#6📷　R-D1S その1 レンジファインダー

2024年7月13日 23:26

レンジファインダーについて前回紹介したと思うが、今回は続けてデジタルカメラのレンジファインダー機を紹介したいと思う。
ただし、ライカではなくEPSONが昔に発売していたカメラである。

R-D1について

現役世代の人は置いておいて、ミラーレス一眼カメラから趣味を始めた人は、エプソンがレンジファインダーを販売していた事を知っている人は少ないだろう。
X-PRO3の時に紹介したレンズ、Voigtlander35mmf1.2 Xmount の販売元である株式会社コシナのフィルムカメラ、BASS（ベッサ）をベースにして、デジタルカメラとしてエプソンが販売したのである。

レンジファインダーのデジタルカメラは、ライカが有名だが、実は世界初のデジタルレンジファインダーはこのカメラなのである。なので、一部界隈ではけっこう有名なカメラだ。

R-D1初代は600万画素、APS-CのCCDセンサーを搭載したMマウントの一眼デジタルカメラとして2004年に発売されたが、その後にマイナーチェンジとも言える後継機が数台世に送り出されている。
2006年に、R-D1sが発売された。RawとJPEGを同時保存できるようになり、長時間露光時のノイズ低減機能や、他にもJPEG撮影時の各種パラメータの保存数が増えたり、撮影画像の再生時に拡大できる倍率が上がったりと、そうした細かい部分が改良された、マイナーチェンジ版となっている。
後継機ではなく完成形である、というキャッチーコピーがあるみたいだ。
とはいえ、r-d1もアップデートで同じ機能を手にしている為、ほぼ同じと言って差し支えないカメラである。
2009年にはシリーズ最後となるR-D1xGが発売された。こちらも、後述する背面モニターが固定式で大きくなっている、対応するSDカードの容量が32GBになっているだけで他はほぼ同じである。
あとは補足として、距離計の調整の仕方がR-D1とそれ以外のR-D1s、R-D1xGとでは違うので距離計の縦ずれに強いのはR-D1だと思われる。

2022年の1月22日には、感謝祭も企画されておりそこではEVFに変更した後継機について計画があった事が告白されている。
詳細は、デジカメウォッチ様の記事を貼り付けておくので読んでみると良いかもしれない。

ちなみに、ライカからは2006年に初のデジタルのレンジファインダーカメラ、leica M8がAPS-Hサイズのセンサーを積んで発売された。

R-D1Sについて

私の持っているのはタイトル通り、R-D1sである。
外観や使用感について、引き続きダラダラ書いていこうと思う。
操作方法については、最近のデジタルカメラと変わらないので省略させてもらう。
以降の記事でも、フィルムカメラか、よっぽど特殊なカメラでない限りは細かい操作方法は、省くようにしようと思う。（記事が無駄に長くなるかもしれないので）

特徴

以下に私が思うr-D1sの特徴を書いていく。

①等倍のレンジファインダーカメラであるという事。

参考までにM型ライカの最新モデル、leica M11は0.73倍である。等倍ファインダーはとても大きく見やすいなと思う。等倍という事は人間の視野と同じなので見たまんまの景色がファインダーの中に広がっている。ファインダーを右目で覗きながら、左目を開けても違和感はないだろう。
ただし、レンズが広角気味になると、ブライトフレームが大きくなり過ぎて、切り取って撮影してる間は薄くなると思う。
私は35mmか50mmでしか、特に撮影しないのでデメリットにはならず大きなメリットと思っている。
leica M3のファインダーが等倍だったかな？と思い調べると0.93倍なので、等倍ファインダーというのはデジタルフィルム問わずにけっこうレアなのかもしれない。

②シャッターチャージを巻き上げレバーで行う。

まさしく巻き上げレバーである。
フィルムを巻き上げる訳ではないので、
シャッターチャージレバーと言う方が
正しいかもしれない。

バッテリー持ちを良くする為、というのが1番の理由だと思うがフィルムカメラを想起させるようでこれはかなり嬉しい。フィルムカメラの感覚で撮影が出来るので、この体験は他のカメラではなかなか出来ないだろう。
もちろん1枚撮影する毎に、毎回巻き上げが必要になる為、ガシガシ撮れるカメラではない。
デジタルカメラで巻き上げレバーが付いているのはこのR-D1シリーズか、ヤシカエレクトロ35の復刻版のようなトイデジタルカメラであるdigiFilm Camera Y35ぐらいなんじゃないかなと思う。

③カメラの状態を示すインジケータが付いている。

セイコーエプソンという事で腕時計に使われている技術を使い、針を持ってカメラの中の情報を表している。電源を入れると、針が動き出す様はなかなかに面白い。ちなみに、針が動いてる時は電源を切らないようにした方がよさそうなので、もし手にする機会があれば注意して欲しい。
もし針がズレた場合は、設定から調整も出来るみたいだ（私はやった事は無いが）

電源をONにすると、針が一斉に動き出す。
大きい針がSDカードの容量と残り撮影枚数。
左側の針がホワイトバランス。
右の針が撮影形式（Raw、JPEG、同時保存）
下の針が、バッテリー残量

