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Twitterのつぶやきが、転職に繋がった話

私は過去に、二度の転職を経験している。

振り返ると、そのきっかけはどちらもTwitterだった。

まともに転職活動をしたことがない私が、どのような経緯で今のキャリアを築くに至ったのか。

漠然と「このままの働き方でいいのだろうか?」と悩まれている方に、少しでもヒントになるものがあればと思い、これまでの軌跡を書いてみようと思います。

IT企業に新卒入社

私が新卒で入社したのは、エンジニア人材を派遣する人材会社。そこでシステムエンジニアとして採用された。

当時4000人ほどいる会社で、新卒入社は200人ちょっと。ITエンジニアは、その中で60人ほど。

「特定派遣型」という形態のこの会社は、自社でプロダクトをもっている訳ではなく、エンジニアを外部の企業に派遣し、人材料で成り立っている会社だ。

そのため、新卒で入社した同期たちはみな、選ばれた派遣先に各自旅立っていく。

私が配属されたのは、いわゆるNTT系のセキュリティの部署だった。

具体的な仕事内容を言うと、「Webセキュリティの脆弱性診断」という、Webサイトのセキュリティがちゃんと機能しているか攻撃して確かめる、という仕事だ。

そこには、同じ会社から派遣された先輩が3人ほどおり、先輩たちからは「ITが発展すればするほどセキュリティエンジニアの需要は高まるから、一生食うことに困ることはないよ」と言われた。

セキュリティはイタチごっこの仕事だと言われている。最新技術が生まれるほど、悪いやつはセキュリティの穴を狙ってくる。世の中から悪い人間がいなくならない限り、セキュリティエンジニアの仕事はなくならない。

まあ、それには納得したし、セキュリティエンジニアが世の中に求められていることは確かだと思った。

だけど、サッカーでいうディフェンダー、ゴールキーパー的な立ち位置の仕事であり、同じような作業の繰り返しである地味な毎日に、遣り甲斐を感じきれていなかったのが正直な気持ちだった。

bosyu.comでの出会い

そんなある日、bosyu.comというサイトで「広報の手伝いを募集中」というものがTwitterで回ってきた。(bosyu.comは2021年現在、サービス終了)
それを見てなんとなく面白そうと思った僕は、好奇心で応募してみることにした。

すると、一度お会いしましょうという流れになり、カフェで話をすることになった。


仕事終わり。
指定されたカフェに行くと、そこには30歳過ぎくらいの男性が座っていた。挨拶を済ませると、自分が何で今回の募集に応募したのか、自分がどういったことに興味をもっているのか、ざっくりと話をさせていただいた。すると、その男性から「もしかしたら、今回の応募とやりたいことは、ちょっとずれてるかもね」と伝えられた。
ただ、その人はキャリアコンサルタントもしているらしく、「もしキャリアに悩まれているのなら相談にのるよ」と言ってもらった。

そして、その後も月に数回、カフェで話をする時間をもらえることになった。

話す内容は、自分の過去のこと、将来の展望など。

幼少期から始まり、今に至るまで。
どんなことに熱中していたか、
どんなときに喜びを感じたか。
今何に悩んでいて、
将来どうなりたいのか。

話の中で印象に残っているのは、
仕事は名詞より動詞で探したほうが良いという言葉。

名詞は抽象性が高く、認識のズレが起こりやすいが、動詞は動作を表す言葉のため、大きくずれることはないからだ。
例えば「営業」と一括りにいっても、扱うサービスやクライアントが違うと全然内容が違ってくる。BtoBとBtoCで違ったり、既存顧客と新規開拓で違ったり。

一方「毎日電話をかける」という動作には、イメージとのズレが生じづらい。日々のto doに、どんな動作が発生する仕事なのか、を知り、それがあっているかどうかを見極める。

これは、過去に現代文や言葉の歴史を独学したときの内容と重なる部分があり、腑に落ちるお話だった。

そんなこんなで、2か月ほどカフェで時間をもらった僕は、その後いくつかの転職先を紹介してもらった。

分野は様々。
ITコンサル、動画編集、SNSマーケティング。

その中で受かった調査会社に、僕は転職することになった。
新卒入社から、2年半ほど経ったときのこと。

転職直後の副業の話

実は転職する前、出版やメディアの業界に興味があり、その方面で転職を考えていた。お時間をいただいたキャリアコンサルタントの方には、そのことも伝えた。ただ、それらの業界は未経験の中途採用を殆どやっておらず、「執筆経験2年以上」「ポートフォリオの提出」などが条件としてあるものばかりだったため、そっちの方面は一旦諦めて転職活動をした。

