自分のこと・どちらでもないということ

※ジェンダーについての記述がありますが、素人が好き勝手述べていますので注意してください。決して個人や該当する人を誹謗中傷する意図はありません。

自分のことを真面目に定義したい、と思った期間がある。例えばジェンダーや精神状態だが、調べた上で、この2つはかなり揺れ動く(どんな人でも一定ではない)と知った。

だから今はあまり意識していないし、枠に当てはめたりラベルを貼ることに躍起にならなくてもいいと思う。その姿があまりかっこよくないな、と思った。

けれども、自分の今の所属がない訳でもないし、せっかく調べたことをどこにも言えないのももったいないので、これを書いている。

ここでは自分のジェンダーのことを話したい。

定義しようとしてネットを色々調べ回った結果、自分は「アロマンティック・アセクシャル」の「Xジェンダー」なのではないか？と思った。

「アロマンティック・アセクシャル」とは「他人に恋愛感情を抱かない・他人に性的魅力を感じない」人のこと、そして「Xジェンダー」は「自己を出生時の性別とは別の性別だと認識している人」だと記憶している(間違いがあったり言葉足らずだったらごめんなさい)。

当時の自分にはその通りに思えたし、今でもあながち間違いではないと思う。でも今この事を意識するとかなり薄気味悪い。

何が気味が悪いのか。1つは男性性・女性性の2択にかろうじてその他が用意されているという感じがあること(本当は特異なものではなく無限にある性別の中の1つでいたい)。そしてもう1つは、性的な行為がフィクションではなく実際に行われている"ごく普通の行為"であること、その普通の行為を身近に感じたくないことに起因する。

自分の意識に男性性・女性性という枠の概念や、生身の人間の性的な要素がのぼるだけでも気味が悪くなるということだ。

もしかしたら自分は、性交渉に対して負の感情を持っていて、そこから逃れたかったり、自分はそうはなりたくないと思っているのかもしれない。そういった感情を性嫌悪というが、性嫌悪がどこから発生したかはまだよく分からない。

ジェンダーの用語は分かりづらい。調べたけどよく分からない。ただ分かることは、今は「死んだ後もずっと他人と性的接触をしたくない」、「男性ではないが、かなり強く女性であることも否定したい」、「誰も好きになったことがない」ということだ。

この"分かること"を表す言葉を探したら、上記のラベルになった。

性の話は置いておいて、「性別」の話をもう少ししたい。

自分は男ではない。外見だけなら女だ。顔の作りには不服はない。おかしいかもしれないが、男女どちらであることも否定するわりには、自分の身体的特徴を悪く思っていない。胸が出っぱっていたとしても、「自分の身体だ〜」というよりは「自分の持ち物だ〜」なのであまり苦ではない。なので取りたいとか、手術が必要と思ったことはない。肉体の性転換願望はない。

女性であると必ずついてくる世間のイメージは、ものによってはむしろ好きだし、逆に無理だなあと思うこともある。

例えば「女性は化粧をする」というのは、かなり都合がいい。キラキラしたものや色が好きだし、それをよりにもよって顔につけていいなんて、すごく面白いと思う。はじめて買ったお高い化粧品は黄緑の口紅だった。

でもこれに関しては少し悩んだ。「女性ではないのに化粧してもいいのかな？」と思った。世のftx(身体は女性で心がXジェンダー)の人たちはむしろ化粧は避けたいのではないか？つまり、自分はおかしいのではないか？とか、カミングアウトしていないし"都合がいい"と思っている時点で外見が女性なことを利用しているし不誠実なのでは？といったことを考えた。

しかしこれは、そもそもの悩みがおかしい。確かに今でも化粧する男性と化粧する女性を比べれば化粧する女性の方が多いだろうが、だからといって化粧を女性特有のものとするのは古くさい考えだ。化粧は誰がやってもいいし、やらなくたっていい。だからこの悩みは解決した。

逆に「スカートを身に付ける」はあまり実行には移さないものだ。スカートを身に付けている人は素敵だと思うし、たまに形や柄に惹かれて自分でも買うことがある。でも着ない。

これがなんでかはあまり分からないが、寒かったり、脚の毛を処理する気持ちになれなかったり、ジーンズなどの方が安心するということはあげられると思う。自分が身に付けるためのアイテム、という実感がない。

話が少し戻る。

自分は外見に不満を持ったことはないが、その上で男性とも女性とも思われたくない人間だ。簡単にいうと女の身体だし化粧もするが、女だとは思われたくない。もし可能なら、身体の性別は据え置きでいいので、中身の性別を人目で分かるように表示しておいて欲しい。頭の上とかに。

じゃあ中身の性別は何なんだ？と言われると、「無性」が一番近い気がする。言葉はたくさんあって作るのが大変なので、すでにある単語を使わせてもらった。

ここで少し思うのが、自分とは違い「外見に違和感がある」人たちは、困難が多いだろうなということだ。手術や、男女どちらともとれないようにするファッションの工夫が必要な人の場合、「分からなくしなければならない」ということはかなり気を使うと思う。自分の身体の性別を他人から見てうやむやにすることは、難しさのレベルが高そうだ。

他にも思いを巡らせると、「男女どちらでもある」人や「男女の真ん中」の人たちは調整が難しいだろうな、とも思う。自分は「据え置きでいいので頭の上に「無性」の看板でないかな〜」で悩みは終了、あとは周りに紛れてなんとなく生きられるが、「どちらでもある」人はもしかしたらその時の性別によってファッションに2倍のお金がかかっているかもしれないし、「真ん中」の人は真ん中になるようにバランスをとるのが大変かもしれない。

さて、書きたいことはだいぶ書けたが、まとめに当たる部分が特にない。だいぶ満足してしまった。言うとすれば、人はみんなひとりひとり別の生き物なのだから、全く同じ方が驚きだということだ。

だから、ぴったりのラベルだと思っても5年後にはしっくり来なくなるかもしれない。自分も5年後には結婚しているかもしれない。今のことだけ過去のことだけ考えすぎて、将来までガチガチに固定してしまうことはない。いろんな可能性があっていい。

そういうものなんだなあと思ってゆったり生きていきたい。