。一斉送信のメールなのはいつも通りなのだが、冒頭文を二度見してしまった。

「コロナの影響でなんだか不安な毎日ですね。体調など崩されていないでしょうか。弊社は在宅勤務体制ですが、全社員元気にやっております!」

へ?

あ…そうなんですか。
一瞬たじろいで、笑ってしまった。

ああ、良かった。顔も見たことないけど。元気そうで。いつも請求書のやり取りしかしないKさんもどこか不安で、思うところがあったのだろうな。

■□

ここ最近、たわいもない一言が棘棘しさを増し、辟易することが増えた。そんな中このビジネスメールは、私にとって嬉しいサプライズだった。

同じ一言なら、こっちだよなあ。こんな時だから尚更グッと来てしまった。

「皆様お元気そうで何よりです。こちらも在宅ですが元気です!」

私はずっと在宅だけど(笑)

Kさんありがとう。

ひな型と違う冒頭文を、笑みを浮かべて作った。

Kさんもたじろいでくれるといいな。
頑張ろう。

(たわいもない一言-Fin-)

読んでいただきありがとうございました。これをご縁に、あなたのところへも逢いに行きたいです。導かれるように。