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金とき
2021年2月14日 17:19
すっかり遅くなってしまった帰り道で、勇斗が後ろから軽くぶつかってきた。ウィンドブレーカーが擦れてシャカシャカと鳴る。「怜央、何個もらったよ?」「うるせえな、どうせ全部義理だよ」 肩をすくめてみせると、勇斗はぽかぽかとその肩を殴る。「やだやだ、もてる男は嫌いだよ俺は」 そういう勇斗は彼女にもらっていただろうが。俺はそちらのほうが羨ましい。圧倒的に。「そういやおまえ、なんで今
2021年2月13日 17:20
閉まっては開く自動ドアで、人工的な白い光と夜の闇がせめぎ合っている。ありがとうございましたー、と頭を下げては上げて、あたしはその戦いを見つめている。レジに並ぶ人が途切れた瞬間を狙って、こっそりと小さくため息をつく。「どうしたのよ、原ちゃん」 隣に立つ美住さんが問う。ちょっと楽しそうに、語尾を伸ばして。「いや、なんでもないです。ごめんなさい、ため息なんかついて」 はあ、とまたため息