ただ、「編集者」がもつ情報編集能力に魅力を感じていた僕は、その後もそういった業界に足を踏み入れることを想定し、どうにかプライベートで経験を積めないか考えていた。

そんなことを周りに話していると、友人経由で地域の経済新聞で外部ライターの募集をしていることを教えてもらい、応募してみることにした。
未経験の僕は「まあ落ちるだろうな」と思っていたが、面接をしたのちに見事採用。外部ライターとしての副業がスタートした。

執筆経験と、ポートフォリオを蓄積する権利を得たのだ。
転職して、2か月ほど経ったころの出来事。

転職して2社目の仕事

調査会社は、1社目より遣り甲斐はあった。ただ、クライアントは大手企業のマーケティング部門にいるお偉いさんや、大学教授の年長者など。
今後の新商品開発のための市場調査や、大学論文の発表に使うデータを提出するために依頼される案件は、毎日が納期との闘いだった。

データの収集~精査は、絶対にミスが許されない仕事。
「ミスなく複数案件をどれだけたくさん回すことができるか」
それがこの部署で求められるステータスだった。

残業代はちゃんと出るし、人間関係も問題はない。
ただ、多い時で100時間近く残業したり、クライアントからの無理な要望に応える日々は、なかなか身体にくるものがあった。それに加えて、会社に内緒で土日に副業。

2年が経とうとするころには、転職を考えるようになっていた。

2度目のつぶやき

そんなある日、「嫌われる勇気」でおなじみのライター古賀史健さんが、新しい本を出版した。

題名は「取材・執筆・推敲」

その本を読んだとき、再びライターとしてスキルをあげたい、という想いが芽生えてきた。ライターになりたいというより、情報を編集して多くの人に届ける力が欲しい、といった方が正しいか。

ただ、副業でライターをしていた僕は、ライターという仕事の辛さや相性も少なからずわかってきていたころ。ライター一本に仕事の舵を切るには、少々思い悩んでいる自分がいた。

そんなとき、古賀さんが「ライターの学校」を始めるということを知った。

学校の名前は「batons writing college

毎週土曜日午前中に、約1年間かけてライターの基礎を学ぶ学校。(受講料は確か20万程度)
ライターの道を進むには、願ってもいない機会。だけど、当時色んな出費がかさんでいた僕は、その20万をためらってしまい、受講しない選択をした。

そして、そのときのつぶやきが今の会社へ転職するきっかけとなる。

勘違いが生んだ偶然

その当時、僕がTwitterでつぶやいた文がこちら。

このつぶやきが、転職のきっかけになるとは思ってもみなかった。僕が当時受けようとしていた学校はbatons。そして、全く同じ読みの「BATONZ」という別会社からDMが送られてきた。どうやら、自分たちの会社のことについてのつぶやきだと思ったらしい。

まあ普通ならここで無視をするだろうけど、何かの縁だと思いDMを返した。
つぶやきは、別のことについてのつぶやきだったが、送ってもらったURLを見て興味を持ったことを伝えた。

そのときのDM

そして、後日面談をすることになった。

クランボルツの計画的偶発性理論

そんなこんなで面接が進んでいき、気づいたら内定をもらって転職を決断していた。M&Aという、全く思ってもいなかった業界への転職となったが、やることはインタビュー記事の執筆やSNSマーケティングといったような、当時やりたかったこととそれほどズレてもいない。

そして、これまで仕事をしてきて一番充実感をもって仕事ができている。

心理学者のジョン・D・クランボルツ教授は、キャリアについてこのように述べている。

「人のターニングポイントの8割が、本人の予想しない偶然の出来事によるもの。だからこそ、偶然が起こる可能性がある状況を、意図的に作り出すことがキャリアを作り出すうえで大切である」

偶然を意図的に作り出す。

矛盾しているように思えるのだが、今回の自分の例でいくと、Twitterにつぶやくという行為をした場合としなかった場合で、今後のキャリアに大きな違いを生んでいたことは間違いない。

もちろん、それが吉と出るか凶と出るかは、その道を歩んでみなければわからない。

だけど、行動を起こさなければ何も変わらない。
現状に満足していないのなら、どんな方法でもいいから何か行動を起こしてみる。それが、SNSにつぶやくという小さな to do であっても。

それを、実体験を通じて感じた転職の話。


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