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シブヤNPOインタビュー② 『社会で子育てを』

**シブヤNPOインタビュー **

第二回 NPO法人ライツオン・チルドレン(理事長:立神由美子さん)
『社会で子育てを』 

 
こんにちは、森田ゆきです。
ここ数日、第二派の流れか?コロナ感染者が増えつつありますね。
7月24日現在の渋谷区民の検査陽性者数(累計)は382人(うち入院等86人、死亡6人、退院等290人)であり、ここ1ヶ月弱で感染者が増加傾向にあります。マスクも息苦しい季節となりましたが、どうぞ体調管理をしながら、withアフターコロナと付き合っていきましょう。

さて、この企画は、渋谷区で活動されているNPO法人にインタビューを行い、活動の内容や価値観を共有するというものです。
※今回のインタビューも前回に続き、森田事務所の高校生インターンも同席しております。記事の最後に高校生目線の感想が記載しておりますので、そちらもご覧ください!
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今回インタビューをさせていただいた団体さまは「特定非営利活動法人ライツオン・チルドレン)」です!

https://lightson-children.com/
ライツオン・チルドレンは、「社会からの支援を必要とする子ども達」を支えるために、企業・個人の皆さまと共に活動している団体です。
「社会からの支援を必要とする子ども」とは、子どもに保護者がいなかったり、保護者がいても虐待・貧困・病気などの理由で子育てができなかったりする子どもたちのことです。こうした子どもたちは児童養護施設・乳児院や里親家庭などで生活しています(社会的養護)。全国の児童養護施設・乳児院・里親・ファミリーホームに措置・委託されている子どもの数を合わせると約3万5千人になります(厚生労働省「社会的養育の推進に向けて(平成31年4月)」)。
ライツオン・チルドレンは、こうした子どもたちの成長や自立をサポートするための事業を行っています。

<事業概要>
①教える・学ぶ
児童養護施設等の子どもたちへ、スキル支援など教育・研修を行う。主にパソコンとパソコン講習会を贈っている。
②知る・知らせる
企業等に対し、社会的養護や児童養護施設に関する啓発活動を行っている。企業内・社員向け啓発セミナーの実施や社会的養護に関する啓発セミナーを行う。
③つながる・つなげる
児童養護施設と企業・個人の皆さまの交流を促し、ともに課題に取り組む。
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私とライツオン・チルドレンの出会いは、新型コロナウイルス感染症が広がった後に、『新型コロナ対応 パソコン寄贈プロジェクト』をメディアで知ったことからでした。渋谷区のNPOで、こんな素晴らしいプロジェクトは、ぜひ応援したい!と思い、直ぐに理事長の立神さんに連絡をしました。話を聞けば聞く程、児童養護施設にいる子どもたちの様子や教育格差の事実を知り、もっと社会全体に知っていただきたい!区民の皆様にも支援者の一人になって欲しいと考えて、インタビューをお願いしました。
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<インタビュー>
質問①:活動について教えてください。
e2プロジェクトって何ですか?
企業で使用済みになったパソコンを寄贈していただき、その売却益を利用して、児童養護施設等で暮らす子どもや出身者にパソコンとパソコン講習会を寄贈する取り組みです。
https://lightson-children.com/projects/e2/
このプロジェクトは私たちの事業の柱となっています。

ほか企業からどんな支援があるのでしょうか?
企業からは、「子どもたちの教育について支援したい」、「CSR活動として社会的養護の分野に関わりたい」、「児童養護施設で社員のボランティア活動をしたい」、などのお話しを頂くことが多いです。現金の寄付だけでなく、企業としてどのような係り方ができるかを一緒に考えさせて頂きます。ライツオンでは、昼休みなどの時間を使って企業の会議室をお借りして、社員の方に向けた研修やセミナーを開催させていただくこともあります。私自身、施設でも働いていて、現場のニーズをお伝えすることができます。企業などで何かプロジェクトを立ち上げる際は、「施設ではどういうことに困っているのか。子どもが児童相談所に保護されて、児童養護施設や、里親の元で生活をするまでのプロセス」などの現状を最初に理解していただくことが大切だと思っています。

今、自治体とやりたいことはありますか?
ぜひセミナーを保護者向けにもやりたいですね。施設から地元の小中学校に通う際、保護者の方が児童養護施設について理解がないと、「あの子は施設の子だから」という目で子どもが見られたり、悲しい思いをしたりしてしまうこともあります。でもそれは保護者の方が悪いのではなく、施設の子どもたちが抱える背景を知らないからだと思っています。ちゃんと正しく理解して頂きたいし、特別扱いをしなくても良いので、他のお子さんと同じように接してくれれば、有り難いなと感じています。
「社会的養護」は行政用語ですが、社会のみんなで子どもの育ちに責任を負うという意味では、まだまだ一般の方々の認知度や理解、関与が足りないのではないかと感じます。子どもを中心にして、学校や地域の人、企業も含めて周りにいる人みんなで子どもを育てていく、「社会的養護」から「社会で子育て」へ輪が広がっていくことを願っています。

近年施設にくるお子さんはどんな理由が多いですか?
児童養護施設って、昔は孤児院と言われていて、親御さんを亡くされて養育者がいなくなってしまった子(孤児)がほとんどでしたが、現在の入所理由の約6割〜7割が「虐待」と言われてます。虐待は身体的虐待、育児放棄(ネグレクト)、心理的な虐待(言葉での虐待)がありますが、子どもの前で親が喧嘩をして、暴力を子どもの前で見せることも「面前DV」と言って虐待にあたります。子どもたちが成長していく中で、「男の子は殴ってもいいんだ、女の子は殴られてもいいんだ!」などと思ってしまうことは問題です。
最近では、親の精神疾患も多くなってきていますね。うつ病だけでなく、アルコール依存や薬物依存も精神疾患に入ります。そしてもちろん、経済的な理由もあります。様々な理由が重なっていることが多いと考えてます。
他にどんな事業をされていますか?

