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英語の基本日記

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英語関連の話題について書いています。英文記事の紹介とか、文法の話とか、使える英語フレーズなどです。ちょっと高度かもしれませんが、どうか気楽にお読みください。
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2019年4月の記事一覧

英語の元素周期表

英語の元素周期表

渡部昇一『秘術としての文法』(講談社学術文庫、1988年)に、次の指摘がある。

「比喩をもって言えば、新言語学は化学であり伝統文法は薬学である。化学者は病人をなおせない。しかし薬学者は病人をなおす薬を提供する。」17頁

ここでいう「新言語学」のひとつである認知言語学の専門家の講義を聞いたとき、

「まず英語ができるようにならないと、認知言語学の研究はできません」

と言われたのを覚えている。

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左側走行は  "the left hand driving"   なぜthe があるか

左側走行は  "the left hand driving"   なぜthe があるか

「左側走行用の車」というのを、アメリカ人が

"I would like to avoid renting a car with the left hand driving."

と書いているのを見かけた。

右側走行のアメリカに住んでいるので、左側走行のイギリスではレンタカーを借りたくない、と言っている文だ。

細かいことだが、ここで "the left hand driving " と、the

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虚構のトランプ・イメージ

虚構のトランプ・イメージ

いまアメリカで話題の、膨大なトランプ捜査レポート「ミューラー報告書」を読んだジャーナリストが、手厳しいトランプ評を書いている (TIME, Apr. 19, 2019)。

この報告書を読むと、トランプの行動は勇敢さからではなく、自分を守り、誇示するために平気で他人(たとえば息子)を犠牲にする臆病な心性から来ている。トランプには指導者らしさがなにも感じられない、と。

このジャーナリストはテネシー

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"Over Columbine Threat"  短いフレーズにこめられた20年前の事件の傷跡

"Over Columbine Threat"  短いフレーズにこめられた20年前の事件の傷跡

TIME を見ていたら、こういう見出しがあって、首をひねった。

"Woman Kills Herself After Sparking School Closings Over Columbine Threat"  と書いてあるのだが、ピンと来ない。とくに、"Over Columbine Threat" という部分。

中身を読んで、かなりわかった。

20年前、コロラド州デンバーの Colum

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on the street と in the street  どうちがう?

on the street と in the street  どうちがう?

ある英語系メルマガに、酔っ払った亭主が通りで寝てしまったことを知った奥さんが、電話で助けを求めるセリフとして、

Help!  My husband is sleeping on the street!
Help!  My husband is sleeping in the street!

どっちがいいでしょう?というクイズがあった。

on the street と in the stree

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「令和」は概念発達の好例

「令和」は概念発達の好例

英単語の暗記などで、語源というものがあることを知った人も多いだろう。

たとえば、 mo- というラテン語系の語幹は、「動き」という概念を保存している。英語の move, movement, motive, motif は「動き」「動きがもつ力」を表すmo-  からつくられた語である。

英語の moment には、「瞬間」とか「重要性」という意義もある。

瞬間と重要性ではずいぶん違うように思え

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