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第3話:股関節と筋力強化の大切さ


1.運動のタイプは?

廣橋先生が行っていた運動療法にはシンプルな特徴がありました。

📍CKC(閉鎖性運動連鎖)の運動が多く、関節負荷を考慮しつつ、衝撃吸収に関わる抗重力筋を強化した。

📍ただし患者の症状によっては、ストレッチングを多めにしたり、等尺性運動を取り入れるなどプログラムは変更していた。

📝現在、私自身がリハビリで処方する運動もCKCが多くなっています。衝撃吸収という側面もありますが、CKCで身体の他の部位を支持する(支点にする)ことで、運動をより容易に、そして全身の協調性やCore(コア)の機能が促進出来る利点があります。(一方で、ジャンピングスクワットなど衝撃の高すぎるものは、行っていません。片足スクワットも、患者さんでは通常負荷が高すぎるケースもあります。)
ストレッチングも、方法は違えど、柔軟性を向上すべき大切な筋肉は現在も変わっていない印象です。

運動
CKCとOKC:関節面応力(かかる力)の違い
ストレッチング

2.そもそも何故”鍛える”のか?

廣橋先生は、股関節を”強化する(鍛える)”という考えに至った理由を3つ、述べています。
1)関節を使用すると関節軟骨が摩耗するとされているが、患者さんに説明するには良い表現だが、真意のほどは明らかでは無いStrange
2)関節を固定して動かさないでおくと、動かしていた関節(動物・ウサギ)より関節軟骨の厚さが薄くなり約1/3になった(Ekholm)
3)筋の働きとして、①関節を動かす②体温を維持・上昇させる③関節の動的安定性を保つ④循環を良くする⑤衝撃力を吸収する(Shock Absorbing Action)

関節は、適度に動かしてこそ関節であり、栄養と循環が良くなると考えられます。

3.維持量について

運動を続けると、多くの人は開始して1−3ヶ月は出来る回数が急速に上昇し、次の3ヶ月は緩やかな上昇となり、以後は平坦化してきます。
(図はスクワット、段の昇降、片脚立ちの回数/30秒間の変化)

この平坦化した時期の回数を”維持量”として毎日行ってもらう回数として設定します。一旦ここまで上がるまで継続出来るかが、最初の壁になるでしょう。

4.症例のエピソード


📍次のX線写真は症例です。(上から14歳、21歳、30歳)
両側のDDH(先天股脱臼)がある女性で、14歳で水泳の後に痛みが出現しました。
運動療法を開始しましたが、X線だけ見ると14歳〜30歳で大きな変化はありません。

📍図は同じ症例の、外転筋力の変化と片脚スクワット回数の変化を、時系列で追ったものです。

X線写真の変化
外転筋力、片脚スクワットの変化(生活背景の変化との関係)


気づいた点は、

症状が出たタイミングで外転筋力は落ちている
高校卒業後一年間浪人しており、その時期に筋力が落ちている
運動が始まると筋力は回復し、それは片脚スクワットの回数の増加と一致する

📝画像が変化しなくても、症状は筋力の低下と共に出現することがある

📝生活に大きな変化があった時などは、筋力なども変化し易く、症状再発の原因になる?

✒︎股関節症の痛みや症状は筋力"だけ"が原因では無いですが、一つの大きな要因であることは間違い無さそうです。

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