見出し画像

10年間で気付いた、芸人にとって大切な10のこと。



芸人を引退して少し経ちました。


環境自体もそこまで変わっておらず、バイト先では芸人がチラホラいるので、まだ「ほんまに辞めたんかな」と、実感が沸かないのが正直なところです。
なんかずっとお笑いの仕事がない状態みたいな感じ。

ただ、以前と決定的に違うのが、メンタルが安定したという事。
ネタ合わせもしなくていいし、SNSを見ても何も思わなくなったし、バイトをしていても、「お金を貯めるんだ」という明確な目標が出来たので、しんどくなくなりました。
前より主体的に、能動的に働いているので、すごく気が楽です。
同じことをしているのに。不思議。




そんな中、前からやってみたいと思っていたことがあります。


それは、
芸人生活の中で生まれた考えや、気付いた大切な点、「こうしていれば」といった反省点などを整理するという事です。


「いや、まだ未練あるんかい!」と思ったあなた。
それは決して違います。
以前もnoteで触れたように、僕は完全に負けを認めました。
だからこそ、芸人時代の自分を冷静に見て分析出来るのです。


僕は、人より物事を俯瞰で見る力はあると思っています。
考えて、考えて、一定の答えを出すのが好きな人間です。
「辞める」という決断をすることになったのも、ある意味この力のせいなのです。



一応知らない人のために、筆者である僕がどういった経歴かを改めて説明すると、

・大学卒業後すぐ、23歳でNSC入学。芸歴9年目で引退。
・大阪若手の劇場、「よしもと漫才劇場」のメンバーとして約5年間所属。
・関西の賞レース決勝進出が2回(NHK上方漫才コンテスト、関西しゃべくり話芸)、M-1最高成績は3回戦進出(2017,2018,2019,2021,2022)。
・テレビ出演はざっくり20回くらい(ガキの使い、有田ジェネレーション、オールザッツ漫才、せやねん!、ものまね紅白などなど)。

みたいな感じです。
これくらいのレベルの芸人が書くことだというのを念頭においてください。

以前も他の記事で書いたように、かつては「いけるかも」という手ごたえを感じていた時期もありました。
ただその後いろいろあり、引退という選択肢を取ります。
「芸人として売れる」という観点からすれば、僕の歩んできた道は「失敗」だと言えます。


ですが、失敗から学べることは必ずあります。
この10年間で僕の気付いた事をまとめるということは、少なからず誰かの参考になるのかなと思うので、これをやってみたかったのです。




芸人時代は、めちゃくちゃあがきました。苦しみました。
ことお笑いシーンにおいては、強者ではなく、弱者側のメンタリティで物事を見ていました。
勝つ人間と負ける人間。成功する人間と失敗する人間。
それらを10年近く、実際に間近で見てきました。

なので、外側だけを見てSNSでつぶやくだけの自称・お笑い評論家や、M-1オタクたちの言うこととは、はっきり言ってレベルが違うし、放つ言葉の重みが違うと思います。
決して大風呂敷を広げているわけではなく、事実としてそうだと思います。




これから書くことの中には、当たり前っちゃ当たり前のこともあると思いますが、一応まがりなりにも10年間芸人生活を送り、その半分の約5年は若手の劇場に所属し、売れてる芸人を近くで見て、その都度凄さを肌で感じてきた人間が書くので、何周もして「やっぱりそうなんだ」と受け止めていただけると思います。


ちなみに、ネタの分析や、ネタの中身自体への言及はありません。
何しろネタで通用しなかった人間なので、その領域については僕が言う権利はないと思っています。
あくまでメインは、
芸人としての生き方やマインド、そして現在の関西若手お笑い界の構造などに関して書いていくつもりです。



そして、「誰かの参考になるかも」と言いましたが、この記事を読む対象として適しているのは、

・若手芸人の生態やお笑い界の実情が知りたい一般の方、お笑いファン
・ある程度ネタに自信があり、多少通用している(と思う)芸人

だと思います。


まず、劇場に通うお笑いファンの方からしたら、僕が書いてることのニュアンスは伝わると思いますし、メッセージを汲み取って、「ああ、つまりあの芸人はこういうことか」みたいな事の連続なので読みごたえはあると思います。

テレビしか観ないお笑い好きの人であっても、「大阪の若手芸人ってこうなんだ」という実情がわかるので、そういう人たちにとっても興味深い記事になっていると思います。


芸人は、希望に満ち溢れている、芸歴の若い人に出来るだけ読んでほしいです。
彼らにとっては、「こういう考えだとダメだな」とか反面教師的な視点で読むことが出来るので、参考になるかと思います。

現時点でネタに自信のない芸人や、通用してないと感じる芸人は読まない方がいいと思います。何のメリットもないからです。
正直、「人前に立つには見た目が大事」とか「人付き合いが大事」みたいな大前提は言いません。
あくまでそういうレベルはクリアした上での話ばかりです。


さらにあらかじめ言っておくと、タイトルで「芸人にとって大切な10のこと」と言っていますが、あくまで《若手》芸人のことについてです。
すでに売れている人が思うこととは少し、もしくは全然違うと思います。
それはなぜなら、僕自身がそのステージまで到達できなかったからです。
書いていることの全ては、恐ろしく等身大です。ありのままです。

そんな僕の個人的な考えなので、いろいろある答えの中の一つだと思って読んでください。
ただ間違いなくドキュメンタリー性はあると思います。




noteは経験とノウハウを売る場所だと聞いています。
僕が経験してきた、人に自信を持って語れる専門的知識はこういった内容しかありません。
大学卒業後、就職もせず、特に何の資格もない僕が唯一、少ないながらもお金を稼いでいた分野が「お笑い」だからです。

そんな僕が全てをさらけ出して、熱量(17,000文字)と時間(1か月近く)をかけて作ったので、そういった意味も込めて有料記事にさせていただきます。

そして、感情論を一切抜きにして書くので、めちゃくちゃドライです。
中には少し過激な言い回しや、ネガティブな表現が出てくると思いますが、「これがリアルだ」という意志のある記事に他ならないので、興味のある方、受け止められるメンタルの方だけお読みください。





と、色々とハードルを上げすぎて、自分で自分の首を絞め始めたところで、僕が10年間芸人をやった上での研究結果、レポートの発表です。

ここから先は

14,846字

¥ 500

この記事が参加している募集

振り返りnote

この経験に学べ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?