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夜のお話です。 闇の中、布団の中、月に照らされた中で、昼とは違う一面を見せて大胆になったり、記憶を呼び起こして懐かしんだりするようです。
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2020年12月の記事一覧

クリスマス

クリスマス

 ぷしゅーっとドアが開いて、何人か、僕の横を通り抜けた。冷たい空気が入り込んで少し震える。ぼんやりと、ドアの外を眺める。陽の落ちたばかりの青藍の空に、ぽつぽつと、白い光の粒が舞い始めていた。

 狭いバスの車内は、なんだかいつもよりいい香りがする。女のひとのヒールはいつもより細いし、男のひとの髪の毛はぴしっとあがっている。小さな子どもはぽんぽんのついた帽子を被って、鼻を赤く染めて笑う。僕はおろした

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夢の国へ

夢の国へ

 しろい、まんなかに穴のあいたおおきな陶器のボウルの縁に、何人ものひとが立っている。まっしろの空間なのにとても暗かった。すっと撫でると、陶器はひやりとする。僕は少したじろいで、穴を見つめる。

「お兄さん」

 時計の音が聴こえてくる。それから、どたばたと、足音。

 いろんなひとが飛び込んでいった。なんの感情もなくすっと落ちていくひと。ぐるぐると回りながら、ゆっくりと落ちていくひと。縁にしがみつ

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慣れない日課

 ごおおお、と頭上から音が降ってきて、髪の生え際が熱い。おでこに伸ばしたパックに前髪が付きそうになって、慌てて手で押さえる。

「ちょっと、前髪は分けてって言ったじゃない」

「はいはい」

 暁斗がドライヤーを止めて、私の前髪を真っ二つに分けながら手鏡を覗き込んでくる。

「あはは、なんで顔に泥塗ってんの」

「泥じゃないもん、パックだもん」

 私は少し頬を膨らませてむくれてみせる。乾きかけて

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溢れ落ちた

溢れ落ちた

 さぁぁぁぁっと音がして、隣のミキが寝返りをうった。あたしはそれをじっと見ている。ミキは突然顔を大きくしかめて、ぱっと目を開けた。

「えっ今何時?」

しばらく目をぱちぱちさせてから、ミキが聞いた。

「三時くらいかな」

「三時って」

もちろん、朝の三時だ。カーテンの外はまだ真っ暗闇で、ふたつのベッドの間にデジタル時計が微かに光っている。

「ハルはいつから起きてたの」

「あたしもさっき起

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