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米国移民録(DV-2022: 移民ビザ取得まで)



概要

アメリカ政府実施の抽選式の永住権 DV-2022に当選し、過去に当選した人の記事を参考にさせてもらいプロセスを進められた。誰かの役に立つかもしれんのでログを残しておこうと思う。
当選者が具体的に手続きを進めるために必要なノウハウは無料公開としたい。本記事の序盤に一部置いているが、気が向いたら別途記事を作成して公開しようと思う。
個人的な体験の部分については時系列ログとしてまとめたので、そこに関しては多少投げ銭をしていただきたい。書くのにそれなりに時間使ったのと、個人のプライバシーに関わる事も公開してるのでw
この記事では移民ビザ≠グリーンカードの取得までを記載する。

背景

私のたった一つの望み』……『可能性の獣』……『希望の象徴』…
人によってアメリカに行きたい理由は様々だろう。私の場合は曾祖母が日系アメリカ人だったこともあり、自分がアメリカに行けてしかるべきだと子供の頃から思っていた。実際に大学生になってからアメリカに初めて1人で行き、アメリカ人の精神構造が自分にマッチしていることや、良き親戚・友人達にも恵まれやはりこちらに来るべきだと思った。
コンピュータのおしごとは当時からおちんぎんが日本より高く、日本の修士卒の私の初任給が年収450万円ぐらいだったのに、アメリカは1000万超からの世界だったのも理由の一つ。(今はもっと差が付いてる。)
親戚を訪ねて何度も行くうちに、その思いはどんどん強くなった。
ただ当時の私は就労ビザが土下座してこちらにやって来るハイパーエリートでもなければ、十分な職務経歴もないただの学生だったので、職務経歴を積みつつ、社内転籍をできる会社への転職を目指し、運よく当たれば永住権でも渡米する二刀流のアプローチを考えていたわけだ。
そうこうしてるとあれよあれよと就労ビザの倍率は爆発していき、日本での仕事でもいろいろあって転籍の可能性は無い会社で働いたり、コロナ禍もあったりで今に至る。
ちなみに移住予定先としては家族が住んでいる事や、職種的に考えてもベイエリア周辺以外の選択肢は私にはなく、何なら私にとってアメリカとは子供の頃から行き慣れたカリフォルニアだったりする。

前提条件

30代前半・男性・独身
DV-2022 Case No. 26xxx

当選後役に立った資料

公式マニュアル

東京大使館での面接準備のマニュアル

質問をする前にまずはこの2つを読もう。DeepL使っても良いからまずは読もう。読む前から質問するのはやめよう。いやマジで読もうな。あなたの質問は大体全部答えが書いてる。

DV-2021 当選された方の記事

全体のフローがとてもわかりやすくまとまってるので読め。必ず読め。
事前書類提出の部分については、2022以降フローが変わって不要になってるので注意。

DV Lotteryの神のサイト

CEACのデータから現在の自分や他の当選者の状態を見るためのサイト


代行業者について

私は使わなかった。そもそもしっかりマニュアルや先人が纏めてくれているTipsを読めばやってできない難しさではない。めんどくさいし、先が見えにくい面があるため不安にさせてくれるのは事実。
何より、その程度の情報を収集したり公式のドキュメントを読むなり、言語問わず目的のためにステークホルダーに答えが出るまで問い合わせて回る事ができない人はおそらくアメリカに行ってから大いに苦労すると思うし、正直何者にもなれないまま日本に帰ってくるか、アメリカで日本と同じような生活をする羽目になると思う。せいぜいSame Shit Different Dayならぬ、Same Shit Different Country って感じか、言語面で現地の人間より弱い分、さらに厳しい立場に置かれることだろう。
英語での事務処理や、問題解決能力の低さを補って余りある特殊なスキル(プロ野球選手とか、三顧の礼で迎えられるレベルの理系技術者)があって誰かをいつも雇える人なら話は別だろうが、私の経験上アメリカは普段の生活からして受け身タイプの人に優しい国じゃないと思う。
お前の移住はもう始まってるから自分でやれ、という気持ちで昔からいろいろアメリカに関する事はやってるので今回も自分でやった。
情報収集を代行してくれるという点ではまあ意味はあると思う。そういう意味で現時点での時間単価がとても高く、その程度のスキルは既に持っているという人はお金稼いだ方が良いので代行業者に依頼すれば良いと思います。

