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奇跡

そっとベッドに潜り込んで
音を立てないようにイヤホン
冴えた目を無理やり瞑って
自然と開いて気付く
もう音を立ててもいいんだった

眠れない夜に
手を伸ばしても
広いベッドが虚しいだけ

この曲がいいよってふたりで
同じ画面覗き込んだ
あの距離に
奇跡を重ねていたのは
あたしだけだったの

あんまりうまくないんだけど
たまにはなんか作ろうかって
ふたりぶんのお皿並べて
盛り付けの前に気付く
もうあたしのぶんだけなんだった

張り切った夜に
隣を見ても
濃い味付けが虚しいだけ

この味がいいねってふたりで
顔を見合わせて笑った
あの距離に
奇跡を重ねていたのは
あたしだけだったの

申し訳無さそうに
ぽつぽつと語る
あなたの言葉は
ひとつもわからなくて

愛されなくてもいいから
愛させてほしかった

この距離がいいねってあなたが
心地よさそうに零した
その距離は
あたしには
涙が出るくらい尊い
まるで奇跡のようで

あのひとがいいのってあたしは
泣きながら譲れないんだ
あの距離は
きっと奇跡だったから
弾けても忘れられないの

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