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はじめに:スモールビジネスの教科書の輪講

スモールビジネスの教科書の輪講を行うにあたって全体像を整理しておきます。


ゴールと方法

なぜやるか?何を学ぶか?

皆さんが現在、事業構想のタイミングで悩まれていると思われる
・どうチャンスの市場を捉え発案するか
・どうニーズを捉えるか
・どうソリューションを作るか
について、実学的にスキルをつけてもらう

なぜ今、事業企画をスムーズにできないのか?

1、先人の知恵を先に学ぶべき
  事業や商売は、お金が絡むものでありみんな必死に考え、実践することで、その人らしいやり方を構築する。そういう中で、いきなり何の武器もなく事業を考えるのは難しい。先人の知恵をしっかり学ぶことが大切

2、大きな事業はスモールビジネスの延長線上にあるべき
  大きな事業とスモールビジネスは求められる観点が異なる。それらの違いを理解し、まずはスモールビジネスの考え方からスタートして、大きな事業を考えることでステップアップしていくのがよい。もちろん初めから大きな事業を考え、実行できる人もいるが、ほぼ運ゲー。連続起業家でも普通は小さい商売から始める。

そのためにどう学ぶか?

1、現代的なスモールビジネスの考え方を本書籍で学ぶ
2、それぞれの章・節を担当者が説明をする
3、それぞれの章・節のテーマについて自分のPJに当てはめた場合、どのように考えたか、考えているかを議論する
  (観点として考えられているかどうかもわかる)
4、3を皆と議論することで各章の理解を深める

輪講の進め方

特に第一章を中心に読むことにします。第一章を皆で読みましょう。また各節の担当者は

  • それぞれの章で私がまとめたサマリと質問事項を見る

  • それを踏まえて、自分なりにその節のサマリをまとめ、自分のPJに当てはめて質問に答える

としましょう。

ではスモールビジネスの教科書を読んだ結果得られるもののサマリを以下で説明する。

スモールビジネスの教科書を読んだ結果得られるもの

スモールビジネスの教科書を読んだ結果、以下の手順でスモールビジネスの企画ができるようになる

1、事業を展開する領域・市場(探索領域)の選定ができる。前提条件として与えられる場合もある

2、その市場において儲かっている企業およびその手法を把握できる

3、2と並行して、顧客セグメントを絞り込み、バーニングニーズ(深く強いニーズ、ペイン)を発見できる

4、3のターゲット・ニーズに対して、2で見つけた企業の儲けの手法を模倣し、マイナーチェンジ版としてサービスを立案する

スモールビジネスの発案の方法

よくある新規事業との違いは、単純であり、全てを自から発案するのではなく、儲かっているものの模倣品を作るというものである

この手法は大企業の事業開発においても有効と考える。

理由は
・売上規模が十分:著者に従えば、「売上100億円以下を目安にする」。特に大きな投資をするわけではない、事業開発においては投資対効果は十分と考える
・次のビジネスので起点となる:あくまで初期のビジネス開発としてこの方法を利用し、次のステップでさらに大きなビジネスへ拡大するべき
と考える

事業企画におけるよくある失敗例

では、なぜ、この手法は他のよくある事業開発の方法より優れていると考えられるのか?

そもそも事業開発は自己流のものが多く、成功したもの勝ち、という側面が大きく再現性が乏しいものもある。世の中に出回っている事業開発の方法も手法としては正しいが、理解が難しいものもある

そこで起こるのが見様見真似で事業開発を実行することによっておこる失敗である。

事業開発の基本としては、ターゲット顧客、ニーズ、ソリューション、ビジネスモデル(市場・PL)の明確化とそれらの実行、に尽きると考えられる。

これらに照らし合わせてよくある失敗例を紹介したい。

1、プロダクトアウト思考・ソリューションから考えてしまう

これは非常に多くの場合に起こるが、ターゲット顧客、ニーズに対するソリューションではなく、ソリューションありきの発想してしまうことである。これはたいていの場合、顧客のニーズとマッチせず、ソリューションを開発したとしても売れない。

また、ソリューションから、それっぽいターゲット・ペルソナやニーズを逆算してしまう場合も多くあるので注意したい。

一方、本書籍の方法を使えば、ソリューションから発想をしないので、この失敗をすることはない。

2、既存の技術から考える

1とほぼ同じ形になるが、何かを実現できる技術があり、そのシーズから考えるとこれも顧客のニーズに合致しないものしかできない。

技術から考える場合は、あくまで制約条件としてその技術を使う、とし、市場・ターゲットの考え方は本書に従う方法が良い。

シーズベースのものは本来事業においては存在しない。核融合発電のような技術は、そもそもその技術において、全世界の電力ニーズを満たすもの、であるからこそ、技術革新に注力して開発が行われている。もともと別の利用シーンから開発されたものを顧客のニーズと合致させるステップを踏んでいるわけである。

3、市場を考えない

ターゲットも明確、ニーズも明確、ソリューションも開発できた、しかし売れない。
これもよくあるパターンである。そのパターンのたいていの場合は、市場を考えていないことが原因である。

顧客の課題があるが、事業運営をしていく中では、しっかり利益を創出し、それを使って事業を拡大することが必要である。その際、市場(原資)がなければ、いくら頑張っても努力は報われない。
世の中にニーズはたくさんあり、それを解決する手段もたくさんあるが、それが実行されていないのには理由があるわけである。

また市場は一人では作れない。世の中の潮流というものがあり、それを意識した事業開発は成功のための大きな要因となる。

本書に従えば、探索領域・市場をしっかり精査した上で次のステップに進むため、この失敗は避けられる。

4、ビジネスモデルが独りよがり

3の市場の議論とも類似することがあるが、最終的にビジネスモデルを算出する際に、なんとか事業プランを作り出すために、ありえないビジネスモデルを構築してしまう場合がある。

例としては、市場規模や競合を比較してもありえないくらい高い値段の値付けなどをする場合や、獲得できる市場規模を大きく見積もるなどの場合がある。

本書に従えば、少なくともその領域における「儲かっている企業」をベースに考えるため、大きく逸脱した事業企画をすることはない。

5、いきなり大きなことを考えて解像度のない話をする

これは、伝統的な日本の大企業の事業計画によくあるパターンである。事業規模を求められるがゆえ、全く実現性や解像度のないプラットフォームを提供する、という事業計画を立ててしまう例をイメージしていただきたい。

本書に従えばこの失敗も避けられる。特定の市場、に対して、顧客ターゲット・ニーズ・ソリューションを明確化し、また「儲かっている企業」をベースに地に足のついた議論を行うことになる。

6、必死に顧客課題起点で考えたが、すでに世の中にあるサービスだった

顧客起点で考える時、良い課題が見つかったとしても、すでに先駆者がいる場合がある。先駆者がいても、悪いことではない。ただ、考えた時間が無駄になる。

先駆者がサービスをやっていたとしても、先駆者ができていないところを進めれば良いし、もしかしたら、アイデアだけの場合もある。よくスタートアップのアイデアを大企業が実現する、というのはここに起因している。

完全に自由に立案できるのか?

ここまでで本書の方法が素晴らしい手法だ、と思っていただけたかもしれないが、現実的には以下の点には注意が必要である。

特に事業開発をする上で、何らかの制約条件が発生するという点である。

制約条件としては
1、自分のスキル・投資規模
2、使わなければならない既存のアセット(技術など)
などが存在する。

事業開発における制約条件

このような場合も本書の方法は有効である。あくまでそれらは制約条件として、そこから本書の方法を使って発想をすれば良い。