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玖躬琉の部屋

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長い独り言や自身の経験を織り交ぜた随筆やエッセイらしきものもこちらで。
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#小説

水路(2)

赤いベルベットのソファーに案内され、差し出された人工的な緑色のメロンソーダの液体が、炭酸水と混ざり切らず、グラスの中でぐにゃりと波打っていた。 「あ、ちょっと待ってね」 おじさんは冷凍庫からバニラアイスを取り出して、そのメロンソーダに乗せてくれた。 「炭酸を飲むと骨が溶けるから小さい子は飲んじゃダメ」と母からきつく言われていた。 しかし 遊び疲れて喉が渇いていたのと、その宝石のように輝くエメラルドグリーンに見とれ、母の訓戒を忘れストローから口に含む。 甘かった。けど、

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本当にあった○○な話

5月は多い方で10連休!あっという間に月末かあ・・・と思う淀です。 もう「令和」には慣れましたか? 最近季節の巡りがどんどん早くなっているような気がして、北海道では35度を越え、道内で気温差25度以上だって。 異常気象が現実味を増してきて、自分が運よく長生きした時、お外に出られるか・・・取り越し苦労をしそうです。 先日「人生の選択」で登場した娘の住処も無事審査が通り、引っ越し準備中。 私自身は「書いて生きていく」というだだっ広ーい人生選択をし、有料にて配信させていた

人生の選択(2)

■私:中学3年8月 当時中学の担任だったN先生に呼ばれ、私は職員室に行った。 「あのね、あなたに合いそうな学校があるから見て欲しくて」 N先生は英語が担当で、偶然にも昔、私の2番目の姉の担任でもあった。 差し出されたパンフレットは、名古屋にある商業高校だった。 偏差値はそれほど高くないが、今年から「情報処理学科」が新設される共学校で、英語にも力を入れている。なにより魅力だったのが「うちの中学から一人もその学校に進学していない」ということだった。 「工業だと電気科や機械

人生の選択(1)

2019年5月21日 アパートの内見に付き合ってほしいと娘に言われ、不動産屋と共に車に乗り込んだ。 結局、いい物件は見つからず、もう一度不動産屋から探し直すことになった。 ■娘 高校1年の夏 「お母さん、ちょっとこれ見て欲しいんだけど」 夕飯の支度をしていた時、学校から帰ってきた娘は封筒に入ったパンフレットを持ってきた。中には聞きなれない楽器技術専門学校のパンフレットとオープンキャンパスの申し込み案内が入っていた。 手前味噌だが娘は学校の成績もよく、中学の頃塾にも

不必要なしがらみ

先日マンモスさんに描き下ろしていただいたイラストを ぽてさらちゃんのCDジャケットとともに「備考欄」に貼って(・∀・)ニヤニヤ これで元気になれちゃう淀です(´・ω・`)タンジュン だいたい、普通の家にこんなホワイトボードが置いてある方がどうかしてる。 左側には5月分の中央・地方重賞、動画納付期限やら、競馬以外のお仕事予定なんかが付箋で貼られている。直接マーカーで予定を書くことは禁止。理由は 「ふき取ったマーカーの粉が飛んで汚れるから」 ・・・砂短さん。あなた

空っぽの部屋で

2月18日に立ち上げたnote「淀ちゃん新聞」 急ですがLINE@にお引っ越しとなりました。 まずはアザラシと握手して友達になろう!!(ちょっとよく分からない) 結果を出して、皆様に勝ち馬を届けたいと思います!! あとは 改めまして、note「淀ちゃん新聞」は、たくさんの方にご活用いただけていたようで安心しました。ありがとうございます。新聞目的でフォロー頂いた方には申し訳なく。宜しければLINE@でポチっと♡よろしくお願いいたします。 まずは ■お引っ越しを決めた理

逢う魔が時は木の芽時(vol.2)

2017年3月21日 17:20 「帰ってください。」 「・・・え?」 今なんて言った? 「歩けるようになりました?」 「え・・・ええ。痛いですがなんとか足は動くようになりました。でもいたぃ・・・」 「ならお帰りください。ここではこの様な症例の場合、骨折しているか、排尿出来ない方しか入院は出来ないんですよー。痛み止めが効いているうちに早めのご帰宅をおすすめしますよ。」 カルテに追記しながら淡々と救急看護師は話す。 「待って痛み止めって切れますよね?もうあの