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Event Report - CXO Night #7 デザイン会社経営のリアル

坪田さんが開催しているデザイナー向けのイベント「CXO Night #7 デザイン会社経営のリアル」に参加してきました。

イベント概要
スタートアップにおけるデザイナーの重要度はどんどん高まっています。
CXO Nightはデザイナーを集めて、実践から課題や実用的なノウハウを共有するコミュニティにしていきたいと思います。
今回はデザイン・クリエイティブ会社を経営する方々に登壇いただき、この10年でのクリエイティブ業界の変化、デザイン・クリエイティブ会社を経営する難しさ、そしてこれからの成長戦略などをパネル形式で語っていただきます。

このnoteでは、イベントの第2部の様子をレポートします。

[第2部]未来のデザイン会社の姿
・土屋 尚史 / 株式会社グッドパッチ 代表
・坪田 朋 / Basecamp CEO

グッドパッチと言えば、このハードシングスの記事。

そして、坪田さんと言えば、私はbosyuの事業譲渡について、このnoteで取り上げさせていただいていました。(坪田さんと言えば、base campの経営者でdelyのCXOが正解です)

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最近、「デザイン」がテーマだし、なんとなく、面白い話が聞けるかなと思って参加しましたが、デザイナー以外のいわゆる専門家(会計士やコンサル含む)がキャリアを考えさせられる、想像以上に興味深い時間でした。

「インハウスか外部専門家か?」「変革の本質的な目的は?」「これからの専門家キャリアに必要なスキルは?」と問いとインスピレーションに溢れた時間を振り返ります。

1. CxOと働くために外部専門家として立つという選択肢

土屋さん曰く、質のよいデザインサービスを提供するにあたり、より上流から関わることが必須だそうです。それは、社長、マネジメント層、CxO(Cクラス)と協働することを意味しています。

この時に、デザイナーとしての働き方として、二種類あります。それは、どこかの会社に所属して、インハウスのデザイナーとして働くこと、そして、もう一つが外部専門家として働くこと。

CxOと「対等に」働くためには、経営陣として、ある会社にジョインするか。もしくは、外部専門家のパートナーとして関わるかがあると言います。

インハウスのデザイナーとして働くと、経営陣の一員でない限り、通常はCxOと上下の関係になり、やりたいことが制限される可能性が高い。一方で、外部専門家として、立つことができれば、CxOとパートナーとして働くことが可能になるとのこと。

当然に外部専門家として働くことが、CxOとパートナーとして働くことはイコールではありませんが、選択肢としては、その通りですね。私が所属していたFASでも、いかにCxOアジェンダに取り組むかがミッションでした。

外部専門家として働く会計士に照らすと、CxOから、決算書作成・税金計算、DDレポート作成者といった機能売り、業者として扱われず、パートナーとして接してもらうことが重要ということですね。

2. 変革の本質的な目的は文化をインストールすること

デザイナーのサービスは、外形的にはプロダクト開発が完了することや、なんらかのクリエイティブを提供することです。

しかし、本質的な価値提供は何かというとデザイナーがプロジェクトから去った後も、デザインを重視することやアプローチ方法を大切にする文化が残っていることだそうです。

このことに言及する際に、土屋さんが「プロダクトと組織は一体」と語られていたことが印象的でした。これはデザインサービスを本質的に提供するには、組織(文化)に言及せざるを得ないということでしょう。

今、私がビジネスプロセスデザイン室の仕事を考えた時に同じことを感じていました。プロセスやシステムを再構築することは、確実に組織やメンバーの関係性を検討せざるを得ないということです。

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そして、もっと先には、上図では「共創のデザイン」と書いていますが、これはは「文化作り」の話をしていることだと、ある人に言われていたことを思い出しました。

あらゆる変革の取り組みが人のあり方や、組織文化に通じており、それこそが本質的な問題解決、変革の取り組みの先になるものなのかもしれません。

参考1:一見、矛盾する、外部専門家がカルチャーのインストールに貢献すること

カルチャーは組織のコアにあるもので、外部専門家が立ち入ることが難しそうな領域です。しかし、グッドパッチは、外部専門家として、変革の本質的な価値であるカルチャーのインストールを目指しています。

これは、捉え方に寄れば、とても難易度が高く、もしかしたら、矛盾しているとさえ言えることかもしれません。ここに挑戦するために重要なこととして、今回のイベントでは、「圧倒的なコミット力」だと言及されていました。

クライアントよりクライアントのことを考えている外部専門家。そのために、メンバーの複数案件の掛け持ちは原則させていないとのことです。

また、圧倒的なコミット力のエピソードとして、坪田さんがDeNA時代にグッドパッチに依頼した時には、常に一緒に働いてもらうために、グッドバッチの派遣業を取得、定款を変えてもらったそうです。(これは坪田さんのなんでもやる・やらせるのエピソードなのかもしれませんが)

参考2:グッドパッチの知見共有カルチャー

グッドパッチのカルチャーにも、話が及び、かなり面白かったのが知見共有のカルチャーの話です。

オンライン・オフラインの知見共有の施策・インフラを整えており、オンライン上にはエサ(?)という知見共有する場を作り、数万件の知見が蓄積されているそうです。また、オフラインでは、毎月数回、知見共有の場(イベント)を開催しているとのこと。

そして、特徴的なのは、その知見共有に経済的なインセンティブはなく、それを行うことが当たり前というカルチャーが形成されているそうです。驚きでした。

3. これからの専門家にはデザイン思考が必須

これからのデザイナーは、デザイン領域だけでは食っていけない。ツールの熟練度だけでは食っていけないだろうというやりとりがあり、それを、土屋さんの言葉を借りると「総合格闘技ができるようになっておくこと」だそうです。

ビジネス環境として、様々な分野の変化スピードが上がり、事業難易度が高まっている中で、価値あるサービスを提供するには、デザイナーはデザインを深めながら、別の領域も横断的に理解し、それを統合する力が必要だとのことでした。

これは、まさにデザイン思考のことを言っているなと、言い換えれば、「創造的な統合を行う思考」ということでしょう。

また、デザイナーはデザイン領域からそれ以外の領域に、デザイナー以外の専門家は、デザイン領域に、境目が曖昧になっていくのだろうなと想像しました。

さいごに

とても面白い対談でした。

今回のイベントで「インハウスか外部専門家か?」「変革の本質的な目的は?」「これからの専門家キャリアに必要なスキルは?」と問い、変革支援や共創をデザインすることについてのインスピレーションをもらえるとは思っておらず、大興奮の時間を過ごすことができました。

全体のログ

KONNOさんのnote記事が参考になります。

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[Profile]
宮澤佑輔 | Supershipグループ 経営戦略本部 ビジネスプロセスデザイン室室長・事業管理部部長 | ファイナンス・ビジネスプロセス・組織開発 | PwC(監査)・KPMG FAS(M&A/Strategy)・サイバーエージェント子会社(暗号資産/ブロックチェーン)を経て現職 | 公認会計士 ヨガ講師資格保有

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