時系列ログ

~2020 応募

写真要件に画像を加工をするなと書いてあるため、毎年ヨドバシカメラでデジタル加工ではない白背景の写真を撮ってもらって応募していた。
無加工のデータだけCD-Rに焼いてくださいとお願いし、写真要件に合致するよう、自分でトリミングをして提出していた。
20歳ぐらいから数度の欠落はあるものの応募し続けてたはずなので、累計10回ぐらいは応募したと思う。

2021/05/17 当選確認

当たったことに気付く。マジでビビる。青天の霹靂である。
会社のslackの個人chのログを見ると、その仰天っぷりが伺える。
当選番号、通称ケースナンバー (AS26xxx) が大きかったため、必ずグリーンカードが出るとは限らないこと、例年通りなら私のケースナンバーであればDS-260と呼ばれる、移民ビザの申請書を年明けぐらいに提出しておけば十分である事実を踏まえ、非移民ビザの話が万に一つでもどこかから飛び込んできた場合も考慮し、DS-260の提出は一旦時間をおくことに。

2021/11/16-11/30 DS-260提出

DS-260提出後に必要な、KCC (Kentucky Consular Center) での事前書類提出フローがコロナ禍により機能してない情報が出回る。事前書類提出とは、戸籍抄本や犯罪経歴証明など、申請に必要な書類を面接に先立って提出し、KCCで審査される手続きのこと。
DS-260はほぼ提出順にKCCでの処理が実行され、事前書類提出のお知らせがその中で送られてくる仕様であるため、急いで出す事に。
事前書類提出ができず、面接に呼ばれず終わる恐れもあったため、さっさと出しときゃ良かったという後悔の念でいっぱいになった。
DS-260は役所で過去の住所の履歴を集めたり、メールボックスやパスポートをあさって過去の海外渡航を探したり等、いろいろと調べる事が多い。
海外旅行によく行っていたり、引っ越し回数がそれなりにある場合、仕事をしながらだと作成に2週間は見ておいた方が良い。複数人での申請の場合さらにかかるだろう。
特に今の状況であれば、非移民ビザの申請の可能性があまり無いのであれば、なる早で出せば良いと思う。

2021/12/10 事前書類提出廃止

KCCでの処理が進まないことに対処するため、事前書類提出を暫定的に廃止し、いきなり面接のお知らせが届く運用になった事が告知される。
事前書類提出ができず御破算となる可能性が消え多少安心した。

2022/01/15 訴訟参加

自分のケースナンバーが大きい事、面接がコロナ前と比較してやはり今年も思うように進んでいない事実から、「Visa Bulletin に当選者全員面接できる可能性を示すCurrentが出たが、お前の面接はコロナで面接絞った結果間に合いませんでしたw」となった際になんとかできる可能性を稼ぐため、訴訟に参加した。
DV-2020, 2021では、訴訟に参加していた人については偶然優先してプロセスに乗っけてもらえたり(偶然だゾ)、2022年の本記事執筆中もまだ係争中ではあるものの、裁判所が原告の移民ビザを発給しなさい令を出したりしているようであったため、参加して損はないと判断。
費用は1500ドル。高いけど25年分の執念が載っているため鼻紙プライスです。
この時点での選択としては最適解であったが、結果として東京のアメリカ大使館のDV-2022は後半戦での怒涛の巻き返しにより至極順調に進行したため、結果的には要らないお金になってしまった。
面接の進行が悪かった国の人達の夢を叶える一助になってくれればと思う。

2022/03/15 Visa BulletinのCase Number

Visa Bulletinで発表されたケースナンバーが自分の26xxxを上回る。
ひとまず面接の可能性が完全にゼロという状況は避けられ、なんとかなりそうな気配を感じ始めるが、番号が過去と比較して唐突に進みすぎたため、実際に面接のお知らせが届くかどうかはわからないためやはり不安。
その後5月まで進捗を眺めては計算機を叩く日々が続く。心配してもしょうがないが、何回計算したことか!
その頃の私の計算では、当落線上にいるような結果であったためどっちにしろ不安は拭えなかった。

2022/05/20 可能性の獣

先述のCEACのデータから、2NL(面接のおしらせ)を受け取った人のケースナンバーが大幅に進む。私の番号のちょい手前まで。
あと2ヶ月分の発表期間が残されている事から勝利を確信。流れ変わったな。

2022/05/27 2NL

メールが来た。開いてみると2NL(面接のお知らせ)であった。面接日は7月下旬。
You have received this email notification to inform you that you have updates available at https://dvprogram.state.gov/ESC. Please log in using your confirmation number from your original application to complete further processing.

