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宝物の樹 / 【眠り姫】

演目【眠り姫】

物語はおとぎ話でありサスペンスでした。

あるところに
オーロールという少年と
ジュールという少女がいました。

オーロールには太陽、
ジュールには月という意味がありました。

少年は太陽、少女は月だったのです。

少女は少年の想像する夜の中に在って、いつまでも眠り続けました。そして、少年もまた、少女の想像する朝の中に在って、いつまでも眠り続けました。

月が目覚めるのは太陽が眠った時で、太陽が目覚めるのは月が眠った時でした。

月は太陽に憧れました。
太陽は月に憧れました。

少年は、いつまでも眠り続ける少女を眠り姫だと思いました。
少女は、いつまでも眠り続ける少年を幽霊だと思いました。

二人が出会えるのは夢の世界だけだったので、現実の世界で会ってみたいと思い続けたのです。

→ユメヨミ


月である少女は空に願いました。
「太陽と出会えますように」

すると空は答えます。
「太陽はあなたのことを思い、描いているよ。思い焦がれて全てを焦がしてあなたを思っているよ。だから、あなたはその思いにこたえ、ただありのままを表せばいいのです。」

少女は、少年が思い焦がしているのならばと、風を吹かして歌いました。

→Magic 


月である少女が大地に風を吹かせると、大地に生きる者たちは驚きました。

「どうしてそんなに風を吹かせるのか」

少女はこたえました。

「太陽に届くようにと謳っているのです」

なるほどそうかとうなずいて、と大地の者の一人が返しました。

「太陽は、いつも海の向こうへ消えていく。だから大地に風を吹かせるのは見当違いだからもうやめてくれ」

少女は驚き言いました。

「わたしも海の向こうは探しているわ。どうして会うことができないのかしら」

→回帰船 


月である少女は海にたずねました。

「夜に眠っている少年、太陽に会いたいのだけれど、、、」

海は答えました。

「決して会うことはないでしょう。あなたの姿を海に映してごらんなさい。本当の姿がわかるはずだよ」

言われるがまま、少女は海に姿を映しました。すると、そこには少年の姿が映っていました。

「夜、月が目覚めると太陽は眠る。
朝、太陽が目覚めると月は眠る。
起きている間は、眠っている自分の姿を見て、眠っている間は起きている自分の姿を見ていると、そういうわけさ。」

→糸繰人形 

(本当の自分に気がついたのなら、それは一つの宝物になります。宝物は外側だけにあるものではないのですから。
宝物をもって出かければ、新しい宝物が見つかるかもしれません。
本当の幸いは、あなたの中にも、あなたを映す世界にもあるのです。)

よあけのばんは、大阪で世にも小さな音楽劇団として活動しています。どこかで公演を見ていただけたら嬉しいです。応援よろしくお願いします。