天邪鬼観察学会 @私は“地域興しマイスター”でした

◆ “地域興しマイスター”は農林水産省の外郭団体が主宰する資格のようなもの。[#地域興しマイスター]

 資格と言っても、国家資格というわけでもないし、わけのわからないレベルの資格。そこでの私の専門分野は、“インターネット”と“マーケティング”ということになっています。
 ちなみに、その後、その資格は何年かは更新していましたが、面倒くさくなってそのうちに更新しなくなりました。今は、どうなっているのでしょうかね?

◆ 実は、この資格をもらうことになった経緯が滑稽なのです。

 20年ほど前に自分のコンサル会社を設立して間もない頃に、ある縁で、大分県の“第三セクター”の地域物産を製造販売する会社のコンサルをしました。
 その会社が、ネット販売の分野を開拓したいと、私に依頼してきたのです。私はインターネットが得意分野のひとつだったので、もちろん、二つ返事で引き受けました。
 ヤフーが日本で営業を開始するかしないかの頃の話です。インターネットの事情が分かるコンサルなどいなかったので、私に相談してきたのですね。
 私は、その頃はインターネットの取り組みで雑誌や新聞などにも何回か紹介されていたので、どうしていいかわからない担当常務さんは藁にも縋る感じだったと思います。

◆ ついては、“地域興しマイスター”になってほしいと言われました。

 私が地域興しマイスターになると、私の日当分の予算も農林水産省から出るらしかった。つまり、自分でお金を払う余裕がないから国に出してもらうということ。
 あえて断る理由もないので、“なるのはかまいませんが、私は受験に弱いのでとてもそんなのになれる自信はありません”と言ったら、常務さんの返事がすばらしい。
 これは試験を受ける類の資格ではなく、実績のある人を全国の県知事が推薦する資格とか。私は大分県知事と付き合いもないので推薦してくれませんと辞退しましたが、それは、うちの村長が何とかすると言うのです。[#県知事推薦]
 その第三セクターの社長さんは、その会社のある村の村長さん。もっとも、社長は形だけで、事実上のトップは村役場から出向されていた役場の係長さんの常務取締役でした。

◆ 結局、私自身は何もしなくて、“棚からぼたもち”式にその資格をいただきました。

 当時、大分県知事推薦の地域おこしマイスターは、確か、全国に3人だけ。私は、その3人の中のひとり。身に余る栄誉だと思ったものでした。
 認証式の日は、“一村一品運動”で有名だった県知事は来られませんでしたが、村長さんや県の関連分野の課長さん数人が来られ、あまりの仰々しさに驚きました。
 もっとも、私は総合的な企画提案だけの役回り。それは大したお金にはなりません。大金がもらえるホームページ制作は、県のOBがやっているソフト開発企業になっていました。
 あんなのも、いわゆる“ひも付きプロジェクト”の類型のひとつ。つまり、“官の利権”のようなもの。私は、体良く踊らされただけの存在だったのかもしれません。[#官の利権]


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