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題... 改善は単純なことの繰り返し

◆ “悪さを目立たせる”のがポイント。

 以前、トヨタの工場管理の基本的な考え方である“悪い点をあえて際立たせる”ということの大切さをブログに書きましたが、あの考え方は正しかった。(→ 注1) [ #悪さを目立たせる ]

 今の私の派遣先は総合病院の給食センターで、具体的には“配膳”と“食器洗浄”。配膳はきれいな作業ですが、食器洗浄はいわゆる皿洗い。“汚れ仕事”。

 飲食店業界では“洗い方”と言われることが多く、一番下っ端の仕事になっている。長時間そればかりやっていると腰も痛くなる。単に、ガマン強いかどうかを試される仕事。

 ということで、プロの労働者を標榜している派遣でも定着率が悪い。まぁ、意外に体力的にはきつい仕事で最低賃金でやるような仕事とは言いにくい。

 その点、配膳の仕事は楽なもの。これなら、一日中でもやれる。

◆ 私の配膳の担当はご飯のかかり。

 給食センターなどのように大勢の分を一度に提供する場合は、ご飯はしゃもじで茶碗に盛るのではなく、計量しながら指定の量を茶碗に盛る半自動のロボットでやる。

 ご飯はデカい釜で炊くので、ご飯をロボットに入れる時は少し重いのですが、後は楽ちんなのです。私はこの作業は気に入っています。

 1カ月ほどはこりゃ楽な仕事だなとほくほく顔で何となくやっていましたが、そのうちに改善コンサルの血が騒いできました

 どうも、ご飯の水分が多くてべちょぺちょ気味だと、正しい計量ができなくて計量ミスが頻発する。それに、半端ないほどの量が残ってしまう。

 4キロ以上残ることも多い。4キロと言えばほぼ25人分くらい。入院患者数は事前にわかっているから4~5人の誤差があっても、これは残りすぎ。

 ということで、ご飯の仕込み係に事情を聞くと、水の量やコメの量などの標準は管理部門が机上で決めているらしい。管理意識のレベルの低い会社などで、よくありがち。[ #机上で決める ]

◆ 標準が正しくないことは改善活動をやってきた私などには、すぐにわかる。

 なので、標準を考え直せと仕込み係に言ましたが、仕込み係はなかなかいうことを聞きません。指示書に書いてあることを勝手に変えたら怒られるという。

 それなら、“責任は私が持つから、私にやかましく言われたから変えた”と言えと圧力をかけました。私の指摘が間違っていたら、会社が私をクビにすればいい。

 会社に都合が悪ければ、簡単にクビになるのが派遣の決まり。パートとトラブルになっても、クビになるのは派遣の方なのです。

 仕込み係は3人の交替制。2人のおばちゃんパートは社会の暗黙ルールをわきまえて私の提案通りにしてくれましたが、若い一人の正社員は頑なで、私の提案を無視します。

 私は、余ったご飯を捨てる時、赤マジックのデカい文字で重さを書くことにしました。それなら、嫌でもみんなの目につき、自分の失敗を追及されている気にもなる。

 一日の終わりに調理済みのものはすべて捨てるのが決まり。そんなことを3カ月ほど繰り返していたら、私の提案通りのご飯ができるようになりました。

 コンサルとして現場に入ればすぐできる改善でも、派遣作業者として現場に入っていると、改善も時間がかかる。でも、久しぶりに、コンサル冥利を味わえました。[ #コンサル冥利 ]

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●(注1)  トヨタの現場主義の考え方などについては、2018.08.06のブログ 『悪い点をあえて際立たせるという発想がすごい』をご覧ください。 

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