大学生が個性を身に付けたければ勉強すれば良いという話
今、世の中では
「個性の時代だ!」
「人と同じじゃだめだ!」
「学生のうちに個性を!」
と叫ばれている。たしかに就職難のこの時代、人と同じことをしているだけだと淘汰されてしまうのかもしれない。
そこで大学生は色々なことを考える。例えば留学に行ってみたり、色々なボランティアをやってみたり、サークルの代表になってみたりする。確かにこれらは素晴らしい経験で、近い将来、エントリーシートに書く材料にもなるだろう。
しかし、もっと簡単に、かつ、もっと珍しい個性を身に付ける方法がある。
それは
自分が入っている学部・学科の勉強をしっかりすること
である。「そんな普通のことをして意味があるわけない」と言う人もいるだろう。でもよく考えてみてほしい。果たしてこの世の中にどれだけの人間が、自分が所属している、あるいは卒業した学部・学科の学問について自信をもって語れるだろうか?
よく耳をすませてみれば、「一応、化学科でした」とか「一応、経済学部でした」という声が聞こえてくるはずだ。
もっとも、10代後半から20代前半という輝かしいときを、勉強とは全く別のことに使うのは悪いことではない。ここで言いたいのは、大学生のほとんどは、自分が所属している学科の勉強をしていないということだ(今大学に通っている人からしたら、何をいまさら、という感じだろう)。
しかし、
だからこそチャンスがある。
例えば自分の場合、大学では物理学を専攻していた。授業がないコマ(や興味のない授業)では、図書館で借りた本をひたすら読んだりしていた。特に無理をしていたわけではなく、周りがスマホゲームなどにハマる中、自分はそれとほぼ同じ感覚で数学や物理を楽しんでいただけだった(だから別に寂しくない!)。
そして長期休暇には、数学や物理のイベントに泊まりこみで参加してみたり、研究者の卵を養成するような勉強会などに色々と参加していた。
その結果、学部を最優秀の成績で卒業し、4年生のうちに自分の研究を学会で発表することもできた。なにも青春を捨てて勉強に励んでいたわけではない。授業が終われば大学内のカフェで同じ学科の友人とワイワイしていたし、休日になればレンタカーで出かけに行くし、卒業旅行だって最高に楽しんだ(なぜかこう書くと嘘っぽくなる...)。
それでも、大学で一番勉強していた自信はある。一番勉強していたやつが、一番良い成績をとっただけの話だ。
そして今、自分はYouTubeで数学や物理を教える仕事をしている。これができているのは紛れもなく、
勉強によって身に付けた「個性」
のおかげである。この先、もしYouTubeがなくなることがあっても、自分の仕事がなくなるとは思っていない。たとえ自分のレベルでも、世の中に数学や物理のことを同じレベルで話せる人間はそう多くないからである。
2019年の日本において、大学まで進む人は全体の約50%らしい。つまり大雑把に言えば、受験を経験した時点で、理系なら理系科目の知識が、文系なら文系科目の知識が、少なくとも同世代の半分よりは詳しいことになる。
そこから各々の学部・学科に分かれていく(例えば理工系は全体の20%ほど)。さらに、その中で真面目に勉強する割合を考えれば、自分の専門に詳しい人間がどれだけ希少な存在か、理解できるはずである。
冒頭で例にあげた留学やボランティアなどは、自らかなり能動的に行動し、自分が今いる環境から動いて行く必要がある。しかし、大学で勉強することについて言えば、すでにその環境が整った状態で、自分がいるその場所で、人よりある程度努力をすればいいだけである。
なんとコスパがいいことか!
好きな生物や細胞について死ぬほど熱く語る生物学科、リーマンショックについて余裕で5時間は話せる経済学部、ヒエログリフでLINEしてくる人間文化学部、そんな人がいたら自分はめちゃくちゃ個性的だな!と思うし、ぜひ友達になりたい(今友達がいないわけではない)。だから大学生のみんな、
勉強はマジでおすすめだよ!
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