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なみだぼくろ

そっと気が付かれないように
みんなの輪から離れる
あなただけ気がついて
ひとつ あくび
自然に笑いながら

後ろから話しかけるとき
顔を覗き込むようにするから
目が合う前に 香る
いつ来てもいいように
背筋を伸ばしていたわたしを
あなたはさらっていく

足音だけで見分けられる
背中全部で感じている
知らぬふりした恋心に
表情も仕草も囚われてる
涙も見せないで

そっと気が付かれないように
左目の下をなぞる
あなただけ気がついて
同じように
お揃いのほくろ指す

幸せになれるんだってと
無邪気に喜んだその笑顔に
唇噛んで 想う
いつ見ても嬉しくて
後先考えないわたしを
あなたはさらっていく

足音ひとつ耳に刺さる
背中の線が焼き付いてる
知らぬふりした恋心が
表情や仕草に表れてる
涙を滲ませて

一緒にいたって苦しいわ
あなたの音も匂いも
わたしとは違うから
だから好きで
だから嫌いで
わたしにつられて泣いた
目尻をそっと拭う

足音だけで胸が詰まる
背中全部で恋している
見えぬふりしたあなたの目に
幸せの証が輝いてる
涙のその下で

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