DD(デューデリジェンス)の実際
スタートアップのCFOをやって分かったことシリーズ
DDとは何か
VC等がスタートアップへの投資に対してそれなりに本気度が高くなった場合、DDが行われることになります。デューデリジェンス(Due Diligence, 略してDD)とは、投資を行うにあたって、対象となる企業のビジネスや組織の実態、価値、リスク等を調査することを言います。
DDには相当量の資料の共有と質疑応答が必要になるため、スタートアップの負荷は相当なものになります(VC等の負荷も同様に大)。
DDの際求められる情報
DDの際には最初に相手から様々な資料の共有が求められます。代表的なものを図1に記します。これらの資料を揃えるだけでもけっこうな負荷だったりします。
Q&A
必要な資料の共有と前後して様々な質問がやってきます(時には数十個にわたる)。
典型的な質問としては、
〇事業をどのように見ているかという観点のもの
・事業計画の数値の根拠
・自社ビジネスの強み弱み、課題と対処方針
・ビジネス成長のためのKFS(Key Success Factor)
・技術の革新性に関する深堀
〇社長を始めとした人材の信用度を測る観点のもの
・起業に至った経緯
・現経営層が集まった経緯
・従業員の入退社の頻度や理由
などが挙げられます。
このとき注意すべきことは嘘をつかないということ。
事業計画は強気で楽観的なものになることが多いのも事実でそれは相手も織り込んでいるはずですが、明らかな嘘は後で揉める原因になるのでやめておきましょう。
DDも終盤になってくると投資条件に関するすり合わせも行っていきます。
端的に言うと、いくらの株価でどんな株式を何株分を出資者に買ってもらうのか、不測の事態が起きたとき株をどう扱うのか、等々を決めます。タームシートというものに論点をまとめてすり合わせることもよく行われます。
詳細についてはここで書くと長くなりすぎるので別稿に譲りたいと思います。
資料の共有に関する私見
以下DDとは直接関係ないです。
DDに必要な資料ですが、実は、監査法人や主幹事証券会社が引き受けを検討する際にも似たような資料を求められます。
従ってスタートアップ目線では、Google Driveに必要資料を格納しておいて閲覧権限だけ付与する形にすれば、投資家に対しても監査法人に対しても証券会社に対しても資料の準備は一回で済むので効率がよいです。
ところが、実際はそうはならない現実もあって生産性が低下します。
例えば、セキュリティポリシー又はシステムの都合上Google Drive等が使えないところがあります。この場合メールで個別に送付する(しかも送信できるのが10MBまでとか)必要があるとか、会社指定の使用ツールがありそれに則らないといけないとか、一回で済むものが個社対応にならざるを得ない場合も少なくありません。これだけ生産性向上が叫ばれているのですから、今どきのIT環境にアップデートしてほしいなと思うのですが、無理なんですかねぇ。
追伸)スタートアップのCFOをやって分かったことシリーズでは備忘の意味も込めて書き綴っています。各種質問やこんな話題を取り上げてほしい等のリクエストがありましたらご連絡いただければ幸いです。
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