完全勝利したynaryくんUC

2022/05/28 健康診断予約

なにはともあれ健康診断の予約をする。初回入国期限は健康診断から6ヶ月らしいので、面接日ギリギリに受けた方がお得そうに見える。ただ何が起こるかわからないために直近で予約。これは後で大正解だったとわかる。

2022/06 戸籍抄本・卒業証明書・予防接種記録探しの旅

自分の人生を振り返る事ができて面白かった。
卒業証明を取りに行った母校では同級生が先生になっていて、恩師と同級生で話が弾んだ意外あまり面白い点はなかったので割愛。
予防接種は受けた病院のカルテが残っていればそこの医師に任意のフォーマットで証明書を書いてもらえば予防接種記録の代替として利用できるのでお願いすると良い。

2022/06/06 犯罪経歴証明書

大阪府警本部に出向く。セキュリティチェックとかも無く、受付で用件を伝えれば中に通してもらえた。ただ、その日は月曜という事もあってか、急に犯罪経歴証明書の申請者が五月雨式に来たらしく、1時間以上の待ち時間が発生すると言われてしまった。さらに、待ち行列を管理する仕組み等は一切存在せず全てがアナログ方式。1時間以上ロビーでずっと待機していろと言われる。事前の電話予約もできないにもかかわらずなんだこの理不尽は・・・。警察として点数にならない業務とはいえ、端から端まであまりにもローテクすぎて失望するしかなかった。
パソコンを叩きながらロビーで待機していると、鑑識課の気の良さそうなおっちゃんが現れ、必要書類を確認後、鑑識課のオフィスにドナドナされることに。ドナドナされた先にはでかい機械があり、両手の指紋を広い範囲でじっくりナメるようにスキャンされた。
スキャン後、そのデータを警察庁に照会するらしく、結果を2週間後以降に取りに来るようにと言われた。
念の為取得された指紋データはどうなるのか聞いてみたが、照会後は削除されるとのこと。まあホントかウソか私にはわからない。

2022/06/07 健康診断

健康診断。10年ぶりぐらいにその街へ向かう。
母子手帳や予防接種記録を母が完璧に保存してくれていたり、かかりつけだった実家近くの名医に大人になってから受けた予防摂取の署名入り証明書を出してもらったため、受けたことのないB型肝炎以外ほとんど打たなくてOKだろうと思っていたのだが、Tdap, MR, B型肝炎, 水痘の4本摂取。回数が我々の世代の日本の定期接種制度だと足りてない物が多いようである。
ただ、B型肝炎は本来3回打たないとダメなはずなのに、1回打てばVISAの健康診断としてはOKってところが健診担当医も認めるアメリカンで最高に適当なルールだった。
炎症が起きやすい2本を左腕に打ってもらったのだが、後日左脇の下のリンパが腫れて数日痛かった。
ここで追加作業が発生する。1年前に自転車で事故って頭を打って入院したのだが、それについて「精神科」での検査を要求されたのである。
まあ頭を打つと完全に以前と同じ脳の回転速度・集中持続時間に戻ったと思えるまでしばらくかかったのは私自身も体感したので仕方ないとは思うが、自分自身は全く正常な状態だという認識であるのに精神科かぁ・・・となってしまう。
ちなみに健診費用は予防接種込で69000円。鼻紙プライスですね。
余談だが、病院の受付の方と英語で世間話をしたのだが、英語の単語チョイスで自分の言葉が止まる現象が過去にないぐらい全く発生しなかったのと、久々に英語に関して脳の回路の進化を感じられたので、現職で英語のチャットとかドキュメンテーションとかインド人の同僚とたまに話してるおかげかなと思った。

