見出し画像

自分の選択を正解にする『バケモノの子』

こんにちは、石川由弥子(ゆみこ)です。

夏が来ると細田守さんの作品が観たくなります。先日、地上波で『サマーウォーズ』が放送されていましたが、それの影響が大きいのかもしれません。『サマーウォーズ』も『時をかける少女』も好きなのですが、この連休中に初めて『バケモノの子』を観ました。

今日は、細田守監督作品の映画『バケモノの子』をご紹介します。

『バケモノの子』のあらすじ

人間界「渋谷」とバケモノ界「渋天街」は、交わることのない二つの世界。ある日、渋谷にいた少年が渋天街のバケモノ・熊徹に出会う。少年は強くなるために渋天街で熊徹の弟子となり、熊徹は少年を九太と命名。ある日、成長して渋谷へ戻った九太は、高校生の楓から新しい世界や価値観を吸収し、生きるべき世界を模索するように。そんな中、両世界を巻き込む事件が起こり……。

『バケモノの子』のおすすめポイント

1.  師匠だって完璧ではない

離婚で父を、事故で母を亡くした主人公の少年は家を飛び出し、渋谷の町を徘徊している時にバケモノの熊鉄(くまてつ)に出会います。ひょんなことから出会った2人は、師弟関係を結びます。少年の名前を九太と名付け、2人はバケモノ界で生活を始めるのです。

豪快で、大酒飲みで、カッと頭に血が登る熊鉄は、幼い頃身寄りがなく、自分1人の力で強くなった人。弟子をとると決めた時も、自分本意にしか考えられず、ずいぶん九太と衝突しました。

私が想像する「師匠」という存在は、知恵があって、穏やかで、おおらかというイメージでしたが、熊鉄はそんな師匠像とはかけ離れた存在。それでも九太は、生きていくために決して完璧ではない熊鉄に学ぶと決めたのです。

2. 学ぶことは真似ること

感覚派の熊鉄は教えるのがとても下手。それもそのはず。熊鉄は、師匠を持たず、自己流でここまで強くなったのですから。言語化するのが苦手な熊鉄はすぐに投げ出そうとしますが、九太はめげません。

家事の傍ら、熊鉄の足さばきを盗み見ては、何度も繰り返しステップを踏みます。刀の使い方も、熊鉄の振り方をみては実践し、これも繰り返し学んでいきます。いつしか実践の場においてもその勘が培われ、そこらへんの少年には負けないスキルを身につけるようになります。

学ぶことは真似ることだとよく言われますが、まさに、九太は師匠の動きを全部コピーして体得していきました。

3. 知ることで世界が広がる

成長した九太は熊鉄の右腕として活躍する一方で、自分が通ってきた道の存在に気づきます。その道を通って、現代の渋谷に降り立った九太は図書館で楓という少女に出会います。

開いている本の中で読めない漢字があるたび楓に聞き、九太は学ぶ楽しさを知ります。もっと勉強したい、もっと知りたい。知識を得ることの楽しさを、九太は初めて知るのです。そんな九太の思いを受け、勉強に付き合う楓の姿にいつしかお互いがなくてはならない存在になっていくのでした。

画像1

(自分の人生を決断するのは自分!自分が決めるしかない!)

自分で決断する力

熊鉄を師匠をとして仰ぎ、強くなるために鍛錬を重ね続けた九太。絶望の淵にいた少年は、バケモノに大きく育てられました。強さと優しさを兼揃えた少年は青年へと成長し、自分の生きる場所を模索し始めます。

私はそれが九太にとっての親離れの時期だったのではないかなと思います。必死で掴んだ熊鉄の手を離れ、自分がどう生きていくべきかを決める時期。人間として知恵をつける道に進むか、熊鉄のもとで生きるか。色々と考えて出した答えはぜひ映画をご覧いただければと思います。

ちなみに、この作品は賛否両論あったと記憶していますが、確かにこれは「ううむ」と唸ってしまう展開で幕を閉じます。ぜひ観た方は結末について語り合いたい気持ちでいっぱいです。

とはいえ、師弟愛、少年の成長、青年の選択など、とても良いものを見せていただいたなという気持ちは変わりません。

みなさんはどうでしたか?ぜひ教えてください。

ではまた〜



この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?