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コント「大豆田とわ子」が終わった。

2021年、春ドラマ。名作2本がついに最終回を迎えた。

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共通点も多く、メインキャストは男女5人春物語。どちらも、2名の女性と3名の男性。サブキャストと言うには勿体ない、コントの中村倫也と、豆夫のオダギリジョー。

テンポの良い台詞で進むストーリーは、どちらもオリジナル脚本。菅田将暉と有村架純というキャスティングや台詞まわしは、坂元裕二の『花束みたいな恋をした』を思い出さないわけにはいかず、どうしてもこの2つのドラマは親戚みたいな関係性だと勝手に思い込んでいる。(1話でマクベスの3人が、ファミレスの「ピンポン」の呼び方を巡って言い争うシーンなんて坂元裕二かと思った)

夢を追い続けたいけども、結婚や就職という社会の壁にぶちあたる晴斗(マクベス)。順調に再就職先が決まる中浜さん。菅田将暉が演じる晴斗、有村架純が演じる里穂子先輩。里穂子先輩は「が飾ってあったから」という理由で就職先を決めちゃうし…やっぱりここでも花束がチラつく。

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芸人の【解散】、そして夫婦の【離婚】という意味においては、どちらも【通過点】の話。終着点ではない。違うのは、コントはその「現在」の話(解散を迎えるまでの話)であるのに対し、豆夫はその「未来」の話(離婚後の話)。片方は通過点を目指し、もう片方は通過点を通り、少しだけ欠点を抱える周りの人物たちが作用し合って、自分と向き合っていく。一歩ずつ前に歩いていく主人公たちがみせる人間の営みが愛おしく、最後までみぞみぞさせてくれた。

NA:これ、網戸を直せるようになった大豆田とわ子。

とあからさまな成長を示した伊藤沙莉のナレーションも良かったけれど、個人的には「社員にシナモンロールを分けてもらえるようになった」大豆田とわ子が、「運気が逃げることなど気にせずに大きく頬張る」シーンが、絶頂みぞみぞ、そして最高のシメだった。スペシャルドラマでの「富士山キャンプ篇」を一瞬期待したけども、網戸を直せるようになった大豆田とわ子は、これにておしまいが気持ちいいかもしれない。

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コントで言うと、神木隆之介演じる瞬太が4人目のマクベスである愛車を手放そうと決めたところ(7話)。ガソリンスタンドで、給油ノズルを押し込むシーンにみぞみぞポイントがあった。見間違い説もあるが、つむぎへの想いも含めて前に進もうとした瞬太は、何かを決めたようにグイッとノズルを車に押し込んだ。手元のアップ。この興奮は会社の同僚からは軽く流されたけど、意図的な細かい演出だったと信じたい!

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10年、芸人を続けたことは良くなかったのか…?
3回、離婚したことは良くなかったのか…?
そんなことはない。

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マクベスが解散しても、あなた方が精魂込めて作りあげたコントは、この世から消えることはありません。動画としてもしっかり残り続けるでしょうし、なにより…ファンの記憶の中に、しっかり残り続けていきます。私はこれからも、あなたが書いたコントに、あなた方が作り上げたコントに、何度も助けてもらうことになるでしょう。

という最終回での里穂子先輩の台詞だったり、

別れたけどさ、今でも一緒に生きてると思ってるよ。

とわ子が慎森に言った台詞からも分かる通り、「過去があっての今の自分」であり、その人の今をつくっている大事な一部分になっていく。そしてそれは、『花束みたいな恋をした』で登場した、「ミイラ展」のように腐ることなく、「Googleストリートビュー」のように消えることなく、その人の中に残り続ける。過去を肯定し、前に進む。あぁ、坂元裕二…

人が人を好きになった瞬間って、ずーっとずーっと残っていくものだよ。それだけが生きてく勇気になる。暗い夜道を照らす懐中電灯になるよ。 - 『東京ラブストーリー』3話

失恋したカンチ(織田裕二)に、マリカ(鈴木保奈美)が掛けた言葉。1991年から、坂元裕二の回答は変わっていない。

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だからこそタイトルの『花束』は、報われなかった(枯れてしまった)としても、花束をもらった時の気持ちや日々はずっと心に残ってるよ!という意味かと推測される。

女の子に花の名前を教わると、男の子はその花を見るたびに一生その子のことおもいだしちゃうんだって。

という絹の台詞にも繋がってくる。もしくは、ミイラ展のメタファーから、ドライフラワー?いずれにせよ、どこからか『花束みたいな恋をした』のレビューみたいになってしまったことを反省…

言いたかったのは、有村架純は髪をおろした方がかわいい。ではなく、『コントが始まる』『大豆田とわ子と三人の元夫』いずれも最高の作品でした。コントも「水のトラブル」と「メロンソーダ」を掛け合わせた最終回、とても良かった。来週からちょっとロスになりそうですが…寝ます。新しい朝に向けて。

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そういえば後輩が豆夫の主題歌『Presence』のジャケットについて、超おもしろい考察をあげてたので、ぜひ見てあげてください!


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