ミシュランへの道 やきとりや人生18

弟は、高齢両親の離婚を企み実行した。その結果、小さな街では珍事となり、ウワサになった。Oさんの母は認知症の初期段階だった。

弟にそそのかされて、離婚届にハンコを押してしまった。まさに実弟の意のままだった。都合いいように弟は母を手なずけた。


高齢になると誰か一緒にいないと不安になるという、心理を利用したのだ。


長年、仲の良かった両親の縁を切り裂き、ただ財産目当てで母親を支配した。さらに母親にもDV 暴力をふるい、金をむしり取っていくようになった。


ある日、郵便局から電話があった。
「もしもしOさんのお宅ですか?」
電話に出たのは、最悪な弟だった。
「〇〇さまの(母)の年金が満期となっていますが?いかがなさいますでしょうか?」


実弟はなんのことやら?わからなかった。
「お得な保険が発売されました」というセールスの電話だった。これに弟は反応した。母の預金は知っていたものの、定期預金は知らなかった。


つまり郵便局は、業務上本人にしか話をしてはならない個人情報を、この郵便局員はセールス目当てで、弟に母の個人情報を全部バラし金額まで話してしまった。これはあり得ない話。


このころは、郵便局の強引な保険セールス真っ盛りだったので、地方の郵便局では必死のセールス合戦をやっていた。


これ以後ますます、母を支配下に置くようになり、定期預金の件で、妹とOさんも知るところとなり、3兄弟が仲たがいすることになった。それまでOさん側にいた妹も、これをきっかけに弟になびいていった。


そしてOさんを悪く言うようになった。妹も母の定期預金の分配にあずかろうという思惑だった。


しかし弟はそう甘くはなかった。全部ひとり占めしようと企んでいた。妹も弟に加担するようになり、ことある事に親戚や知り合いに
「Oさんのほうが悪い」と
あることないこと、悪口や文句を吹聴するようになった。お金目当てに弟に媚びへつらうようになってた。


Oさんは弟に
「定期預金のお金は、母の老後のお金だから手を付けたり、絶対に引き出すな!」と忠告していた。
しかし、そんな忠告など無意味だった。


Oさんはお母さんに言った。
「自分のお金だから、絶対に弟がお金をおろさせないようにしなさい」


しかし認知症があるので、正常な時とそうでない時の落差が激しく、約束しても忘れてしまうことが多くなった。その時は「ハイハイ」というものを翌日には忘れてしまう。そんな状態なので言ってもムダだった。

つづく


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