マガジンのカバー画像

ぽろぽろ

35
掌編小説集。こぼれおちた種のように小さな作品ばかりです。
運営しているクリエイター

2022年7月の記事一覧

掌編小説 巣立ち

卵から孵ると、わたしはもじゃもじゃの中にいた。教授の頭の上だった。くせのある柔らかい黒髪…

69

掌編小説 朽ちながら光る

大そうじをしよう。 部屋のなかのほこりを、頭のなかのほこりを、一掃する。ほっかむりをして…

57

掌編小説 路地裏の庭師

オフィス街にほど近いマンションに住んでいる。ベランダからは立ち並ぶ高層ビルが目に入るが、…

71

掌編小説 言花(ことはな)

口を開けば、言葉のかわりに花が飛び出すようになった。息が、唇から漏れ出るかどうかのところ…

62

掌編小説 カオドリ

自分の顔は、自分のもののはずなのに、一生自分の目で見ることができない。鏡に映してみたとこ…

75