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最後のハーモニカ

■2023年(両親81歳)

10/17
単身で訪問 10時頃

2人とも1F食堂にいた。

父と二人で久々に居室へ。

椅子から立ち上がって歩き出す時、フラフラしている。

支えていないとあらぬ方向へ行ってしまいそう。方向感覚がかなり失われている様子。

エレベータに乗り込み、何とか居室に到着。

ベッドに腰掛けてもらい、父の足の状態をチェックする。

足の甲はやはり赤くまだら模様になっている。

父は笑顔で上機嫌。

久々にハーモニカを吹いてもらおうと思い立つ。

十八番の「みかんの花咲く丘」をお願いすると、任せてよ! という感じで自信たっぷりの様子。

ハーモニカを父の手の上に乗っけて持ってもらうと、前奏から滔々と見事な吹きっぷり。

終始目をつむって演奏に浸り、最後はスローテンポにして終えるという演出付きだった。

吹き終えると、自ら手を重ねて拍手している。ご満悦の様子。

尚子「おぉー! 上手だね! 忘れないねぇ。上手。素晴らしい! ちょっと最初のところもう一回吹いてくれる?」

冒頭のところが撮影に間に合わなかったので、もう一度お願いしてみる。

父「みかんの花ってどういうふうんだったっけ?」

今しがた吹いたばかりなのに、もう忘れている。

尚子「♪み~かん~のは~なが~」

父 「あぁ!」

エへへと笑いながら、もう一度吹いてくれた。かわいい父。

まさか父のハーモニカ披露がこの日で最後になるとは、この時は想像だにせず。

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