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夜のお話です。 闇の中、布団の中、月に照らされた中で、昼とは違う一面を見せて大胆になったり、記憶を呼び起こして懐かしんだりするようです。
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2021年11月の記事一覧

冷たい手

冷たい手

 幹事が大声をあげたので注目すると、いつの間にか幹事のすぐ隣に小山さんが座っていた。椅子の上に体育座りで。みんなは次に、俺に注目する。俺は、やべ、と思う。

「小山さん…」

 小山さんは、んー? と音を伸ばしながら、ふふっと軽やかに笑った。

「なあにー?」

 えっと。いつもと全然違う声と表情に戸惑う。さっきまで俺が延々と語っていた、よく通る強い声や凛とした表情やピンと伸びた背筋やまっすぐ射抜

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語る背中

語る背中

 山道が続く。木で囲まれているのでよくわからないが、海のほうではきっともう日が沈んだか、沈みかかっているか、どちらにせよ暗くなってきている。街灯のオレンジがはっきりしてきた。代わりに足元は暗くなる。

 さく、さく、と、満が歩いていく。そのすぐ後ろを歩く。大きな背中に、大きなリュックが揺れる。ときどき顔をぶつけそうになりながら、ひたすらについていく。

「満」

 名前を呼んでみる。満は横を通る車

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