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深夜の独り言 40

お正月休みの宿題を大量に出したら生徒に嫌われました。もう塾来ませんと言ってぷんぷん帰っていきました。それでも君はちゃんとやってくる。それからまたぷんぷんしながら、どれだけ大変だったか話してくれるんだね。かわいいなぁ。

冬期講習の前半が終わりました。全出勤している私の冬休みは五日間。溜まった課題と書きたい小説をどれだけ進められるか、時間の勝負です。

冬期講習は疲れるけれどとても楽しいです。普段から担当している生徒は私のスパルタ指導に慣れているので宿題の量も単語テストの前の圧もすんなり受け入れるけれど、冬期講習だけの生徒には驚きだったようで、
「こんなにやったら死にます」
と涙目で訴えてきたものですから、
「じゃあ遺言を書いてから始めたら?」
と言っておきました。たかだかプリント十枚で死ぬだなんて大げさな。

頑張っている子には結果が伴います。それが単語テスト。うちの塾では単語テストの点数を教室に張り出して、満点の子は薄いピンク色に塗ってあります。このピンク色がさらなるやる気に繋がります。
「年明けは桜満開が見たいな」
と圧をかけて、年内最後の授業を終えました。

今年はバイトの年でした。大学よりもバイトの時間のほうが長かったし、常に生徒のことを考えていました。掛け持ちのバイトも始めて、世界が広がったように感じます。やはり、私には「教える」職業が向いている気がします。ケーキ屋さんもすごく楽しいけれど、それ以上に塾が楽しいです。生徒たちが「あっ」と気付く瞬間に立ち会えるとか、嬉しそうに点数を報告してくれるとか、そういった一つ一つが嬉しくて、幸せです。

今年は、しかし、大学に初めて通った年でもありました。通って、一緒に課題をして、遊んで、お友だちができました。最近サークルも対面活動が始まりました。久しぶりの競技かるたは難しくて、でも、一時間以上も集中することなんて最近は少なくなっていたから、夢中になれる楽しい活動です。

今年は、さらに、二十歳になった年です。寒い夜にハイボールを飲んでぽかぽかの手を繋いで歩いたり、そういったことができるようになりました。しいたけを頼んで「大人だぁ」と言われたり、ナスを頼んだのを見て「大人だぁ」と言ったり、だし巻き卵の食べ比べをしたり、まだまだ子どもだけれど、ほんの少しだけ、大人になりました。

「先生はいいなぁ」
と、子どもが言いました。
「なんでも知ってるし、もう受験もないし」
「そんなことないよ」
私は答えました。
「知らないことだらけだよ」

知らないことだらけの一年でした。「教える」以外の職種の中身を知った。本格的に受験生の指導をして、「教える」側の苦しみを知った。「ちゃんと」大学生になった。お酒の味を知った。キャッチやナンパのあしらい方を知った。治安のいい街と悪い街を知った。新しい世界を知った。新しい世界を知るということを、知った。私の周りには常に、新しい世界があるということも。

2021年が終わります。来年は2022年。生徒に素因数分解をさせたら、337が素数かどうかものすごく悩むだろうな。たぶん素数ですよね。2×3×337って、とってもアンバランスで可愛い。なんにせよ、今年も生きていられて良かった。私と、私の大切なひとたちが、幸せと不幸せを合わせたらちょっと幸せが勝つくらいに、来年もバランスよく生きていられたらと思います。


でも、2222年にはみんな死んでるんだな、と思ったらなんだか可笑しい。とっても愉快だ。


みなさま、今年はお世話になりました。最近投稿頻度を落としていますが、これからも細々と続けていこうと思います。来年もどうぞよろしくお願いいたします。



今年最後の、深夜の独り言。

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