祖父の経営方針が、現代でも十分通用するものだった話

今、改めて会社の歴史を整理し直していますが、先々代、祖父が残した経営方針の資料があります。私も、折に触れ見直していますが、改めて、現代にも通用する方針だと思うので紹介します。

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祖父は私が高校生の時に旅立ちました。会社に入って祖父の残す文書資料を見る機会があると、言葉の使い方や語彙・言い回しが大正生まれの祖父らしさに溢れてて、小さい頃の思い出が心に浮かびます。

さて、祖父が現役であった時代、もう50年近く前に、こういう経営方針だったと言うことに驚かされます。一つ一つ見ていきます


1.経営上手な方向付け(トップの卓越したビジョン)
→現代でもビジョナリー経営の大切さは説かれています。ブランディングなども経営理念の明確化は最初の一手です。

また、別の箇所では『「共通の目的」の理解が出来さえすれば社内全員の人間関係は必然の絆となる』とも書かれています。経営方針を示すことで社内が同じ方向を向いた組織となるマネジメントは、現代でもインナーブランディングとして、その重要性が示されています。

2.良く働く社風と燃える集団
→最近だと「やりがい搾取」などとも言われますが、モチベーションマネジメントとカルチャー造りも、会社経営の基本です。

3.異質な発想の出来る人が多い(情報を上手に捉える)
→改めて驚いたのがここです。祖父の世代で「ダイバーシティー」「多様性」の重要さに気づいていたというのが、凄い。そして、多様な価値観があることで、情報が量的にもふえ、1つの事象の解釈の多様性という意味でも、経営として強みになるということは、現代企業も変わりません、というより、現代企業でも取り入れようとしていることです。

4.マーケットの適格性
→これもおなじく。マーケティングの基本は「勝てる市場を選ぶこと」。自社の強みが発揮できるマーケット選びこそが「経営」という視点を持っていたことが驚きです。

また、祖父は孫子をよく引用していました。「勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に 勝を求む」。つまり、実際の戦いの前に勝負は決まっていると言うこと。自分が戦う場所をまず検討すること、勝てる市場、勝てるポジショニングを設定する重要性は、今の経営も変わりません。

5.独自の商品・技術・販売ルートを持っている。
→これも現代も同じです。いわゆる「強み」「コアコンピタンス」と呼ばれるもの。それが商品なのか、技術なのか、販売チャネルなのかはそれぞれですが、他者と差別化できる強みがあること、これも、経営の基本です。

6.メーカーの特徴として技術要員40%を占める。(常に数年後の先を考えよ。)
→こちらも、現代と同じですね。現代ではその技術がデジタルやITになっていますが、数年後の先を考えて技術を開発し導入していく。メーカーであれば、社員の4割が技術要員というのは、ITやバイオテックなど現代の技術企業でも必要な人員ではないでしょうか。


祖父が孫の代まで通用するような経営方針を立てられる卓越した経営者だったのか、それとも経営の基本は数世代単位では変わらないものなのか、恐らく、その両方だと思います。

そして、私たちのような老舗の強みというのは、こういった時代を超えて通用する経営方針が、社内に文化として残されていること、そこにあるのかもしれません。そして、そのありがたさを深く感じるところです。

今日の話はここまで。

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