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孤独の音楽家が、はじめてのアルバム作成に至るまで〜1st album 旅路〜

YouTubeにてアルバムトレイラー公開中!

「そうだ、アルバムを作ろう」
思いたったのは去年の夏。YouTube活動を始めて半年ほど経った頃、オリジナル楽曲も着実に増え音楽家としての指針が固まりつつある時だった。

当初は年末に出せたらいいなという漠然とした目標だったが明らかに期間が短く、そしてあまりにも楽曲制作における技術が足りていなかった為、延期となった。

せっかくなら良いものを残したい

この思いから自分の実力、環境、知識などもう一度改め、万全の状態からスタートしようと考え、年を越した。
2021年1月より制作に取り掛かった。YouTubeに上げたオリジナル楽曲そして新曲を含め、全13曲のリテイク、リミックス、リマスタリングのアルバム作りが始まった。

daw自体2020年から始めたわけで、未だに技術的にプロとは程遠いが1年でかなり進歩した方だと思う。
ソフトはパソコン入手後すぐに導入したLogic proX
決め手となったのはGarageBandととの連携、Drummer機能等。またアプリストアからすぐ購入できるので煩わしさが無いからである。

YouTubeにあげているオリジナル楽曲はLogic付属の音源のみを使って作られている。
しかし今回はリスナーに届ける商品となる可能性がある為下手なことはできないと感じた。
ドラム音源などの様々な音源を揃え、IKmultimediaのTotal studio max3、izotopeのプラグインなども揃えた。(機会があればこれらをいつか動画内で紹介したいと考えている。)そしてアルバム制作が始まったのである。

たった一人の音楽家

今まで私は演奏だけをするミュージシャンだった。録音やエンジニアリングは完全に人に任せていた。
良いプレイをする、それがしかるべき姿だと思っていた。しかし時代の流れは、一人でも様々な事ができる、様々な事に挑戦できる環境がたくさんある、そんな風に変わっていたのだ。
また新型コロナの影響もあった。規制されるイベント、潰れるライブハウス、インターネットを主流とするメディア展開。
今まで音楽をやっていた場所がシフトするのを感じた。もっとコンパクトに、しかも素早く広く展開される音楽。
時代に流されるのを嫌う(笑)私だが、別にコンパクトな音楽が嫌いなわけでもないし、そういう音楽もいつでもやりたい。しかしコンパクトな物は持ち運びには楽だが、たまにどこかで無くしてしまう物だと分かっている。

そんなこんなで、一人でやってしまえばいいじゃないか!自粛しながらも制作できる!の理由から
たった一人の音楽制作をすることにした。
やることは増えるがデスクトップのなかでだけで完結する。世の中が求めるのはデスクトップミュージックなのだと。

アルバムの概要

2020年4月から始めたYouTube、その中で生まれたオリジナル曲7曲をリテイク、リミックス、リマスタリングし、更に新曲を6曲追加しての構成となった。
新曲を追加し、リテイクし直したのも、より良いものにする事でYouTubeとの差別化を狙い、より深く曲を聞いてもらう様に心がけたからである。
またアルバムにはコンセプトを持っており、それは「とある騙された一人の男の物語」であり、そのストーリーを補完させる意味で新曲を追加することになった。アルバムタイトルにもなっている通り
人生を旅路と捉えたストーリー展開をしている。

おおまかなストーリー

最初の曲 No life is dutiful 
男が過去を回想しだすきっかけとなった始まりの曲である。

2曲目 Tri try
一番時系列の中で古い記憶、過去の栄光を表している。若く、やる気に満ち溢れ、野心的な心を持っていた頃の記憶を表現。

3曲目 旅路〜空蝉〜
アルバムがストーリーを持っていると知らせるためのアナウンスだ。いわゆるストーリーテラー。

4曲目 All night driving Tokyo seaside
次に新しい記憶。当時一緒にいた女性とドライブへと出かけた時の心情を表している。

5曲目 Yellow music radio station
車の中で聞くラジオの様に、ストーリーテラー扮するラジオDJの語り。

6曲目 夏の予感
いつかの夏、ふと予感を感じる主人公。この予感は一体なんなのか?彼にとって幸か不幸、どちらをもたらすのか、不穏なメッセージとは裏腹に爽やかなサウンドで締めくくる

7曲目 旅路〜澪標〜
またストーリーテラーの語り。主人公は夢の中で海を見つめる、現実と夢の区別がつかないほどに疲弊する彼の身に何かが起こっていた。

8曲目 28
28歳の歳を迎え、日々の仕事に追われる主人公を描く。

9曲目 飛び回る、夢中で
彼の心理状態は不安な状態となっていた。現実に対しての文句や、不安が募っていた。

10曲目 旅路〜蜻蛉〜
打って変わって、穏やかな様子が描かれる。これは過去の楽しかった日々を思い出しているのか、はたまた諦めから来る解放に満ちた心境を表しているのかはわからない。それは陽炎の如く。

