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【今月の自己紹介】愛読書の話

 今月の自己紹介シリーズ、初回である今回は愛読書について語ろうと思います。好きな本は色々ありますが、今回は小説のなかで最も好きな作品を紹介します。本当は2冊紹介したかったけど、長くなってしまったので1冊だけ......。

【愛読書①】限りなく透明に近いブルー / 村上龍 著

 私が最も好きな小説です。そして作文において最も影響を受けたと言っても過言ではない作品ですね。ドラッグ乱交パーティー小説が?!?!?!と突っ込まれるかもしれませんが、そうだよ。

 この作品と出会ったのは確か高1の冬。バンドマンがビートルズを聴いて衝撃が走るように、私もこの小説を読んで世界が真っ二つに軋みましたね(元ネタ:神聖かまってちゃん・銀杏BOYZ)。グロテスクとロマンと孤独が絶妙なバランスを取り合っている作品だと思います。

 この作品を読んだことがない方に軽く説明すると、村上龍氏が自身の経験をもとに、若者たちがヒッピー!ドラッグ!ファック!みたいな生活を送る姿を描いた話なんですけど、まあ冒頭はめちゃくちゃ無秩序で暴力的な描写が続くんですよね。おまけに1976年の作品なので、全体的に古い。パンタロンなんてゆらゆら帝国でしか聞いたことねえよ(?)。現代人だと脱落してもおかしくない作品ではあります。

 けど、社会から目を背き、欲望や本能のままに仲間たちと過ごす日々は本質的には空虚である現実、そこからさらに逃げたくてここではないどこかを願うけど、そんな場所はなく、中毒死していくような仲間たちと自分(というか主人公)(※自己解釈入っています)の描写が天才的に美しすぎるんですよ!!!!
 高1という多感な時期()に読んだものですから、本編にちりばめられている「帰りたい」「死にたい」「殺して」という叫びの数々がまあ刺さる刺さる。私はただ一生バンドのライブ動画とアニメを見ていただけなのですが(?)。

 この作品の好きなところは挙げればマジでキリがないのですが、探照灯が暗闇を照らすことを「巨大なオレンジの円は夜を次々に引き剥がしていく。様々なものに貼り付き包んだ夜を簡単に剥がしていく」と描写しているのを初めて読んだとき、凄く衝撃を受けました。「照らす」じゃなくて「引き剥がす」?!しかも夜を?!?! 天才か?!!となりました。今でも今まで出会った小説のなかで最も好きな表現です。

 この投稿のために軽く読み直したんですけど、そんな表現が出来るのは村上龍氏が物事を本質的に見つめようとしている姿勢があるからで(と思っている)、当時は別に創作をしているという訳ではなかったのですが、「文章を書くってこういうことなんだな~」と感じ、力を入れて文章を書く時は心がけるようにしています。

 ちなみに、物事を見つめようとすることに対しては、「リュウ、あなた変な人よ、可哀想な人だわ、目を閉じても浮かんでくるいろんなことを見ようってしてるんじゃないの? 上手く言えないけど心から本当に楽しんでいたら、その最中に何かを捜したり考えたりしないはずよ、違う?(中略)赤ちゃんは知らない人の目をじっと見て泣き出したり笑ったりするけど、今他人の目なんかじっと見たりしてごらんなさいよ。あっという間に気が狂うわ。やって見なよ、通り歩いてる人の目をじっと見てごらんなさいよ。すぐに気が変になるわよ、リュウ、ねえ、赤ちゃんみたいに物を見ちゃだめよ」という言葉を掛けられているシーンがあります。久しぶりに読んだらぶっ刺さりました。そうなんだよ、ただ見えないものを明らかにしたいだけなのに、向き合えば向き合うほど自滅に向かっていくんだよな............。

 本当にキリがないのでこれくらいにしますが、とにかく私は「限りなく透明に近いブルー」、そして村上龍氏が大好きです。作品はそれなりに読んでいるつもりですが、でも全ての作品は読んでいないです。理想の文章すぎて、思考も文体も全て真似してしまいそうだからというジレンマ...…。死ぬまでにちまちま読んでいこうと思っています。

 村上といえば、村上春樹氏と対比されることがよくありますが、私はなるべく読まないようにしています。なぜなら村上春樹に影響を受けている奴が書く文は高確率でイラつかせるからです。君の周りにもいるだろ......?!(ファンの方、ごめんなさい。でもやっぱそう思う。)


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