見出し画像

月潮

ざあざあざあ
繰り返す
満月の夜の波
ひとなんかいないずっと前から
この世は水で溢れている

心もきっと月に惹かれて
ひときわ大きくざわめく

月明かりの下
顔も歪めず泣いたきみの
頬を伝うその涙が
あまりにも綺麗で
僕は
そっと目を逸らした

ざあざあざあ
繰り返す
耳の奥で鳴る鼓動
きみなんていないずっと前から
この世は愛で溢れている

涙もきっと月に引かれて
満月の夜に溢れ出る

月明かりの下
声も立てずに泣いたきみの
頬を伝うその涙が
あまりにも綺麗で
僕は
そっと目を逸らした

腕を伸ばせば届くとわかっている
こんなに近くにいてもきみは
ただ遠くて
顎を伝ってぽたり落ちる
雫を受け止めたい

月明かりの下
顔も歪めず泣いたきみの
頬を伝うその涙が
きらきらと輝く
僕は
そっと肩を寄せた

最後まで読んでくださってありがとうございます。励みになっています!