2022/06/08-10 精神科探し

めちゃくちゃめんどくさいのである。
受診する科がそもそも精神に問題を抱えている人のための科であるため、「診断書を作って欲しい」と話し始めるとそういう人からの電話だと思われ、わりと警戒されてしまう。
レアケースであり、込み入った事情を電話番をしている人に話さなければならない上、話した挙げ句先生にリダイレクトされまた同じ内容を話す事多数。個人経営の病院は最近のコロナ禍でメンタル面に不調をきたしている人の増加による混雑で初診を受けてなかったり、明言しないものの、そんな面倒事は請け負いませんというスタンスしかなかった。
とある個人病院で保健所に相談することをオススメされ、保健所に聞いたところ、大病院に行くとよろしいと言われたため、事故で入院していた病院に連絡する。
大病院の精神科部長の先生に電話で詳細を伝えた所、「君の頭は電話で話してる限り明らかに正常だよね。」と言われ更に「脳神経外科が外傷の回復について書くことはできるけど、精神科としては医学的に外傷起因でこういう後遺症の発生の恐れがある、としか基本的には書けないと思う。そもそも君の精神が事故により異常をきたしたという既往歴がないからね。」と言われ出直し。
紹介状の内容はちゃんと読み上げたのだが、正直な話メディカルバトルは医者同士でやってほしい・・・。
仕方ないので健診を受けた病院に電話したところ、「とりあえず受診して(要は客になれ)紹介状に書いてる連絡先に連絡してもらうと良い。受診先はデータがあるその病院で良い。」と言われる。
そういう事先に教えてくださいよ・・・。健診を受けた時に「どこでもいいからその辺にある適当な精神科専門医にこれ見せて書いてもらってね。何十個かの質問に答えるだけだよ。」って言ったじゃないの。
また大病院に電話しなおして予約。受付の人は無論前回と違うわけで、あぁ、経緯を説明するのはこれで何回目だろうか・・・。
「私の自己認識では私の精神は正常な状態なのですが、紹介元の病院にとりあえず受診しなさいと言われました。」と伝え、なんとか予約を取り付ける。人生初精神科がこのような形になろうとは。

2022/06/13 精神科1

精神科を受診。先生は一回り上ぐらいの年齢の高校の先輩であった。
「お前の喋り方は母校出身者にありがちで、知らない人から見たらちょっとおかしい人みたいに見えるからそれで疑われたんちゃうかwww」と言われる。診断書作成に必要な事実を正確に伝えられるようにあえて理系特有のプロトコルで今は話してるだけで、自己認識ではITエンジニアの中ではコミュ力は間違いなく高い方だと思いますよwwwとは伝えておいた。
事故の後遺症という観点では、考え得るリスクとしての「てんかん」を否定できるため、脳波を測定する事は有用であるため実施しようと言われる。
検査の空きが一週間後らしいので再度出直し。

2022/06/20 戸籍抄本翻訳

自分でやってよい。公式ドキュメントや大使館からのメールにもそう書かれている。
行政書士さんとかに依頼すると5000円ちょっとかかるわけだが、適切なテンプレートと、一部の市町村が出している翻訳例を使えばほぼコピペでできる。30分で出来るから自分でやると良い。

2022/06/21 精神科2

脳波を測定に行く。当日家を出る前にいろいろあり、指定時間ちょうどぐらいに病院に到着。焦っていたため、受付機に診察券を入れたものの診察券をうっかり取り忘れるポカをやらかす。
まあいろいろあった後に脳波を測定される。検査は寝転がってスピーカーからの指示に従うものであったが、中でも過呼吸状態をあえて起こす検査がなかなか疲れた。3分間かなり速い速度で呼吸を繰り返すことを要求され、2分後ぐらいに血中の過剰な酸素を消費するためか、体を動かしたくて仕方なくなり辛かった。
検査結果を見た先生から、幸いにも特に問題ないでしょうとの診断を受け、その内容で診断書を出してもらえる事に。
診断書に「こいつは進学校卒だからコミュ障やねんスマンなw(意訳)」って本当に書かれて笑うしかなかった。
これを受けて健診担当医がどう出てくるか、というところ。

2022/06/22 犯罪経歴証明書受け取り

受付で受け取るぐらいかと思ったら、前回と同様、紙の受付票を書かされ、館内のロビーで5分程待たされた。なんでこうアナログなんだろうと思いつつ、単純に渡されて終了。
不思議な力(MAGLITE)で中を見通したところ、身の潔白が記載されているようで安心。

2022/07/01 書類事前送付

卒業 / 学位証明書、戸籍抄本、戸籍抄本英訳、写真、DS-260 confirmation page、パスポートのコピーをレターパックプラスで送付。送付したのが金曜だったため、土日の大使館休館を挟んで到着したのは月曜日だった。