ジョブリハというプログラムを提供しています。
ジョブリハは「ジョブリハーサル」の略です。特定の業種を舞台にしてレクチャー、スキルトレーニング、職場体験を1年間にわたって継続して提供するプログラムです。
https://lightson-children.com/projects/job-rehearsal/
様々な仕事を実際に体験してみることで、向き不向きを判断したり、自分に足りない部分に気付いたりすることができます。やってみることで「これは自分には向いていない」と気づくことも大切だと思っています。

質問②:新型コロナ対応 パソコン寄贈プロジェクト
Q.プロジェクト内容とどんな成果につながりましたか?

ライツオン・チルドレンは2014年の設立当初から、児童養護施設で暮らす高校生を対象に、パソコン教室とパソコン寄贈を行ってきました。緊急事態宣言の下、学校が休校になってオンライン学習に切り替わりはじめ、手元に自由に使えるパソコンがない子たちに学びの格差が出ないように、緊急支援が必要であると考えました。4月13日に寄付の呼びかけを始めて以降、個人・匿名の方から174件、総額 3,944,154円の寄付金を頂きました。ほか、企業4社から総額 5,300,000 円の寄付金を頂き、「ゴールドマン・サックス緊急子ども支援基金」より、社会的養護児童の学習とケアのためにICT活用を推進する事業(助成額 2,000,000 円)が採択されました。
頂いた寄付金でパソコンを調達し、アンケート等でニーズが高いと思われた施設を中心に寄贈していきました。その後、千葉・埼玉・神奈川の3県の児童養護施設にも支援を行い、
1都3県の児童養護施設などに、パソコン、タブレット342台を寄付することができました。
新型コロナ対応 パソコン寄贈プロジェクト結果報告

メディアにも取り上げて頂いたおかげで、約1ヶ月の間に企業、個人から1000万円を超える寄付が集まりました。コロナ禍で誰もが大変な中、学びの格差が生まれないように、多くの方が児童養護施設で暮らす子ども達の支援をして下さったことが、本当に嬉しかったです。これも「社会で子育て」の一例かと思っています。
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<森田ゆきより今後に向けて>
理事長の立神さんのアイデアや推進力、民間企業との連携を作ることで、双方にとってメリットのある事業モデルだと感じました。
子育ては社会全体で行う!本当そうですね。自分の子どももうまく育てられているかわからないけど、いつになっても正解って見つからないのが本音です。でも子どもが信頼できる大人と出会い、悩みをひとりで抱えることなく、前を見て成長できることは社会で後押ししたいですね。
 そして自治体にお願いしたいことに出ていた通り、いつかPTA保護者向けにセミナーが実現できたらと思います。まだカタチはわからないけど、このような活動がもっと広く知ってもらうこと、渋谷で孤立しない子どもの居場所として、連携できたら幸いです。あと民間企業、特に渋谷の企業と官民連携作っていきたいです。
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<高校生インターン感想>
今回のインタビューを通して感じたことは、これを始めた目的は、企業にボランティアの機会を作ることもですが、一番は児童養護施設などで暮らす子供たちと、一般の家庭で暮らす子供の教育格差などをなくすためでした。
学校休校になって、オンライン授業などが始まったため、手元に自由に使えるパソコンやスマートフォンがない施設の子たちへの対応は大変だったそうです。確かに実際のところ中学の時でもスマートフォンを持っていない、またはSNSなど全くしていないという友達が、片手で数えられる程度いました。今の時代は、小中学生の頃から携帯を持って、SNSやインターネットを利用することが主流になっています。
しかし、自由に使える端末を持てない施設の子たちはそれだけで周りのことの違いを感じたり、学校の子と上手く交友関係を築けなかったりするかもしれません。 LINEやインスタ、ツイッターのダイレクトメッセージで遊びの約束をしたり、日常会話をすることも多々あります。
また、パソコンやスマートフォンを使いこなせないとこれから社会に出た時、学生の頃から使いこなしていた子からもかなりの遅れをとることになると思います。そんな遅れをとらないためにもlights on childrenさんは日々活動をしてくれています。皆さんもご存知ではあると思いますが、NPO法人は、社会課題解決のために活動して、ボランティアのようにたくさん利益が上がるわけではありません。そんな環境下でも約6年間、私たち子供を手助けしたいと思い、活動をしてくれていることは本当に素敵なことだと思いますし、そう思ってくれる大人がいるのは、嬉しかったです。
このパソコン寄贈などその他の活動に協力してくださる企業は外資系企業がほとんどだそうです。日本の企業がこういった活動に興味を示していないことがとても残念でした。私は、このお話を聞いて、自分は恵まれているなと感じたし、誰しもがそういう環境にいるはけではないことを、日本の企業含め保護者の方など多くの大人の方にも知って欲しいです。


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