④背面モニターを隠す事ができるようになっている。

まず前提として、CCDセンサーを使用している為かライブビューでの撮影は出来ない。
（背面モニターを見ながらの撮影はできない）
なので、画像の再生や設定の時しか使わない。そんな背面モニターだがバリアングル液晶の様に裏返す事が出来るので、背面に液晶が来ないようにできるのだ。
そうするともはや外観ではフィルムカメラなのかデジタルカメラなのかわからない。
背面液晶を隠さなくても、撮影の度にいちいちモニターで確認するようなカメラではないと個人的には思う。
背面液晶は小さい為、撮影画像も鮮明に確認することはできないので目安にしかならない。

液晶の解像度が低く、今で言うエモい感じに写真が見える。
パソコンやスマートフォンに取り込むと
写真の印象が変わる事もしばしば。

⑤フィルムカメラを意識した操作系

巻き上げレバーを模したシャッターチャージ以外にも、シャッタースピードダイヤルと同軸の埋め込みiso感度ダイヤル、巻き戻しノブを模した操作ダイヤル。操作感はフィルムカメラと言っても良いと思う。

設定項目の変更や、画像の拡大、送り等を行うダイヤル。
巻き戻しノブを模していて、フィルムカメラユーザーには
嬉しい部分だと思う。ただしかなり使いにくい。

外観

M型ライカの線がシンプルなデザインとは違い、少し角張った国産のフィルムカメラという感じがする。
元がBASSというフィルムカメラのシリーズなので当たり前なのかもしれないけれど。

X-E4と比べてみた。
ひと回り大きく、凸凹している面もある為厚みがある。
我が家のX-E4は物差しか何かになりつつある。

機能性

絞り優先の自動露出が付いている。さらに露出補正も使えるので、古いカメラなのに現代でも全く問題なく使える。
マニュアルで使用する際も、ファインダーの中に現在のシャッタースピードと、適正露出に対応したシャッタースピードが点滅で知らせてくれるのでかなりわかりやすく使いやすい。M型ライカでもこれは採用して欲しいなと思う。

ブライトフレームの下にシャッタースピードが
赤く表示される。
現在選んでるシャッタースピードが1／30secで
適正露出にするには1／15に変得る必要がある。
M型ライカよりわかりやすくて良い。

距離計窓とファインダーの距離が短い。
あとは、採光窓はこうなっているというのが良くわかる写真
ほんとはCanon7の時に同じようにしてやる予定だった。

シャッタースピードは2000分の1秒から1秒とバルブ撮影が可能となっている。
iso感度は200、400、800、1600から選べる。
ノイズが乗りやすい事もあるが、ダイナミックレンジが狭く白飛びしやすい。私は基本明るいところでしか撮影しない為、だいたいisoは200固定である。
反面色乗りはかなり良い。
CCDセンサーだから良いのか、エプソンの色作りが良いのかわからないけれど私としては好みな絵を描き出してくれる。
本機について色んなギミックを紹介したが、私がこのカメラを手放せない一番の理由はこの色味にある。

シャッタースピードダイヤルに露出補正が入っている。
凄く使い勝手が良い。
巻き戻しノブ以外の操作系はかなりよく出来ていると思う。

レンジファインダーの縦ずれ

これは購入前に調べ物をしていた時に知ったのだが、この機種には持病とも言える設計不備があるようで、レンジファインダーの二重像が縦にズレる事があるらしい。
これは、知識があれば調整する事が出来るみたいだが失敗すれば取り返しのつかない事になるかもしれないらしい。
R-D1初代ではホットシューカバーの部分から一部ネジを取り外してマイナスドライバーで中のネジを回すと直せるようだが、R-D1sやR-D1xGではトップカバーを外すなりしないといけないらしい。
もし中古品を購入する場合は、1番注意しないといけない点だろう。

まとめ

良いところ

①デジタルカメラで有りながら、フィルムカメラさながらの撮影体験が出来ること。
②エプソンの絵作りの良さからくる描写力。
③中古で20万円前後という高価だが、本家ライカより安くMマウントデジタルレンジファインダーが使える事。
④画素数が少ないのでデータ量が少なく済む事。

悪いところ

①中古品しか購入出来ず、修理期間も終わっているので壊れたら終わりであるという事。
②600万画素という少なさからトリミングは難しいこと。SNSにあげる分には充分だと思う。
③レンジファインダーの縦ずれという持病がある事。
④APS-Cなので、Mマウントレンズの描写を端から端まで使えない事。フルサイズのMマウント機が欲しくなる。

写真

ほぼ全て撮って出し。

Voigtlander 50mmf1.1
緑は綺麗だが、黒潰れが顕著に出ている。

Voigtlander 50mmf1.1
オッドアイ猫が居たので。色の再現性がとても高い。

c-summicron 40mmf2
レンズのせいか、画素数のせいか、
ぼんやりとした描写になっている。

少し手が出にくいが、唯一無二とも言えるので欲しいけど迷っている人の参考になれば幸いである。
バッテリーも互換品がAmazonで手に入るので、正常な個体さえ手に入れればまだまだ現役でスナップを撮る事は出来るはずだ。

今回はレンズについては省略したが、また別の機会にそちらも単体で記事にできればと思う。
今回も読んで頂きありがとうございました。

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