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自分の時間

私は、愛する彼氏と同棲している。

毎日がとっても幸せ。誰かと比べる気はなく、自分比で史上最高に幸せなパートナーを得て、満足の日々である。

なんといっても彼は若い。11個年下。かれこれ1年半以上付き合っているが、口半開きの彼の寝顔をみて「可愛いなぁ」と思ってしまう。

彼が時々不満そうに「俺をもっと褒めてよ、自信つけさせてよ。」と言うと、いの一番に「可愛い」とペットに近しい感覚でつい口走ってしまうぐらい、彼の顔立ちは、若く中世的で、愛くるしい。それなのに、たまにすごい雄を出してくるところが、たまらない。

そんな愛する人まみれの日々の中でも、それでも、”一人きりの時間”を得られることに、私はこの上ない幸福を感じる。二人でも、一人でも充実した時間。


今日は、彼と二人で三田の「魚介センター」で、貝汁したたるブリンブリンの巨大サザエや、濃厚な牡蠣、蛤そっくりのホンビノスを味わいつつ、甲乙種入り乱れ、飲み放題のやっすいお酒を楽しんだ後、

Instaで探したバー「Socie」までてくてく散歩し、マティーニ、モヒート、ヴェスパを楽しんだ。

終電前に家に帰ってきて、彼とくんずほぐれつ、ワッショイ交わしつつ、重なり合って「あぁ幸せ。明日死んでもいい。」と、そんな呟きを毎日繰り返している。


ぐったりしながら、傍で目に入ったのは、ラグの上に乱雑に脱いだ服、キッチンシンクに置きっぱなしのグラス、リモート直後の出しっぱなしのPCなど…、現実にかえる”明日の弁当”のことを思うと、

余韻もほどほどに、疲れ果てた彼の顔をしっかり拝んで、上にかぶさった腕を押し退け、「片付けなきゃ」と思って起き上がる。

乱雑に脱いだワンピースはそのままに、次に着るのは、まず、下着に、寒くて最近手放せない、レッグウォーマー、ババシャツに、今朝も着ていたパジャマ。もうブラはつけないからランドリーへ。

ターバンを装着したら、洗面所へ。まずはメイク落としの洗顔、そして歯磨き。化粧水・美容液・乳液をつけて、マッサージも。リンパが痛い。

とりあえず、キッチンに立ち、明日のお弁当準備として、冷凍してた『ミールプレップ』を明日用に解凍するために、レンジに放りこみ、追加するゆで卵を冷蔵庫から取り出し、やかんに優しく2つ転がして、ぐらぐら湯上がるのを待つ。半熟が好きだから、熱湯から3分砂時計を一度ひっくり返して6分。

その間、シンクに溜まっていた食器・グラスを洗って、ついでにシンクも洗い、ダイニングテーブルの上にあった、鍵、郵便書類、マスク、リップ、会社携帯を元の位置に戻す。明日必要なものは、それぞれのバッグへ。

そうこうしているうちに、レンチン終了。喉の渇きを感じて、浄水一気飲み。茹でた卵を水の入ったコップで冷やす。後は殻を剥いて、そのままお弁当箱へ。

床に落ちているワンピースとジャケット、一昨日のカーディガンもまとめてクローゼットに収納。部屋を明るくしても、彼はもちろん、まだ、寝ている。

ゴミの日は…今日ではないな。燃えないゴミも、今日じゃない。

部屋の片隅のゴミ箱に目をやるが今日は何もしない。

こうやって溜まっていた家事に集中して5分。ちょっと飲みすぎたから、あったかいハーブティー飲むか…。

すぐに部屋は片付く。至福の時間。彼もいるけど寝ているから、自分だけの時間。

ソファも、床もテーブルにも、片付けるべきモノは何もない。所定の位置にこれから何を初めてもいいように、リセットし、いつも「スタンバイOK」にして、ベッドに寝るのが好きだ。


彼に「よよちは、綺麗好きだねぇ」と言われたことがある。

と言っても、彼は、無いなら無いでやり過ごす大雑把なタイプなだけで、持ち物が非常に少なく、私の家に転がり込んできても、彼の荷物は私の持ち物の1/3ほど。

モノに執着がない人なので、一緒に住んでいる私はとっても楽。

大雑把な彼はよく、つけっぱなし、脱ぎっぱなしを、よくやる。だけど、私は、それを片付けるのがそんなに苦ではない。

電気のつけっぱなしなんて、センサーつきの照明にしておけば、解消される悩みだから「消してほしい!」と言ったことがない、本気で嫌なら、そういうシステムを導入する。し、つけっぱなしでも大した消費ではない。

衣類の脱ぎっぱなしも、大体が、洗濯かごに入れておけば、問題ないものばかり。「この衣類は手洗いにしてよ〜」とか元ダンみたいに言ってこない。

だから、観葉植物の面倒見るぐらいのレベルで、部屋の片付けのついでと思えば、彼の脱ぎっぱなしなんて大したストレスもない。なのに、片付けると、彼は、結構感謝してくれる。

彼が越してきて、彼のモノを私の家に納める時は、私が率先して、整理した。

彼の暖かいパンツがどこにあるか、たまにしか使わないキャンプ用品がどこにあるかは、私がだいたい管理・収納している。

私が片付けた方が都合がいいし。

彼は、元ダンと違って、私に家事を任せてくれるのでとても嬉しい。

そして、家事に口出しも、ダメ出しも、文句も、一切、言わない。

元ダンは、持ち物のこだわりが強すぎるし、物も多いし、家事をやりたがらないくせに、私がやることに対して、とても口出しをする人だったから、正直、一緒に暮らしてても、ちっとも楽しくなかった。

あの頃の、頑張って耐えていた自分の上に飛んでいって、未来の私から「もうすぐ、解き放たれるよ。頑張るんだよ。」と言ってあげたい。

一人の時間をこうして大切に感じつつ、彼もそばでいて寝ている。平穏。

仕事をしている、お給料ももらえている。体も健康で、美味しいものを美味しいと言える。彼もいる。

あぁ、とっても幸せ。と思って、ハーブティーを飲む。

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