2022/07/26 大使館からの電話

面接前日の朝、大使館から唐突に電話がかかってきていた。寝ていたので取れず、何の連絡か想像がつかず困る。
大使館の電話番号に連絡したところ、自動音声によりビザ用の連絡先にたらい回される。残念ながらその窓口は大使館ではないらしく、「わからない」との回答しか得られず、さらに「大使館からまた折り返しの電話があります」と大使館ではないと自分で言った直後に無責任なことを言い出す始末。
「私の面接は明日で、電話がなくて問題が起きたら誰が責任を取るの?」とだけ伝え仕方なく再度大使館に電話。
音声ガイダンスの最後に、例外事象のため人間と話せる番号があったのでそこに繋ぎ、今度は人間にビザ用の連絡先にたらい回されそうになるが、諸々の背景を伝え食い下がったところ、担当部署にやっとこさつないでもらえた。
FAQを読まない困ったちゃんを叩き落とす仕組みで運用されているので、必要事項をこなしてる側からするととてもUXが悪い。アメリカのシステマティックなお役所仕事を体感したと言える。
さて、これだけ苦労してつながった先で教えてもらった用件とは・・・
職員「明日面接にいらっしゃるかどうかの確認でした」
ワイ「行く気満々です以外に答えられないです」

2022/07/27 面接

朝8:30に面接が設定されている。夜型人間には朝早すぎる。
最悪寝坊してもなんとか大丈夫なように、大使館の隣のホテルに宿泊。
予約は一休が一番安かった。寝るだけしかできなさそうだったため素泊まりにしたが、本心は朝食ビュッフェを食べたかった。
前日は12時ちょい過ぎに床についたが、深く眠れず、5:30ぐらいに目が覚めてしまった。
8:10にクロークに荷物の大半を預け、必要書類が入ったファイルだけを持って出撃。
大使館に近づくと警視庁の警察官に尋問されるわけだが、なぜ彼らはあそこまで偉そうなんだろう。これだから官憲は。イラッとさせられつつ、心を無にして質問に対する単語だけを発する機械的受け答えをして通過。
入場前の検査は空港のセキュリティとほぼ同様なので、慣れた手付きでポケットの中のものを取り出しカゴに叩き込んでクリア。スマホのBluetoothを切れと言われる。
建物の中に入ると、とりあえず整理券発券機がどこにあるのかわかりづらい。後から来た人に私が聞かれたぐらいに。面接会場の見た目はまさに、香港マカオのフェリー乗り場か南米のバスターミナルの切符売り場みたいなカウンター状である。
先に来ていた人が結構多く、書類提出まで1時間弱待つことになった。
書類提出をすると、約半年以内にアメリカに渡航できる事の確認をされ、反対側のカウンターで330ドル払って来るよう言われる。クレカで支払う。鼻紙(ry
領収書を持って戻ると、面接と指紋採取を右側の別の窓口でまとめてやるから待っとれと言われる。他の人はそれぞれの作業を別々の窓口に呼ばれているようなのに何故俺だけ?と思いながら待つ。(理由は最後までわからなかった)
昔から面接がわりと苦手で、かなり緊張してきてしまう。深呼吸して心を落ち着かせる。
15分程で窓口に呼ばれ、面接がスタートした。
英語がだめそうなら日本語で対応してくれたりする、との噂から、どっちにするか最初に聞かれたりするのかな?と思ったが、開幕からフルスピードの英語で始まった。めんどいから英語のままでやる。
領事「右手を上げて嘘偽りのない事を言うと誓って」
ワイ「嘘偽りのない事を言うと誓いますー」

領事「持っている学位について説明して」
ワイ「Master in computer scienceやで」
領事「Bachelorの領域は?」
ワイ「Computer science」
領事「職業はcomputer関連なの?」
ワイ「Software engineerやで」
領事「なるほどsoftware engineerね」
領事「お前事故で頭打って言葉が出にくくなってるらしいけど、ほんまなん?」
ワイ「はぁ?なんて書いてあんの?頭を打ったのは事実やけど」
領事(健康診断書類を見せる)
ワイ「(なんじゃこらw)この医者に言われて大病院の精神科で見てもらって、特に異常が見受けられるわけではないって診断書をもらって渡したで。このpanel doctorの視点はちょっとおかしい、と精神科医も言ってたわ」
領事「Panel doctorの名前をこの紙に書いてくれ」
ワイ「(フィードバックが記録されるんだすごいな)」
領事「まあこの項目に書いてあることが正しくても、あんたのビザを出すか否かには無関係なので安心しなはれ」
ワイ「そうか、そらよかった」
領事「一週間ぐらいで返送するわ」
ワイ「ありがとナス!」

