体験ダイビングのスタイル

体験ダイビングって、実はとても奥が深いと思っている(ハマっている?)屋久島マリンサービスの榎田です(笑)

始めて水中で息をするっていう、ある意味最高に料理しやすい(ひどい言い方してます。スイマセン)ゲストを連れていくアクティビティ。引率者のプライドと技術がもっとも生々しく反映されるアクティビティであるともいえます。

やりようは実に多彩。お店や担当者の方針や性格、あるいは技術、あるいは地域性だったり、一括りにするにはあまりに幅広い。それでも全部まとめて「体験ダイビング」という言葉でまとまってます(笑)

そこで、あくまでも僕の私見。僕が実際にすることのある体験ダイビングスタイルを、引率者と参加者の位置関係からざっくり分類してみました。

リフト型
担当インストラクターがゲストをぶら下げて泳いでくれる。ゲスト的には超楽ちん。インストラクターの動きとまるっきりリンクしているので、ゲスト個人の自由度は当然低いので、積極的に水中で活動している実感は少ないかもしれない。
対面型のコミュニケーションはちょっと取りにくいが、つねに超至近距離、インストラクターと接触している(つながっている)のでトラブルの発見や対応はすこぶる早い。水深管理はインストラクターの技量やこの方法への習熟度に大きく左右されるが、基本的には相当安定しているので、圧力による影響も最小化しやすく、圧平衡への対応は比較的容易。
参加者にとって周囲に自身を定位する接触物等の目安がないこともあり人によっては多少の不安が発生する可能性はある。(体が固定できない)
物理的には両手で持つしかないわけでどんなに頑張っても2名しか連れて行けない

着底型
リフト型の次に圧力の変動を最小化できるスタイル(ただしダイブサイトの地形に大きく左右される)。ブルドーザーなどと揶揄されることもあるが、参加者的には、耳抜きに時間がかかる、不安があるができないわけではない、など不安要素がある場合は急激な圧力変化(一気に潜行する、落下してしまうなど)にゲストをさらさずに済む。体が地面に対して接して定位できるので陸上の感覚に近く心理的に安心感は高い。(ウエイトコントロール要)本人の意思による静止がしやすい。(止まっても水深が変わらないため圧力差に起因するトラブルは発生しにくい)
ただしいわゆるダイビングでイメージされるような浮遊感、泳いでいるという感覚は少ないがリフト型よりは自由度は上がる。ルートを選ばないと環境への負荷が大きくなる可能性がある
安心感だけに限定していえば、ゲスト、ホストとも一番安心できるスタイルかもしれない。ただその安心の裏返しとしてポンと大人数連れていくのに都合よくつかわれる可能性も否定できない。

軽保持型(手をつないで泳ぐ)
上の2スタイルに比較し、ゲストが自分でやってる感はだんだん強くなるが、実は参加者の依存度が高いうちは手をつなぐだけだとかえって行動しにくかったり、バランスがとりにくかったりする。その状況においてはインストラクターの片手をふさいでしまう割には実はメリットはあまり大きくないと考える。握手程度の保持でゲストの物理的なコントロールができるのか?という話こと。(引率者側からすれば、ゲスト的に一番しがみつきやすい、引率者を拘束しやすい位置であるということも考慮しておく必要がある)
事前の学習がしっかりなされており、手を添える程度で大丈夫なレベルの活動能力があれば、ゲストの安心感が増大するという意味では非常に有効なスタイル。心理的に、やはり手をつないでいる、接触している実感というのはとてもとても大きいものです。
リフト型と同じく、物理的に2名までしか同時引率できない。
個人的には一番出番のないスタイルである。

自力遊泳型
事前のレクチャー、トレーニングなど入念に行ったうえでという条件付きではあるが、最もファンダイビングに近く、漠然としたダイビングのイメージにも近いスタイル。ゲスト個人の自由度(泳ぐ止まる方向転換など)も高い。
これができればそれに越したことはない。ある意味理想の体験ダイビングかもしれない。
が、
そのためには、最低限の潜降浮上を含む浮力調整、呼吸源脱落の際の対処ができることが条件となり、それなりの事前の準備が必要である。
ということは参加者も覚えること、やることが多く負担が多いともいえる。
また、個人裁量での行動範囲が拡大するためインストラクターとの物理的距離、コミュニケションの距離が開く傾向がありよりインストラクターの緻密かつ的確な安全管理が要求される。

あれが良いとかこれが悪いとか、どれならゲストの満足度がどうだとか、一番安全なのはこれとか、単純に言えるものではないです。

いずれのスタイルでも、参加者にしてみればなにしろ初めて。

楽しみ。ドキドキ。怖い。もっと。もういい。いろいろな感想が出てくるのは当たりまえ。

楽しめるったって、楽チンがいい人も、やってる感がいい人も、安心感が一番な人も。あるいはそれらの嗜好が途中でどんどん変わるってことも可能性としてはあるわけ。

それとどうしたって、このスタイル選択の前に人数比というものが厳然と存在します。人数比が小さければ小さいほど物理的、時間的にできることの幅が広がるのは間違いありません。
ただ、話がややこしくなるのであえて人数比についての考察はここではほとんどしません。でもそれだけでひとネタになっちゃう重要な要素なので別の機会にちゃんと書きます(笑)

屋久島マリンサービスYMS
YMSの体験ダイビング

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