11曲目 旅紫(たびじ)
主人公が回想を終え現実、2020年に戻ってきた時のさまざまな感情を表現している。

12曲目 ORIGAMI
さまざまな感情に折り合いをつけていく。折り紙を折る様に祈るように一つ一つ丁寧に。

13曲目 火の鳥
未来へと歩き始めた主人公を襲う現実の脅威、それは社会的世界的であり、不安に襲われる世の人々を見つめた主人公は歌を歌う。

といった様にアルバムの曲は全て繋がっておりストーリーをもたせている。実際YKの曲作りは、自らが経験したことがあるものと、フィクションを混ぜて第三者視点でストーリーが見えるように作っている。第二者は歌っているYKだと思っていただこう。

演奏、エンジニアリングについて

今回も全てYK自身が全ての曲の演奏、作詞作曲、エンジニアリングをしている。YouTubeにて公開したバージョンを録り直してリミックス、リマスターしたわけだが、初のアルバムな訳でいろいろと苦労はあった。新規の音源追加や、ギターのアレンジのし直し、新たなプラグインでのミックス、マスタリング。
今回細かいことは割愛させていただくが、いつかわたしが学んだことを紹介する記事を書きたいと思う。今回は一つ学んだことを紹介しよう。音圧についてだ。

音圧について

音圧。それは字の通り音の圧力だ。わかりやすくいえば音のボリューム感、密度といえばいいだろうか。
この音圧はRMS(Root mean square)という値で示されるのだが、その数値は同じ音の中でも、ある音は小さく聞こえ、ある音は大きく聞こえたりする場合がある。これは人の耳の感覚によるものだ。
このRMSでは測れない音の圧を考慮することで、音響はより良く成り立っていく。それを可視化する値をLUFS(Loudness unit full scale)または、LKFSというのだが、これを上手い具合に考慮する事が今回のアルバム制作の最後に立ちはだかった問題だった。ここではラウドネスと略す。

何もかもが初めてのアルバム制作、配信までとなると特にわからないことだらけだった。
なんとか配信手前まで漕ぎつけ最後にこの音圧調整のときそれは起きた。
各配信サイトによって別々のラウドネス値(LUFS値)の基準が設けられており、それを超えるラウドネス値の楽曲は音量を下げられてしまうという問題だ。
一括で配信を行うサービスを利用していた為、自分でどのくらいのラウドネス値にするか判断しなければならないということだった。結局、今回のアルバムは13LUFSの基準でマスタリングした。一番は配信サイト一つ一つにあった音圧を設けるのが良いのだが、それはそれで果てしない作業と化する。

かつて音圧戦争と呼ばれる音楽メディアにおけるマスタリング競争の様なものがあったが、配信を主に音楽が聴かれる昨今、このような基準が設けられたこともありそれは終息を迎えた。ではどうして音圧戦争が起きたのだろうか?

いくつかの楽曲を比べて聴いた時、音量が大きく聴こえる楽曲ほど、印象が深くなる。存在感があるからだ。音圧戦争はこれに目をつけ、他の人よりもより大きく聴こえる為にも楽曲のクオリティが下がらないギリギリまで音圧を上げることから始まった。(わざと極端に音圧を加工をする場合もあるのだが。)
音圧を上げる為にあらゆる工夫がなされていたのだ。

今回13LUFSという値にしたのは大抵の配信サイトは基準が16〜13LUFSの間を動いており、また楽曲のジャンル的にも少し音圧を上げた方がいいと感じたからだ。
Rockや、Electronic系は少し圧縮された波形の方が映える場合がある。逆にバラッド系やジャズ、クラシックなどは控えめに圧縮されダイナミクスがわかりやすい加工をされる。
音圧という一言だけでこれほどまでに考えることがある、それ気付けた事が今回のアルバム作成の一つの収穫といえる。

まとめ

今回は初めてのアルバム制作について語ったわけだが、noteの投稿も初めてである。拙い言葉で読みづらかったら申し訳ない。アルバムを作って一段階進化できたと思うし、このノウハウを活かして作品をたくさん出せるように精進して行こうと思う。
noteではこういったYMPの活動における裏話的なものや音楽制作で培った技術や、知識を提供できればと考えている。

私には音楽に携わる者としての信念がある。それは後世に素晴らしい文化(音楽)を伝えていくというものだ。
私達は非常に恵まれた環境で育ち、素晴らしい文化に溢れた時代に生きている。そして人の豊かさはそういったもので測ることができると思う。先人の残してきた感動を後世にバトンを繋げていく事で人々が豊かに暮らしていける。その礎を築いて行けるようYMPは頑張って行こうと感じた今回のアルバム制作だった。


最後に
1st Album「旅路」各配信サービスにて配信中!!

こちらのリンクから各配信サービスに繋がります。
CD媒体等の販売はありません。サブスクリプション、ダウンロード販売のみとなります。
是非聴いてみてください!

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