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& episode 004

くにちゃんと僕の出会い。

それは、7年前になる。

当時、僕とくにちゃんは大学生だった。大学も、学部も、サークルも全く接点がなかった僕らは、ある就活のイベントで知り合った。

今も昔も、就職活動というやつは学生をより強い人間する「試練」だと思う。

たった大学4年間で、どんな差がつくのか。

僕は建築を専攻しており、すでに専門が決まった立場だった。

就活イベントは、高校時代からの友人にどちらかというと連れてこられた感じだった。多くの文系の学生は、この就職活動で「何かになっていく」らしい。

巨大スタジアムを埋め尽くす学生の群れを見ながら、僕はその熱気に呆気にとられた。

建築を目指すものは、高校の時点で「建築家」になることを志す。その職業は、入学してから卒業するまで揺るぎないものだ。

一方、そうでない学部(主に文系)は、4年間「学生である」ことを満喫する。

「『学生である』こととは、なんぞや?」

このイベントのメイン企業として、後にくにちゃんが勤めることとなる日本を代表する総合商社のトークショーが設けられていた。

スタジアムの内野であろうシートに座り、僕は、トークショーを聞く準備をした。

丁度、左隣に、「綺麗でいかにも出来の良さそうなお嬢様集団」が居た。

その筆頭が、今の僕の彼女、くにちゃんだ。

「この商社に、興味あるんですか?」

お嬢様よろしく、品のいいクッキーを差し出しながら、相手を牽制というわけだ。

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