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恋人と何気ない日常を分かち合う幸せ『いつも憂き世にこめのめし』

こんにちは、石川由弥子(ゆみこ)です。

待ち侘びていた新刊がついに電子化されたので、早々にゲットしました!

大好きな漫画家さんのにくまん子先生!

「にく・まん子」なのか「にくまん・子」なのか、どこで略したらいいのかわからないにくまん子先生の作品は、愛憎ごちゃ混ぜのどろっどろした感情を煮詰めたような作風が特徴。

主人公が顔をぐっちゃぐちゃにして泣いているのが印象的で、初めて出会った時は度肝を抜かれました。

今日は、私の大好きな、にくまん子先生の最新作の漫画『いつも憂き世にこめのめし』をご紹介しようと思います。

『いつも憂き世にこめのめし』のあらすじ

居やすいから、居た。ただそれだけなのだ。アラサーを過ぎると、恋人でいるほうが、少し変わっているように言われる時がある。周りからは『なんで結婚しないの?』とか聞かれるけど。ぬるま湯みたいなこの関係が、心地いいから。いいのだ、このままで。恋人との同棲生活をリアルに描く『いつも憂き世にこめのめし』が30P以上の描き下ろしを加えて、待望の書籍化!!

『いつも憂き世にこめのめし』のおすすめポイント

過去作の『恋煮込み愛つゆだく大盛り』『涙煮込み愛辛さマシマシ』より、ライトで幸せな話が多めで、初めてのにくまん子先生作品にはぴったりだと思います。

にくまん子先生は短編の神なのですが、本作はほぼ、同棲中のカップルがメインです。こちらも短編で、2人の日常が描かれていきます。

ライトなにくまん子が読みたい方へ

私が好きな話は「酔っ払い」という話。

お酒が飲める彼女と飲めない彼氏の会話劇です。

いい感じに酔っ払った彼女は、彼氏に対して、「ねえ ちゅきだよ」と伝えるのですが、彼氏は「うーん酔っ払いはあんまり」と一言。弱気になった彼女は「ねえ 本当に好きじゃないの…」と確認したところ、彼氏は、

「好きじゃないよ。だっていつも酔っ払った時だけなんだもん 好きって言ってくれるの」

と言ったとさ。

はい、かわいい〜〜〜〜〜。このカップル、かわいい〜〜〜〜。

酔っ払っている時しか好きと言えない彼女も可愛いですし、それをわかって釘をさす彼氏も可愛いのです。

最後の一コマの彼女の顔が本当に可愛いので、ぜひ買って見ていただきたい。

他にも、2人で朝方に時間に目覚めてしまった時のココアが幸せな「夜明けのココア」、なんでもない日常の中で彼氏のどこが好きかをとうとうと語る彼女に対する回答にキュンな「ぜんぶ好き好き」、彼女の友達に結婚について問われた彼氏の動揺「まだいっしょに」など、カップルの何気ない日常の幸せを感じることのできる話がとても多いです。

ディープなにくまん子が読みたい方へ

一方で、最後の方に収録されている「いつだって最高のスポットライトを」は、にくまん子先生の前作の作風に近い話が楽しめます。こちらはメインで描かれているカップルとは、違う話です。

にくまん子先生の魅力は、綺麗事ではない恋愛の形を描いていること。

この作品のテーマは、恋人との別れ。浮気をした彼氏が浮気相手の女と共に話し合いに来て、彼女に別れを伝えるところから話が始まります。

彼と浮気相手の描き方が本当に秀逸で、それを彼女がどう見ているのかが特に面白い。

当の本人たちは、愛があるのに結ばれることのできない悲劇の恋人同士(浮気相手ですが)のように見えているのが、胸糞悪くて最高なのです。

気丈にすっぱり綺麗に別れを受け入れたとしても、内心の彼女の心はぐっちゃぐちゃで、二律背反な感情を描けるのはにくまん子先生の特徴だと思うのです。

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(光のにくまん子も闇のにくまん子もどっちも魅力的)

にくまん子の魅力マシマシ

恋人同士の日々を愛を持って描く光のにくまん子も、浮気された女の愛憎を描く闇のにくまん子も両方が楽しめる本作は一度で2度美味しい本です。

初めてのにくまん子作品としては手に取りやすい作品だと思います。

付き合いたてのほくほくした感情や恥じらいがとうになくなった、穏やかだけど楽しい日常を送る恋人の日々をぜひ楽しんでいただきたいです。

にくまん子先生の作風が癖になったら、ぜひ前作もおすすめします!

ではまた〜

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