あこがれのたべもの
土がたべたい。
ええ、そうです。
草や木や花が育つ、私たちがいつも踏んづけている、あの土です。
それはずいぶんと前になるのですが、川上未映子さんの『すべて真夜中の恋人たち』という小説を読みました。
内容はもちろん素敵なのですが、私にとって出会いの多い小説でした。
一つはショパン。作品番号57番『子守唄』。
元々は『変奏曲』と付けられていたように、左手が変ニ長調のⅠ→Ⅴから成る音形をひたすら繰り返し、右手がひたすら変奏をしていくというもの。
変わらないもの、あたりまえのもの。
そういうあたたかさを含んだものの上で、弾けて飛び跳ねてキラキラ輝く光の粒子。
晴れた日の公園のベンチなんかでサンドイッチなんか食べながら聴いてみてください。
サワサワと姿を変える木漏れ日を見ながら。
そして2つ目。
それは『ヌキテパ』という名前のフレンチレストランです。
なんとここで出て来るのは土を使った料理。
すっごく興味を惹かれて調べてみたら、なんと実在するお店ではありませんか。
サイトにもはっきりと『土のフルコース』の文字が。
いったいどんな味がするのでしょう。
どうやら本当に土の味みたいです。
ますます食べてみたい……!
ちょっと私には背伸びが必要なお店ですが、いつか絶対に行ってみたいです。
それまで私のあこがれのたべものは、土。
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