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手のひら

やりたいことも
行きたい場所も
無限に出てくるわけではないけれど
「帰ってほしくない」の言葉に
いつも頷くことはできないけれど

あなただけ
ちゃんとあなただけだから
そんなに悲しまないで

左右の手のひら合わせたら
右手の熱が溶けていくの
冷え切った指遠慮して
ぎゅっと握れなかった
本当は離したくなんてなかった

「大好き」と言ったその瞳を
まっすぐ見つめたりはできないけれど
うしろから抱きしめて囁く
「私も」って言葉で許してほしい

あなただけ
ちゃんとあなただけだから
信じてくれていいのよ

温かい手のひらに触れたら
右手に熱が溶けていくの
家に帰って思い出す
ぎゅっと握りたかった
本当は帰りたくなんてなかった

水の中のような音楽
ゆらゆら揺れるような瞳
青白い帰り道
日が暮れるまで
日が暮れるまで
握っていたかった

左右の手のひら合わせたら
右手の熱が溶けていくの
あなたの熱を刻み込んで
ぎゅっと握りしめた
青白い月をふたりで見たかった

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