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当社の経営ビジョン-1年の初めに当って

明けましておめでとうございます。

さて、年の頭に、あらためて、株式会社ビオック・株式会社糀屋三左衛門の方針を記載したいと思います。

Science Culture Society

当社のビジョンは

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と、してきました。

それぞれ、健康に貢献する=Science、食文化に貢献する=Culture、環境/社会に貢献する=Society に対応し

Science, Culture, Society の会社を目指していきたいと考えています。

そして、主としてScienceを司るのが、研究開発型企業の株式会社ビオック、Cultureを司るのが、伝統を受け継ぐ株式会社糀屋三左衛門、そして、この2つの会社がともにみすえていくのが、社会全体であるSociety、だと定義します。

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科学、文化、社会、この3つを考え方の軸においていきたいと、改めて思います。

麹のマーケットを広げる

そして、今年は、「麹のマーケットを広げる」最初の1年にしたいと思っています。全国で、蕎麦打ちを楽しむ人が60万人ぐらいといわれています。以前、小倉ヒラクくんとセミナーでご一緒したときに、「麹という趣味を蕎麦打ちぐらいにしたいね」と言う話をしていました。

私の体感では、今、麹造りを趣味だったり、あるいは、レストランだったり、醸造メーカー以外で麹を実際に自分でつくる人口が日本と世界合わせて1万人にのるかのらないかぐらいになっていると思います。

私は、マーケットは山と同じで、高さと裾野が、それぞれに大事だと思っています。

マーケットは山と同じ

どういうことかというと、「入り口の広さ、初心者人口の多さ」と「ハイクラスがどこまで価値を高くできるか」の両方が必要です。

腕時計でいえば、気軽に日常使いできるカジュアルなものあれば、一本数百万、数千万する超高級ブランドもあるような状況ですね。チョコレートも、コンビニで売っているような物から、1個数千円の高級アソートまで、色々あります。自動車も普及型乗用車から超高級車まで、価格に応じて綺麗に三角形になっていると思います。

そして、裾野を広げるのは、一般に「Science」が得意な領域です。科学による技術の蓄積で、より多く、より効率的に生産することが出来ます。あるいは、新しい使い方、新しい効能などが発見され、普及していきます。

近年、発酵の健康効用について多くの知見が広まり、「発酵」に注目が集まっていること、すなわち「Science」の領域で一気に裾野が拡大したこと、大変ありがたいと思っています。

そして、特に塩麹、甘酒を代表に多くの麹菌を利用した商品、マーケットが拡大しました。健康を目的にした食品は、毎日食べることになるため、手に取りやすい価格、毎日買い続けられる価格であることが、まず大切なことになります。

そこは、私たちが自分たちでやることではなく、種麹メーカーとして、地域の食卓に根ざした醸造メーカー様の商品作りのための種麹を提供させていただくことで、裾野の広がりに貢献していきたいと考えます。

一方、高さを出す方は「Culture」が得意な領域です。文化的価値には限界がありません。茶道を見れば、茶器に数百万、数千万の値段がつくこともあります。そして、茶道をおこなうひとが「カテキン」の効果を期待したり、数百万のワインをたしなむ人が、「ポリフェノール」を目的に呑んだりはしていないと思います。

そして、私は、そろそろ「発酵」が「Science」を中心とした裾野の広まりから「Culture」にドライブされた「高さ」の領域にシフトするタイミングがくるのではないかと考えています。そして、ドライブさせることが、伝統産業の承継者としての使命ではないかとも考えます。

「麹を造る」という行為の文化的な意味はなんなのか、そこに、どんな価値観が埋もれているのか、それを形にしていくこと、そして、それを高さのある仕組みにしていくことを、模索していきたいと考えています。

Science, Culture, Society をバランス良く

しかしながら、何もないところに高さは生まれません。いや、裏付けのない高さは砂上の楼閣という表現が適切でしょう。

伝統芸能の洗練された動きは、確かな感動を呼び起こします。確かな価値を生むためには、確かな技術基板があってこそですし、技術の基盤は科学にあります。すなわち、Cultureは、やっぱりScienceに立ち返ってくるのだと思います。

そして、価値を認めるのは自分たちではありません。社会が認めるからこそ、そこに価値が生まれます。社会に対して、どんな有用性があるのか。それも合わせて考えなくてはなりません。

片付け術で世界的に有名になったこんまりさんを例にとります。

家が狭い日本では片付け法というのは、「部屋を広くするための技術」すなわち、実利を求めるScienceでした。しかし、そもそも部屋が広いアメリカでは、そこまで「部屋を広く使いたい」という動機を消費者は持っていません。では、なにがヒットしたのか、それは「片付けを通じて、家や物と対話する精神」、すなわちCultureの領域でした。

そして、「ものをもっていればいるほど幸せ」という世界からの脱出という、「持続可能な地球環境」というテーマに接続する社会性、Societyへの価値が認められたことが、大きな理由であると、私は考えています。


茶道、華道、落語、歌舞伎、鮨、懐石料理、能、狂言、盆栽、着物、剣道、柔道、弓、馬術、瓦、建築、彫刻、仏像、、、日本に何百年と培われてきた伝統はたくさんあり、また、その価値が言語化されたり、仕組み化されているものはたくさんあります。発酵においても個別には洗練された高みに登っている物もたくさんあります。

600年受け継がれてきた「種麹」引いては「麹」「発酵」というものの技術を、どのように文化として表現していくのか、そして社会と接続していくのか。

おそらく、私が考えるまでもなく、「麹」や「発酵」は、すでに、「文化」であり、地域の「社会」に接続していて、資源循環を通じて「地球」に接続しています。

しかし、その価値がわかりやすく提示されているかといえば、もっと価値を引き出せる可能性のある提示の仕方があるはず。

それを、どうやって、より広く普及できるような、表現や仕組みに落とし込めるのか、そんな大きなテーマに取り組んでいきたいと思っています。

今年も、1年間、そして、2020年代の10年間、どうぞ、よろしくおねがいします。

最後までご覧いただきありがとうございました。 私のプロフィールについては、詳しくはこちらをご覧ください。 https://note.com/ymurai_koji/n/nc5a926632683