見出し画像

「低ラインが生む悪循環」 松本山雅vs町田ゼルビア マッチレビュー

【試合概要】
6月5日14時キックオフとなった松本山雅FCvs町田ゼルビア。さて、ここ最近の山雅は攻守に明確な意図を感じられない試合が多い。今日の試合もそんな曖昧さが出たのではないか。

vs町田ゼルビア スターティングメンバー

ー前半ー
キックオフ直後から町田ペースという展開。サイドチェンジを巧みに利用しながら山雅ブロックを崩していく。前半10分、ゴール前で外山のファールをとられフリーキックに。混戦から吉尾海夏が押し込み町田が幸先よく先制する。3試合連続で先制点を献上した山雅だったが下を向くことなく、今季リーグ戦初出場のルカオや前を中心に町田陣地へ攻め込む。そして14分、セットプレーの流れから表原が見事なボレーを叩き込み同点に追いつく。これで勢いにのって欲しいところではあったが、16分にアクシデント。裏抜けした中島を常田が後ろから倒してしまい、一発退場。一枚目の交代カードを切りざるを得なくなった山雅は河合秀人に変え、星キョーワンを投入。河合は個人的に、攻撃や守備のスイッチャーとなるなど、欠かせない選手であっただけにこの交代は非常に残念だ。さて、一人少なくなった山雅はルカオを前線に残し、低いラインで相手を構えるようになる。悪い流れが続いた中で42分中島に決められ、前半は1-2スコアで終えた。

ー後半ー
流れを変えたい山雅は柴田監督が動く。ルカオに変え村越を投入。ルカオは今季初出場ながらターゲットマンとして素晴らしい仕事をし、今後の戦力として十分やっていけそうな印象を受けた。そして、5-3-1から4-4-1に布陣を変え、前半のリトリートから打って変わって、より前からプレッシングをしようというメッセージが読み取れた。が、一人少ないことに加えて町田のビルドアップやサイドチェンジが非常にうまく、山雅のプレッシングは常に後手に回ったように感じられる。そして前線からの積極的すぎるプレスは裏に広大なスペースを空けてしまう。大カウンターを食らった山雅は、68分に長谷川、75分に太田、84分には平戸に決められ、終わってみれば1-5というスコア。非常に厳しい現実を突きつけられた。

【町田ゼルビアの圧倒的な強さ】
山雅がひとり少なかったとはいえ、町田のサッカーの完成度の高さには驚かされた。山雅を攻守両面で圧倒。ポポヴィッチ監督のもと、素晴らしいサッカーを展開していた。特に攻撃時に3-1-5+1(平戸選手)の形へ変化し相手を押し込む。前線の5枚で相手の守備陣を釘付けにし、平戸選手に自由を与えることによって攻撃にアクセントを加える。ワンタッチプレーで相手をいとも簡単に剥がしてゴールに迫る。守備時はきれいな4-4-2ブロック。CBも安定していて、6位という順位が頷ける強さであったし、町田ゼルビアのサッカーが好きになった。これからも町田を追っていきたいと思った。

【結果】1-5 
山雅  (14.表原)
町田(10.吉尾 42.中島68.長谷川 75.太田 84.平戸)

【考察】
さて、直近3試合を終えて11失点。堅守の山雅が失われつつある。この原因は何なのか。色々な要素は考えられるが、一番は「低重心ブロック」ではないか。例えば前節岡山戦の2失点目。上門選手が華麗なドリブルから見事なコントロールショットを決めた。このシーンを見てみればわかる通り、「低重心」なのだ。加えた5バック。重心が低すぎるがゆえに前へのプレスが遅れる。

前節岡山戦の2失点目のシーン。カバーをする選手がいない。加えてCBが2枚浮いている。

後手に回り続けた結果、一番使われてはいけないエリアを簡単に使わせてしまう。結果的に、ここ最近の失点に繋がってるのではないか。他にも選手間でどういった守備をするのか連携が取れていない場面も多々見受けられる。今日の試合序盤も前線3枚は前からプレスをかけているのに後ろからの押し上げが遅く、簡単にサイドチェンジを許していた。
こういう結果になるとやはり監督交代が必要なのか。監督の交代で状況が全て良くなるとは思ってないが、「もっと整理されたサッカーをするために」そして「勝つために」は、監督の交代も視野に入れる必要がある。ここ数試合の柴田監督の采配には少し疑問に思うこともある。ただ、今日の後半の村越の起用は「前からプレスをしよう!」「点を取りに行こう!」という明確な狙いが見えた。もう少し待つべきなのか、それとも早急に監督を交代すべかなのか。今後の状況を注意深く見ていくしかない。
               ONE SOUL

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?