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金とき
2023年2月17日 18:01
鏡越しの彼が言う。「誕生日近いよね」 優しい声だった。彼は私を女の子扱いする。ネクタイを締めたその首の太さに違和感。「何か予定あるの?」 前髪が決まらなくて、仕方がないのでその場にあった剃刀の刃を使って少し切る。添えていた指をちょっぴり傷つけて、血が滲んだ。「ないない。空いてるよ」 私はさらっと言った。感情を込めないように、淡々と。血を舐める。薄い皮がひらひら。「ケー