2022/07/28 CEACがIssuedに変化

昨晩までAdministrative Processing だったものがIssuedに変化。ひとまずの安心を得る。

2022/07/29 移民ビザ到着

レターパックが到着。速い。
VISAが貼り付けられたパスポート、案内の書類、封印された書類が入っていた。案内書類には、事前にグリーンカードの発行手数料 220USD を払えと書かれていた。もうやめて!とっくにynaryのサイフはゼロよ!
VISAつきパスポート、封印された書類、レントゲン写真のディスクの3点を持ってアメリカ入国すれば一通りの作業が完了するはずである。

Overcoming Public Charge (残高証明等)について

DVカテゴリの要件(高卒または職務経歴)を満たしていても、アメリカに入っていきなり生活保護に突入するような奴にはVISAが発給されない。そこを領事が見極めるため、雇用契約書や残高証明書、または身元引受人からの書類を提出する必要があるとされている。
私の場合残高証明書を複数用意していったのだが、面接の中で領事は一瞥もしなかった。おそらく学位と職歴を聞いた時点で、こいつは素通りOK、と判断されたのではないかと思う。
他の人を見てると、アメリカでどういった職業につくのか、とかいろいろ聞かれているようで(内容が私の耳に聞こえた人も結構いた)面接時間がそれなりに長かった。私の面接時間はかなり短く、しかも面接時間の大半は健康診断の結果に関する私の側からのクレームであった。
がくいの ちからって すげー

余談と自分語り

私の曾祖母はアメリカ人として生まれた。曾曾祖父母と曾祖母の姉は日系1世。要は戦時中に強制収容所に収容された世代の日系移民である。
網元をやっていた大船団(大昔の話なのできっと誇張されてる)を嵐で失い、貧乏な国である日本を出てアメリカに出稼ぎに出たのだ。
120年後、国が貧しくなった事でまた出稼ぎに行くことになったわけだ。
私が日本人として日本で暮らしてる理由としては、曾祖母の現地での婚約者となりそうだった人がキチガイで、ショットガン振り回して暴れるような奴だったらしく、危険を察した親が結婚前の曾祖母さんを日本へ帰郷させたから。そこから家族が日本とアメリカに分裂し今に至る。
その後2国は戦争をする事となり、アメリカ側は強制収容所に入れられたり、日本側はメシが不足したりと苦しい日々が続く。戦後アメリカ側はそれなりに余裕があったらしく、食料や金銭を送ってくれたりして支えてくれたそうな。
その後の世代では、2国間の交信を図る変な奴が日米両サイド共に1人ずつ生まれるようにできており、現代に至っている。
今際の際の曾祖母さんは「アメリカに帰りたい」と言ったそうな。100年ぶりに遺伝子レベルで帰郷できそうですね。

人生

私は子供がほしいと思っている人なのだが、あえて独身を貫いてきた。
相手がいない理由はこれだけではないのは承知しているが、やはり本気でアメリカに行く事を考えた場合、配偶者や子供の存在はどうしてもリスクとコストになってしまうので積極的な行動を無意識的にしてこなかった。Twitterで有名なアメリカ在住 / 帰国者の人達や私の知人友人を見ていてもわかるが、配偶者や子供がそもそも行きたくなかったり、一定の年齢になっているとアメリカに適合できない事例はわりとよくある。家族はお前の道具ではなく1人の人間なので、強制することはできないし、責任も伴う。
幸いにも私は年を食っても子供を作りやすい性別に生まれ、思い立った時にはまだまだ独身であったのでこのような選択を無意識的に実施し、幸いにも許容範囲内の年齢で必要だったVISAが得られたのだが、ここは本当に難しいよね。人生。

天命

必要なものが適した時期に降ってきたように思う。普段そういう物を信じない私でも、天命の存在を信じてみようかなと思うぐらいには最高のタイミングであった。
スキルや職歴が無かった時代もあったし、事故に遭ったり、仕事がうまくいかず体調があまり良くない時期もあった。コロナ禍も終りが見えてきている。年齢的にも丁度良い時期でもあった。ありがとうございます。


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