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KOJI THE KITCHEN はじめます

さて、Twitterなどで告知をしておりますが、このたび、loftworkさんの協力を得まして、KOJI THE KITCHENプロジェクトを開始することになりました。

10月10日(日)にオンラインイベント、11月3日(祝)にFabcafeNAGOYAにてオフラインでイベントを行います。

イベントとしては、種麹の新しい可能性を開くために、デザインやアートの領域と「麹」を接続していこうという主旨。

といっても、抽象的でわかりにくいと思いますが、要するに、「従来の使い方や概念に囚われずに、種麹を色んな使い方をして、新しい発酵料理を生み出そう!」というイベントです。

「種麹の新しい使い方」を探求するということ

 実は、発酵ブームであるようでいて、種麹自体のニーズは減っています。私がこの業界に入ってからでも、いくつかの事業所が閉鎖統合しています。

食の欧米化だったり、そもそも、日本の人口が減っていたりして、種麹を使う産業全体の生産量が残念ながら減っている、味噌、醤油、清酒、、数十年単位の長期トレンドでは、どの業界も国内消費量が減っています。(食品に限った話ではないと思います。)

従って、発酵食品の原料である「種麹」の使用量も減ってしまう、、、という状況です。

一方、海外で、味噌や醤油を自分たちで製造する動きが現れ始めました。特に清酒においては、恐らく大小合わせると国外の清酒製造事業者は100件を超えたとみて良いと思います。

料理の技法として麹、発酵に注目

また、nomaさんをはじめ、海外で麹を料理に使う動きが始まりました。下記のように記事にも取り上げられています。2017年なので、もう4年も前ですね。

肉と麹を合わせる──日本の「こうじ」に世界のシェフが夢中

そして、その先頭を走るnomaさんからは、発酵料理に関するガイドブックも出版され、その後に日本語訳が発行されるなど、技法の逆輸入のような現象も起きています

もちろん、日本のレストランの皆様も、発酵を料理に組み込む意欲的な取組をされています。最近では「発酵ガストロノミー」という単語も生まれました。

このように、発酵を「料理」に使うという観点が、ここ数年着実に進化しています。

率直に、大変嬉しい動きです。

麹を食材(マテリアル)に発酵を料理技法の文化に

私たちは、長年、麹に対して、原料を分解する酵素を供給する原料、という見方をしてきました。

敢えて極端に言えば、「麹は原料であって、作ってそのまま食べるものではなかった」のです。

味噌、醤油、酢、味醂、焼酎、甘酒などいろいろありますが、麹がそのまま濾過されずに最後まで残るのは、この中では、味噌と甘酒のみになります。味噌は塩や他の原料と一緒に混ざります。最も純粋に麹の原形をとどめるのが甘酒でしょうか。


さらには、米、麦、豆を麹にするといっても、自動的にそれは、醸造に使われる米、麦、豆であり、麦だからといってライ麦だったり、豆だからといってコーヒー豆やレンズ豆を思い浮かべることは、直感的にはありませんでした。

しかし、むしろ、これまで醸造業界の外にいた人ほど、自由な発想で取り組まれていて、私たちの方がビックリするような発想を聴く機会も増えてきました。

一方で、せっかくのこのムーブメントに、種麹メーカーとしての蓄積や知見を活かさないわけにはいかないとも思っています。

様々な原料を麹にする技術

そして、当社は、様々な原料を麹にする技術を磨いてきました。クコ、ニンニク、朝鮮人参、エンドウ豆、カカオニブ、ヘンプシード、アーモンド、昆布、ココナッツ、キヌア、カボチャ、、いろいろな原料を麹にしてきました。

原料に応じた菌株の選定のベースとなる大量の菌株ストック、その菌株をどのように原料上で育成すれば麹になるのかの製造上のノウハウ、これらは、一朝一夕にはまねできない、独自のノウハウだと思っています。

元々は、健康食品やサプリメントのための技術でしたが、この様々な原料を麹にする技術は、そのまま、「様々な食材を麹にする調理法の開発」に適用できると思っています。

厨房や台所に当たり前に麹がある世界を

麹を作ることは楽しいです。

その楽しさは人それぞれだと思いますが、私は、発酵を調理法と例えたとき、例えば、和の五法と呼ばれる「切る」、「煮る」、「焼く」、「蒸す」、「揚げる」、に「醸す」が入るとして、

最大の特徴は、「唯一、他の生き物との共同作業」だということです。個人的には、恐らく、ここが一番の楽しさ。この「他の生き物と一緒につくる楽しみ」こそが、「醸す」という調理法の醍醐味ではないかと思っています。

正直、ぶっちゃけると、発酵食品、「手軽な発酵食品づくり」と、よくききますが、「思ったより簡単だった」ということはあっても、それなりに手間がかかります。はっきりいって、買ってきた方が楽といえば楽です。

ただ、時には、台所に自分の家族以外の生き物がいて、その生き物が、一緒に、日々の食事を美味しくしてくれている。そんな日が、毎日とはいわなくても、定期的にあることで、日常はグッと潤うがもたらされるのではないかと思っています。

家で、麹を作る人が、蕎麦打ちや燻製ハムづくりぐらいに増えてくれると嬉しいですね。

今日の話はここまで。

最後までご覧いただきありがとうございました。 私のプロフィールについては、詳しくはこちらをご覧ください。 https://note.com/ymurai_koji/n/nc5a926632683