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金とき
2020年12月17日 18:24
右腕を精一杯伸ばしてカーテンを引く。ぽつぽつと付いていたマンションの明かりはとうに消え、代わりにうっすらと空が白んでいた。夜に隠れそびれた小さな星が光る。 そっとテレビを消して、杏里にラインを送る。ソファに足を投げ出すと、冷えた足先に当たるぬくもりを感じる。「言ってたアニメ、全部観たよ」 眼鏡を外して、伸びをした。一晩中同じ体勢で見つめていたテレビの画面に自分が映っている。ぶるりと身